革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2024.11.24

ジーヴズの途中経過と当店プロの技術

今回のジーヴズシリーズは、

着々と製作が進んでいます。

途中経過をお見せしましょう。

 

下のお写真中

下段の真ん中だけが先に作ったひと品で、

残りは外側が出来上がったところです。

 

フランスブルーのリザードと

下段真ん中の完成品の左端をご覧ください。

 

ブルーの方がふわっとしているのは、

左端がまだ縫われていないからです。

 

 

 

 

 

 

今回は革の色がすべて違いますから

革の色によってミシン糸を変えますので、

ミシン掛けもなかなかの手間です。

 

昨日ご紹介した裏地を付けた本体の革に

革に合わせた色布のファスナーを張り付け、

そのファスナーの布の内側を隠すようにして、

今度はほんとの裏地を貼り付けます。

 

この3層を作ることで、

うつくしく、丈夫なジーヴズになります。

一般製品とはまったく異なるプロセスです。

 

革の3層であれば

使うほど柔らかくなじんで、

気持ちよい持ち心地になります。

 

 

 

 

 

 

この縫いに入るまでの工程も

簡単ではありませんから、

当店の技術者たちがまだ新人だった頃は

これが、ひとつ目の大きな技術関門でした。

 

ジーヴズがきれいに

ある程度のスピードでできるようになると、

部分部分の革漉きもありますから、

プロとして

とりあえず最初のスタートラインに立った、

という感じです。

 

きれいにできるだけでは不十分で、

速さも求められます。

 

ましてや当店の技術は当店独自のもので、

軽く、使いやすくするための工夫が

膨大な数あります。

 

その中では、今回のジーヴズと同じく

素材に使う革の性質を鑑みて、

一つひとつ

質感をコントロールする工夫が重要です。

 

その一つひとつの判断は、最終的に

自分でできることが、当店のプロ。

この道のりは、まず10年が一期です。

 

この最初からの10年後が、

本物のプロの道へのデビューです。

 

たいていの製品は、見るだけで

作り方を看破することが

できるようになり、

頭で理解した製作方法を、手が、

間髪おかずに追っかけられるようになります。

 

しかし、すべての10年経験者が

そうなれるわけではないことも、

付け加えておきます。

 

 

 

 

 

 

いっぽう、日本のクライアントからいただく

フルオーダーメイドの希望内容には、

革という素材の持つ性質に反した内容が

とても多いです。

 

軽い、ということから始まって

それにもかかわらず型が崩れず、とか

自立する、という内容も最近多いですが、

一般に販売されている鞄の中に

どれほどそういう製品があるでしょう?

ほとんどない、が答えと思います。

 

それは、

そのように作るにはとても手間がかかります。

でもそれよりなにより、

そこまでの加工はほとんどできない

というのが正解かもしれません。

 

また、本気でそうしようと思ったら

デザインは限られてしまいます。

いま流行っているデザイン先行型製品は

ほとんど、ご希望内容に当てはまりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

デザイナーがよく言いますが、

革製品の製作は、非情なまでに論理的です。

 

ですから

そのあたりもご説明したうえで、

どのようにみなさまのご希望のかなえていくかを

話し合って決めていくことが、

製作前に必ず行わなければならない

大事なフルオーダーメイドの基礎です。

 

当店のコンサルティングは

それをきっちり行い、クライアントのご希望と

製作物が合うように

新しいご提案をしていきます。

 

だからどこにもないバッグを作っても、

使えるものに仕上げることができる。

 

こういう限られた世界で

どれだけ豊かに表現することができるか

=持つ人のお役に立てるか、

それが日本で育ったフルオーダーメイドの

目指す目標かもしれません。

 

当店の作り上げてきた世界もまた、

ヨーロッパのフルオーダーメイドとは

ベクトルの違うアプローチです。

 

それはヨーロッパ社会との違いから由来し、

それぞれの仕事の形は、クライアントからの

要望によって作られていくものだと感じます。

当店の仕事が、

欧米でどのように受け取られるか、

興味あるところです。

 

 

 

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