2017.04.08

「がま口小銭入れ付き長財布」の初フルオーダーメイド品

昨年末にお出ししたがま口小銭入れ

「がま口オニオン」

これは、新しいジャンルを会得しようと

まずは 小さな単品から始めよう、

という考えで店用として製作しました。

 

不思議なことに、

「がま口練習宣言」を出してから、

がま口の小銭入れが付いた長財布

についてのお問い合わせが増えています。

 

見本あり

 

今回は、長きに渡ってクライアントが

実際にお使いになった見本品に準じて、

お作りしています。

この見本品は、

13~14年前のお品、ということです。

 

「この財布が完璧な使い勝手なんです。

かなり探しましたが、どこにもなくて…」

このクライアントは、すでに

ご自分の逸品財布に出会ったわけです。

 

同じ作り

 

当店が製作するのは今回が初めての

「がま口のついた長財布」。

 

がま口オニオンのような単品は

比較的簡単に習得できますが、

「がま口のついた長財布」ジャンルには

さまざまなバリエーションがあるため、

それぞれの仕様によって

違う製作テクニックを必要とします。

 

だからこそ現在、

こういった長財布を製作できる人が

ほとんどいないのです。

 

正面

 

この製作で、まず何が問題と言ったら

ズバリ、がま口金具です。

 

金具は当店で作るものではなく、

材料として販売されているものの中から

探し出さなくてはなりませんから。

ですから、たとえ

当店で製作可能な財布であっても、

金具が見つからなかったら

残念なことに、お作りできません。

 

内側

 

その難関を潜り抜けたものだけが

こうして実際、形にすることができます。

 

じつはこの長財布の金具は、

お探ししていたものより

1センチ小さいサイズでした。

 

しかし製作してみると、

その1センチ小さいサイズは、

逆にうまく収まるメリットがあることが

結果的にわかりました。

 

小銭入れ

 

このように、あるセオリーを基にして

完成させているにも関わらず、

そのセオリーが

どこまで崩せるものなのか、が

まったく謎、なことが

このがま口付き長財布製作の

恐ろしいところ。

 

蛇腹マチ

 

今回はいろいろな事柄が

すべてうまく絡んでくれたので、

完璧な仕上がりです。

 

どれほど高度な技術があろうとも、

金具がなければお手上げですし…

 

厚み

 

当店では、現在いくつかの

がま口付き財布を製作していますが、

 

昔の職人が作った製品

(15~20年前のもの)を見ますと、

現在市場で手に取ることのできる

がま口財布の単品ものとは

かけ離れた手間をかけ、

奥深い技術を使っていることに

気づきます。

 

 

昔のものづくりはすばらしかった。

そしてそういう手間暇かかる技術は、

効率の名のもとに

どんどん失われていることを

感じずにはおれません。

 

おそらく昔の技術を持つ

がま口職人はほとんどが高齢で、

跡を継ぐ人なども

出なかったに違いありません。

 

 

上の二枚のお写真は、お受け取り時に

さっそく中身を入れていただいたところ。

「この前よりもカードが増えちゃって。

あ、でも全部入りますね。」

目の前で

中身をお入れになっているところを

拝見するのは、ドキドキします。

 

このお財布、きっと20年ほど

お使いいただけることと思います。

ありがとうございます。