革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2019.01.31

オーストリッチのクラッチバッグ、あるいは長財布 87

とても良く出来上がった

オーストリッチ製の長財布をご紹介します。

 

「粒のはっきりした良い革を使って

作ってください。」とのご依頼で、

しばらく革をお探ししました。

 

けれど残念なことに、

このお品はあまり喜んでいただくことが

できませんでした。

 

それには理由があります。

 

 

仕様も使い勝手も完ぺきにできたと

自負しておりますが、

それがクライアントには

まったく伝わらなかったのです。

 

こうしたことはかなり珍しいので、

なぜ伝わらなかったかをお書きすることで、

このクライアントと

同じ傾向のある方には

当店でのオーダーメイドは

おやめいただく方が良いことを、

お伝えしたいと思います。

 

 

こちらのクライアントからのご希望は、

とにかく革が良いこと、でした。

オーストリッチですので、

はっきりした斑柄にしてください、と。

 

オーストリッチに関しては、

良い革=高価=斑柄の大きいもの

ということではありません。

 

素材である革を売る方からしてみると

何をもって良い革とするかと言いますと、

ズバリそれは、

一枚の革の中に

傷や擦れや瑕疵が少ない革、を指しています。

 

つまり、一枚の革から

どれだけたくさんの製品ができるか、

という歩留まりの良いものが高価、

ということになるわけです。

それがお値段の目安になります。

 

それは、もし量産品を作る会社であれば、

仕入れして使う側からしても

ありがたいことではあります。

 

でも当店は、

高価だろうが安価だろうが、

必要なパーツが

もっとも良い感じで採れる革を選んで来ます。

それは、

その1枚から一点しか作らないから、です。

ですから、

製作するお品のサイズに見合っている

斑柄の大きさや散らばり方が、

もっとも重要な要素になります。

 

 

そして、加工のしやすさ

使い勝手の良さや保ちを考え、

内側に使う革は

ほとんど牛革にしています。

 

それは事前にクライアントにお話しし、

今回もその内容でご注文いただいたのですが、

お引き取り時に

「ネットを見ていたら、

他社製品で、内側もすべて

オーストリッチを使っているのを

見つけました。

そういう品に比べると

こちらのお値段は高いのではありませんか?」

と、出来上がったお品をご覧になる前に

こんなことを言われました。

 

 

事前にお話した内容に沿っていますし、

出来上がり品は

外からではわからないのですが、

クライアントからのご希望であった

難しい細工の部分もうまく処理したので、

とても自然に納めることができました。

 

お写真からは、

どこが製作に苦心した場所かは

まったくわからないと思います。

 

しかも出来上がり品の仕様を

確かめていただく前に言われたので、

驚いてしまいました。

 

 

最初の段階でご了解いただいたことに対し

このように言われるのであれば、

どんな決め事をしても

それに意味はありません。

 

この方は、革に興味あっても、

作ることに対しては

まったく興味がないご様子。

 

誰がどうやっても

こういう風に作れることが

当たり前だから、

革が一番高価で大切、と

思ってらっしゃるようです。

 

このように

ご自分の考えるオーダー基準があって

(たとえそれが後付けの知識からであっても)、

それが当店の考え方と違う方には、

当然ですが、それに合っていない

オーダーメイド店でのオーダーは不向きと思います。

 

それともうひとつ

ぜんぜん別の話になりますが、

どうしてもこの色の革でなくては!

というご希望をいただく場合には、

その課題をクリアできる可能性は

かなり少ないとお思いください。

 

 

私どもでは ご要望を伺った時点で、

できないことはできない、ないものはない、

とご説明しますし、

可能な選択肢が

クライアントの意にそぐわないのであれば、

ご注文することを

再度お考えいただくこともお勧めしています。

 

お互いの時間を大切にするために

そういう内容ははっきり申し上げます。

 

 

とは言いつつ、このお品

ご希望通りで使いやすいので

きっと今頃使ってくださっていると思います。

オーダーメイドだから使いやすいのは当然、と

思っていらっしゃるかもしれません。

 

でももしかすると

ずっと同じ考えが変わらず、

こんなもの、と思っているかもしれません。

 

思い込みの色眼鏡で見ず、

自分にとって使いやすくできたかどうか、

軽いかどうかをご判断していただけると

嬉しいのですが…

初めてのことで

ちょっと驚いてしまった出来事を

お話しました。

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