2016.06.15

思い出のバッグをリメイクしたトートバッグ

「これは、父が50年ほど前に

イタリアから買ってきたガーメントケースです。

大切な形見で、良い革だと思ったので

作り直しをしていただけるのなら、

と思ってお持ちしました。」

クライアントがお持ち込みになったのは、

2枚目、3枚目のお写真のお品。

 

じつはもう一点

お父様の形見をお持ちくださったのですが、

そちらは残念ながら

あまりいい革ではなかったので

仕立て直しはお奨めしませんでした。

 

正面

 

50年前のものだというのに

この革にはまだ

ツヤがあって、表面に潤いがあります。

 

昔のお品ほど良い品質のものがありますが、

これはその代表のようなお品。

ガーメントケースですから

ハンガーが付いていますが、

これがまた良い素材を使っています。

 

リメイク前1

 

「でももう重くてね、

自分で持つことはできないので

何か違うものに作り変えられたら、と。」

 

大きなケースなので

結構うまくリメイクできそうなものです。

リメイクの場合、

実物をほどいてみると

案外小物しかできない、ということも

往々にしてあります。

 

リメイク前2

 

でもこれは、裏地もしっかりしていて

まあまあお使いいただいた様子があるのに

どこも壊れていません。

形見ということもあり、

普段はお受けしない案件ですが、

特別にお引き受けしました。

 

斜め

 

トートバッグにしたい、ということは

決まっていましたが、

そこから先はどんなものがいいのか

何回もお話ししました。

革は、一回カットしてしまったら

変更が利きませんから。

 

その中で、大きさは

クライアントのお持ちになっている

一番出番の多いトートバッグを

参考にして決めました。

 

背面

 

「絶対にお願いしたいのは、

ショルダーにも、手持ちにもできること。

それから

バッグの口をファスナーにして塞ぐこと、

それをお願いしたい。」

 

現物の大きさを考えて、

ぎりぎりまで使い切るような大きさになりました。

 

ポケットファスナー

 

作る過程で、当初使うはずだった

当店のオリジナルナイロン地は

もともと付いていた布地に変更しました。

 

最初、とても裏地までは

使うことはムリだろうと踏んでいましたが、

嬉しい誤算です。

まだまだ当分持つ、しっかりした布地です。

 

これで完璧に

形見のお品をリメイクすることができます。

 

内部

 

なんと運の良いクライアントでしょう。

 

そのままでしたら

もう使われることなく終わってしまった

このお品に、

新しい命を吹き込んだのは

クライアントご自身です。

 

残り材料

 

すべてが出来上がって

残ったパーツは、たったこれだけ。

とてもうまく進んだ案件です。

 

作りもきちんとしていて

金具はいい作りのものばかりで

出来上がっていました。

 

一覧

 

こういう古い、良いものを

新しくよみがえらせることができて

とても嬉しい仕事でした。

 

先日、道でこのクライアントにあった時

バッグについてお尋ねしましたら、

「ああ、結局毎日使ってますよ。

すごく良かった。」

というお返事。

ありがとうございました。