2015.01.22

フルオーダーがコンサルティングを必要とする理由

昨日いらしたお客様との会話をご紹介します。

 

「せっかく銀座に来たので

どうせなら一回お店に寄ってみようと・・・

アポなしですみません。」

 

どうやらネットでうちのお店を見つけて

見てみたいな~、とお思いだったご様子です。

 

「こういうの出来ますか?

お財布と他の持ち物を一緒に入れるバッグ。」

と、現在お持ちになっている

お財布バッグを拝見したところ

ファスナー長財布が二個くっついたような形です。

 

ダブルファスナー財布

 

「もちろん出来ますよ。」

 

「ザッとで良いですが、いくらくらいで出来ますか?

もちろん細かい内容によって違うのもわかりますから

大まかな値段で構いません。」

 

「私は3年に一回、必ず

このタイプのバッグを買い換えているんです。

海外へ行くのにもこれを持って行くので

自分はとにかくこのタイプ、と決めてますから。

 

お金を入れる財布は

3年に一度変えると良いと聞きまして。

 

Wファスナークラッチ

 

じつは正直言いますと、これまでの20年ほどの間には

なかなかこれ、と思うものがなかったので、

6年ほど前に一度(よそで)初めてオーダーしたんですわ」

 

なるほど、それはなかなか興味深いお話です。

 

「そしたら、やっぱり初めてのオーダーは、ダメですな・・・

私は素人だから、どこに注意したらいいかわからない。

だから、とても満足行くものにならなくて

やっぱりオーダーはダメかな、と思ったんですよ。

 

まあ、オーダーってもんは

一度では”これ”というものにならないことはわかってます。

だから、そのお店で何度か試してみようかとも思ったんですが、

ちょっと・・・ね。

 

それでも、この店をネットで見つけたんで

一度どんなもんか見てみたいと思って。

今日はめずらしく銀座に来ましたから、

アポなしですが寄ってみました。」

 

メンズクラッチ

 

このあとのお客さまのお話は、次のようなものでした。

 

「6年前に作ってもらったものは

持ち手が半年もせずにすごく延びてしまって、

結局は使い物にならなかった。

 

H社と同じ革を使っている、って

作る人の革へのこだわりを随分と聞かされたのですが、

こんなに伸びてしまってはどうしようもないです。

 

自分は、

持ち手がそんな風に伸びることを知らなかったので、

伸びないように作ってくれという指示は出来ませんでしたから

今回はそこをリクエストしたいと思います。」

 

「それはそれは、大変な思いをされましたね。

それは災難でした。お客様はちっとも悪くないですよ。

 

伸びるような持ち手の作り方しか出来ないのは

作る人に製品知識や技術がないからですし、

お客様にプロのような知識がないのも当たり前で

それを、注文をお受けする人間がサポートして

ちゃんと使えるようなものにしなくては、

フルオーダーなんて成立しない仕事です。」

 

セカンドバッグ

 

「私は、細かいこだわりなんてぜんぜんないんですよ。

こういう使い勝手であればそれで良い、って方です。

革なんて、手ざわりが良くて、

かっこよくなってくれるだけで良いですし。

別にH社の革じゃなくてもぜんぜん問題ない。

そんなことはどうでも良いことです。」

 

「それでさらに、細かいことを言わなくても

3年間快適に使えれば、それが一番、てことですね?」

そこで20年使った当店の革製品を触っていただき

何年か使った革のエイジングをお見せしたところ、

 

「それではお願いします。

今日はあまり時間がないんですが、もう一度来るのも大変です。

何とかご相談にのっていただけませんか?」

 

WF5

 

20分だけお時間をいただき、

さまざまな聞き取りと、現在のバッグを採寸して

1週間ほどで、

このお客様のご要望にあった

新しい形をご提案することにしました。

 

自分のほんとうに欲しいものを探す時間はもちろんですが、

いざオーダーメイド、という段になってからも

細かいことを考えるのに要する

お時間とエネルギーは、相当なものです。

 

そんなとき、お客さまがご自分では気づかない内容や

プロから見て

そのオーダー品は構造や使い勝手が妥当なのか

すべてを短時間で綜合的に判断できるのが、

当店のコンサルティング。

 

だからこそ、5年や10年も経ってから、

ふたつ目のお品をご注文をする方がいらっしゃるのです。

それは、時に前回と同じものだったり

時にまったく違うもので、ひとつ目とお揃いにしたり、

とさまざまですが。

 

リピーターのお客様は

そんなタームで当店に接してくださっています。