2017.01.12

革の厚みのお話

今日は革の厚みについてお話しします。

 

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店頭では革の色見本をお見せします。

またたまに、色見本をお送りしますが、

その時の見本の革の厚みは

お店に届いた時の革の厚みそのままです。

それは薄く漉く前の厚み、ということ。

 

それなので、恐る恐る

「あのう、こんなに厚い革だと

重くなりませんか?」と

確認なさる方もいらっしゃいます。

 

厚み2 (1)

 

みなさんは、出来上がったお品の

革の厚みってどんな風になっているか、

ご想像がつきますか?

 

厚み2 (2)

 

当店のお品は薄くて軽い、

とよく言われます。

それは、薄く、軽く作ろうと

つねに努力しているからで、

一枚革そのままでざっくりと作るだけなら

そんな風に薄く作ることは不可能です。

 

厚み3

 

当店のお品は、

大きく分けて、大物か小物かで

革の厚みが違います。

また小物でも、ヘビーユースするものは

それに耐えうるよう、厚めの革にします。

アイテムによって革の厚みを変えるのが

当店のやり方。

ぱっと手に取って見ただけでは、

なかなかわからないことですね。

 

厚み4

 

またそのうえ、それぞれのクライアントの

ご希望があります。

「多少持ちが悪くてもいいから

とにかく軽く作ってください。」

「とにかく丈夫にしてください。」

とまあいろいろですから、

結局は一点一点、

違う厚みに設定することになるのです。

 

厚み5

 

以上は

お作りするお品全体の質感のことですが、

ぜひみなさん、想像してみてください。

あるいは、ご自分のお財布やバッグという

革製品をご覧になってみてください。

 

何枚もの枚数の革が重なって

縫われている部分がありますね?

それでもあまり

全体の厚みは、厚くなってないですね?

 

それは、枚数の重なるところは

重なる部分だけさらに薄く

漉いてあるからです。

 

市販品の小物ですと、

製品のヘリのし上げ方は

ヘリが見えないように

革で覆っているものが多いでしょう。

そうなってくると、

その覆っている革は

さらに薄く薄く漉かなくてはなりません。

それでそういうお品は

まず覆いの革から切れてしまいます。

 

厚み6

 

それで、当店では

切り目仕上げという、ヘリを磨いて

仕上げる形にして

長持ちするようにしています。

余談ですが、この工程が

量産品の工場アトリエでは

行うことのできない工程です。

 

ここまでお書きするとお気づきのように、

革の丈夫さは、厚みに比例しています。

重さも厚みに比例しています。

 

当店製品の切り目仕上げのお品に

革の裏地を付けているのは、

高級品を作るための理由ではありません。

 

切り目仕上げは「磨ける革」でしか

製作することはできませんし、

裏地を革にすることで

外側と同じように

内側も長持ちさせることができます。

 

厚み7

 

デザイナーの頭の中には

ご注文をお受けした時点で、

完成品が存在します。

 

製作は完成図があって初めて進み、

頭の中にあるお品が完成するまで

細かい作業を経て、

思わぬ事故に出くわしたりして

長い時間がかかります。

 

厚み8

 

それを、当店では

一人の職人がずっと担当します。

それで初めて

ひとりのクライアントのためのお品が

出来上がります。

 

ご注文くださるクライアントは、

当店の職人をひとり

一定期間雇ってくださる

フルオーダーメイドの理解者です。

ありがたいことです。