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2020.06.11

小さめのダレスバッグ式クラッチバッグ 910

最近人気のダレスバッグで、

小さいサイズのセカンドバッグタイプを

ご紹介します。

 

遠方からお訪ねくださった

クライアントからは、種々の

ハードルの高いご希望をいただきました。

 

 

なぜ今「ダレスバッグ」なのか…

少し考えてみますと、

ご注文者の要求がいくつかの点に

絞られてきます。

 

・ガバっと開いて

中がひと目で見渡せて、

モノの取り出しがしやすい

・確実に自立する

・ジャケットに似合う

 

 

今回はまず、

取っ手の大きさにご注目ください。

お作りしたのは

サイズ的にはセカンドバッグですから、

 

持ち手の比率が、かなり大きめなことに

気づいていただけると思います。

 

もちろんこういった小さいサイズでは、

特別注文で金具を作ってもらいます。

 

 

この口金金具ですが、

昔は尺一サイズ、33センチから始まる

3センチ刻みの定番品がありましたが、

 

今では35センチ、40センチ、と

5センチ刻みの2種類だけとなっています。

 

こんなところからも

少しずつ金具づくりの世界も

変わっていることがわかります。

 

今では40代の金具職人もいるのですが、

今回の金具のような

定番品ではない特注品を作るのは、

80歳になんなんとするベテラン職人です。

 

ダレスバッグを

市販であまり見なくなってからも、

量産品の注文は

少ないけれどコンスタントにあるようです。

 

 

特注の金具を注文するにあたっては、

こちらが選んだ留め金具や

ストラップ用金具を付けるために

それぞれの穴の位置を指定しますから、

 

この指定の仕方にも、

我々プロの技が使われています。

 

行き違いがないよう

きちんと指示することができなければ、

鞄づくりはできません。

 

プロが簡単そうにやっている仕事には

他のジャンルのプロの要素も

必要とされます。

 

 

一時期、この金具職人にも

後継ぎがいない状態が続いていて、

この材料がなければ製作の出来ない私たちは

やきもきしたものです。

 

前回ご紹介した、ラウンド形の口金金具は

手の感覚で曲げて行くということで、

金具の製作には

かなりのお時間をいただきました。

 

 

つい最近仕上がった

荷物の多い弁護士さんのご注文では、

金具の幅を広くして

金具そのものの厚みも少し厚いもので

お願いしました。

 

今回のサイズであれば、

細めで、厚みもそれほどない金具を

作ってもらっています。

 

 

そんな細かい部分まで指定するのは、

とにかく

なるべく軽くしたいから、です。

 

以前もお書きしましたが、

オール革製の鞄を軽くするには

あそこで3g、ここで4g、

という気の遠くなるような作業を

重ねて行くことでしか

実現できません。

 

 

今回は、この小さな金具が出来るまでに

お時間がかかったこともあって、

途中でお電話をいただきました。

 

「いろいろ細かいこと言ったけど、

ちゃんとわかってもらえましたかねえ…

今日は、じつはひとつお願いがあって、

電話してます。」

 

出来上がるまでが待ち遠しく、

きっとご心配いただいていたのでしょう。

 

 

最後のリクエストは、

鞄の外側にイニシャルを入れて欲しい

という内容でした。

 

リクエストにお応えして、

ひとつの外ポケットのフタの素材を

スムーズ素材に変えて、

イニシャルをお入れしました。

 

納品は宅配便でのお届けでしたが、

その後、ご連絡はいただいておりません。

 

 

「便りがないのは元気な証拠」で、

何かあればすぐにお電話くださる方ですから、

それぞれのポケットに入れる持ち物は

きっとみんな、うまく入ったのだと思います。

軽くもできました!

 

そのように注文したのだから

ちゃんとできるのは当たり前!

とお思いの方は多いと思いますが、

 

こんな繊細な仕事ができるのは

世界中探しても、当店だけです。

ありがとうございました。

 

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