2017.05.07

当店革製品のオーダーメイド、価格について その2

昨日は、クライアントひとりひとりの

オーダーメイドに対する

ご理解の違いから

価値観の違いが生まれ、

当店の見積もりに対して

高いか安いかの判断がなされる、

というお話をしました。

 

実際にどうご判断なさるかは

それぞれのクライアントに

お任せするとして、

お話の続きに戻りましょう。

 

ポケット

 

私どもは、価格の基本となる情報を

ここでみなさまにお知らせし、

それを共有していただくことで

コンサルティングを

よりスムーズなものにしたい

と考えています。

 

さまざまなクライアントがおいでなのは

承知しておりますが、

コンサルティング技術や製作技術、

出来上がったお品をもって

判断していただきたいと、

心より願っております。

 

ジャストサイズ

 

ではお見積もりの基準となるものは何か。

それはズバリ、製作時間です。

当店随一の職人が

その作業に当たる時、そのお品に

どれだけ時間がかかるかを

まず見積もるのです。

 

当店の職人は複数おりますが、

みな随一の職人ほど早くできませんから

実際の製作時間は

もっとずっとかかっています。

 

それでも、お見積もりの基準となるのは

その随一の職人が要する製作時間。

 

それがプロとして適正な時間であり、

各クライアントに対する公平だと

私たちは認識してます。

 

具体的なバッグの価格としては、

ワールドブランド品くらいの

お値段になることが多いでしょうか。

それよりお高くなることも

もちろんあります。

 

また、お財布などの小物でも

バッグくらいのお値段になることも

しばしばあります。

 

そういう理由から、

見積もり時間が大きくブレてしまうと

お店の経営そのものが危うくなりますから

最終的な見積もりをお出しするのに、

あらゆる問題点を勘案しつつ

具体的な完成品に至る

シュミレーションができるまで

クライアントと煮詰めていきます。

 

自立できる厚み

 

この仕事は、いわゆる手仕事です。

コンサルティングという頭脳仕事

(デスクワーク)も

もちろん必要ですが。

 

そもそも、ひとつひとつ

全く違うお品の注文を受け、その

それぞれをひとりの職人が仕上げる、

という作業内容に対して、何らかの

効率的なシステムを作ることは

可能でしょうか?

 

もちろんそれは、不可能です。

 

一般の製造会社が持っている、

販売専任や仕入れ専任の人員がいたり

経理や発送専任の人員がいたり、

製作も器械をフルに使い

流れ作業でどんどん進められる、

会社を丸ごと使った製造システムを

当てはめることは、不可能です。

 

そのため、製作数を増やすことで

そうしたさまざまな経費を賄っていく、

ということは、まったくできません。

 

言い換えれば、

量産の製造システムのように、

ひとりの人間に対して、

「能力x時間」以上の仕事を

できるようにするための

ルーティンを作ることができない、

ということ。

 

製作者が10人いても、

10人分に満たない仕事量しか

できないわけです

(一人前の職人になるには

10年以上かかりますから)。

 

一点だけを作るにしても、

一回でできる量産品の何百個分と

同じもしくはそれ以上の手間や

時間が掛かるということです。

 

そして、製作できる職人の育成には

先にお書きしたように

10年以上の月日が必要です。

 

なんと言っても、

製作アイテム数は無限なのですから。

 

以上のような理由から、量産品よりも

単価が高くなることは必然です。

 

しかも、小物だからと言って

短時間でできるわけではありません。

却って小物のお値段をお高く感じるのは

仕方ないことではと思います。

 

実際、上手にバッグを作る職人より

上手に小物を作る職人の方が、

ずっとずっと少ないのが現状です。

 

正面を開くと化粧品を収納できます

 

しかもこの仕事は、

多人数では完璧に行うことができません。

 

ひとつのお品ができるまでの間に、

関わる人が増えれば増えるほど

フルオーダーメイド品の出来上がりは

悪くなります。

伝言ゲームになってしまいますから。

 

カード入れ見開き

 

そんな超ローテクな仕事を

ご理解くださり、支えてくださるのが

当店のクライアントのみなさまです。

 

元々馬具を作ってきた革製品の

ワールドブランドにも、

実際そういうクライアントが

たくさんいました。

 

ヨーロッパの階級社会で、その昔

馬具を必要とした

アッパー階級の人々は

どれだけブランドを

支えてきたことでしょう。

結果的にそれがさまざまな技術を

残すこととなったのです。

 

内装2

 

それが、階級社会ではない日本において、

当店のような西欧的と言っていい存在が

長年続けてこられたというのは、

すばらしいことです。

あらためて皆さまに感謝いたします。

 

そして、このように小さなお店が

自社独自の素材を持っていることは、

㈱栃木レザーさんのご協力のおかげ。

早いもので、もう30年以上の

お付き合いになります。

 

ブランドと言えば、

まずは使っている素材を

自社独自に開発することが重要です。

品質が命ですから。

当店の牛革は、それに値する、と

胸を張って申し上げます。

 

小さな持ち手付き

 

イノベーションをいかに

続けたとしても

クライアントのご理解を得られずに

無くなってしまう職種やお店は

たくさんあります。

職人の手仕事は、その最たるもの。

 

ワールドブランドの

数あるアイテムの中で、

宝飾品を除けば、たいてい

一番高いものは、バッグや革製品です。

靴でも服でもなく、バッグや革製品。

 

それは、製作にあたって、

何種類もの別業種のプロが

必要とされるからです。

 

表と内側の素材づくりから始まって

多種の金具づくり、ファスナーづくり

芯材づくり…

すべてが、長い研究を必要とします。

 

オーバーナイトバッグ

 

フルオーダーメイドは、

そのひとつひとつのものを総て、

クライアントのひと品に

集中させることで、可能になる技。

 

だからこそ私たちは

HPのトップでこう申し上げています。

 

「オーソドキシーのすべてを

私のために」