<オーソドキシーのフルオーダーは「オートクチュール」>

「オーダー」という言葉を、しばしば耳にされると思います。
一般に「オーダー」と呼ばれているものは、実はほとんどが「パターンオーダー」もしくは「セミオーダー」です。あらかじめ、決まった型が選択肢として用意されており、その中から選んでいただく、ということになります。

当店の「フルオーダー」とは「オートクチュール」を意味します。
(ちなみに「フルオーダー」は和製英語です)

まったくのゼロの状態から、お客様のすべてのご希望をうかがって、それが物理的に可能であれば、どんなデザインでもお作りできます。
また「オートクチュール」においては、お客様からのデザイン提案がない場合でも、そのお客様を観察して、お似合いになりそうな、お好みに添うようなデザインを、こちらから提案することができます。 コンサルタントは、作り手であると同時に、デザイナーでもあるからです。
―では、どうして初めてのデザイン、つまりまったく雛形のない状態から、
製品を生み出すことができるのでしょうか?―


あたりまえの答えになりますが、制作者は熟練した職人です。それも、種々の複雑なテクニックを併せ持つ職人です。

オーソドキシーでは、スケッチ画を見ながら、直接型紙を起こしていきます。設計図は一切描きません。設計図を描かないからこそ、例えば、「A4サイズの書類がギリギリで入るように」とか、「あまり鋭角的にならない優しいラインで」といった、感覚的な指定にも対応できるのですが、そのような塩梅のできる職人は、一般的にはほとんどいません。

それでは実際に、どのように制作されているのかをお見せしましょう。

オートクチュールは
 1:コンサルティングとデザイニング
2:制作

の2部から成り立っています。

<1:コンサルティング>

店写真
コンサルティング





これは、お客様とデザイナーが相談して、どんなデザインで、どんな用途のものをお作りするかを決めてゆく話し合いのことです。 平均1時間ほどかけて、お客様の好みや、必須事項を綿密に聞き取ります。
具体的なスケッチ画を描いて、寸法や留意すべきポイントなどを、なるべく詳細に書き入れ、すり合わせを行ない、確認します。
また、このとき素材もお見せします。

<2:制作>

打ち合わせの風景

デザイナーとの打ち合わせ

まず、制作者とデザイナーが、お客様のご要望について確認しあいます。
デザイナーは制作者に対し、お客様の好み、持ち方の特徴などを、行き違いの余地が完全になくなるまで説明します。
採寸


採寸

制作者は、スケッチ画から、直接型紙を起こし始めます。このとき(正面図、側面図のような)設計図は一切描きません。
店写真
型紙


型紙の作成

皮革は他の素材と違って、全体が均一な質ではないため、工程上の都合なども含めて型紙の段階で、微調整しながら寸法を決めてゆくのです。
店写真
裁断
店写真





裁断

型紙に合わせて、革の裁断をします。すべて手裁ちです。 表面のキズはもちろん、表からは見えない繊維の粗い部分なども避けながら裁断します。 この、表に見えない部分を見分けられるようになるには、長い年月の熟練が必要です。
店写真
貼り合わせ



貼り合わせ

それぞれのパーツを貼り合わせ縫製します。
店写真
縫い合わせ




縫い合わせ

店写真
みがき仕上げ

みがき仕上げ

入念な仕上。仕上げの良し悪しが出来上がりの印象を大きく左右します。
このみがき仕上げというのは、大量生産品を作る工場ではできない仕上げです。職人によって、自分に合った方法でみがき込んでいきますから、マニュアル化できないのです。
店写真
チェック


チェック

仕上がりは、別の職人によって厳しくチェックされます。

「真のオーダーメイドは、お客さまと二人三脚で作り上げてゆくもの」をモットーに、たくさんのご依頼をいただいてきました。

長いキャリアの中で、私どもがお客さまから学ぶことは今だに多く、ぜひそれを皆様にご紹介したいと思い、このページを作りました。
オーダーメイドの大切なポイントや、具体的なオーダーの仕方がよりよくご理解いただけるとともに、新たな発見もあるかと思います。

それではお話を始めます。


ストーリー1:札入を探すカップルのお話


クリスマスシーズンになると思い出す、とてもカワイイお話です。
といっても年が明けて、松も取れてしばらくたった頃のこと、ひと組の若いカップルがご来店しました。
彼から彼女へのプレゼントで、彼女が現在使っているものとまったく同じおサイフを、というご要望でした。
お見積りしたところ、予算オーバーだったようで、
彼は「ボクはいいと思うよ」と言ってくれたのですが、
彼女は「う〜ん・・・そうしたらもう少し考えます。」と、いったんお帰りになりました。




2時間ほどたって、お二人が再びご来店。
彼女が少しテレくさそうに、
「やっぱりお願いします。」
その時わたしはピンときたので、
「どのくらいお探しになったのですか?」と尋ねると、
「実は去年のクリスマスプレゼントだったんです。10月からずっと、週末になると探してまわったんですが、ぜんぜん見つからなくて・・・」と彼。
今は2月も間近という季節です。彼女は彼に
「お願いだからここで頼んで」と説得されたのだそうです。

何年も探しているのに、それが見つからない。いっそのこと、オーダーメイドで作ってしまえれば・・・、と漠然と考える方は多いかと思います。でも19世紀の貴族じゃあるまいし、と何やらそれは途方もないことのように思えてきます。
ご注文にいらした多くのお客様が「こんなに簡単にフルオーダーできると思わなかった」とおっしゃいます。「もっと早く知っていれば、探す手間や時間をこんなにかけなくてもすんだのに・・・」とも。

以降のお話で、詳しく書くつもりですが、フルオーダーは、かなり特殊なノウハウとスキルが必要な仕事です。ゆえに、こういう仕事ができるところは、ほとんどない。だから、よくぞうちのお店に辿り着いてくださった。と、正直思うのです。
ありがとうございます!


画像はイメージです。

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