革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.06.3

外ポケットが多く、荷物がたくさん入るキンチャクバッグ 302

「以前作っていただいたこのバッグ、

普段持ちと思ってお願いしたのに

きちんとした場所まで持って行けるので

もう少し大事に持ちたくなりました。

ですので、これに代わる

普段持ちのバッグを作っていただきたい。」

 

 

 

*正面から見るとバケツ型で
外ポケットの多いバッグ

 

 

お嬢様がご一緒で

「見本がありまして、

このバッグなら母に合いそうなので

買ってきました。」

笑顔でお見せくださったのは

某雑誌付録のナイロンバッグ。

 

「母が使いやすそうだな、と

雑誌の説明書きを読んでピンと来て、

買ってみたら、当たり!でした。」

 

たくさんある中から写真で選び出し、

説明書きを読んでピンとくる、って

なかなかすばらしい観察眼をお持ちです。

 

 

 

*バッグの口がきちんと閉まるキンチャク型、
ショルダーベルトを着脱できるDカン付き

 

 

デザイナーが躊躇したのは、

そのバッグは

ナイロンに向いているデザインなので、

革にとってはかなり作りづらい箇所が

いくつもあることです。

 

最初にお作りしたバッグは

フォーマル的にお使いになり、

こちらは普段使い、とおっしゃいましたが、

こちらの方がテクニカルな作りなので

高価になってしまいます。

デザイナーは「普段持ちのバッグとして

それはありなのかしら??」

と思ったようで、

それを素直にぶつけてみますと

 

この方のお考えとしては

「普段持ちは普段持ち」というだけで、

使いやすくて

普段持ちとして相応しいものが良い、と

思ってくださっていることがわかりました。

シンプルな考え方のクライアントです。

このシンプルさは見習いたいです。

 

この時の価値判断の基準は

「思う通りに使いやすく、

普段持ちの場に適した

それなりにステキなバッグが

できるかどうか?」です。

 

 

 

*キンチャク部分にゆとりがあって
荷物がたくさん入る

 

 

 

普段持ちにするために、

取っ手に布ベルトを使って

カジュアルダウンさせるご依頼です。

 

キンチャクの紐を留める金具も

アウトドア系にして、

ポチっと金具を押すことで、簡単に

紐の伸縮をできるようにしています。

 

お写真でお分かりのとおり、

本体はルバルのダークブラウンに

雨避けのワックスをかけて、

キンチャク部分のナイロン地は

目立たないよう、黒色を使っています。

 

 

 

*細かいもの用の内ポケットがふたつ、
適度なマチが付いて使いやすい

 

 

当店でいくつもご注文くださっている

クライアントですから、

ご自分の希望がどうしたら現実になるか、

熟知して、お話しくださいます。

 

その結果、内側のお色はベージュにして

中のモノを見えやすくし、

外ポケットは

ガラケー携帯が入るように細工しました。

 

 

 

*お札をタテに入れられる内ポケット

 

 

たまたま先日お電話を頂戴しました。

「あのバッグ、とても良いんですよ!

毎日使ってます。

旅行にもこれひとつで

ずっと出かけてました。気に入ってます。

見た目よりモノも入るので

旅行でもほんとに役立ちましたよ。」

 

ありがたいお電話です。

クライアントのみなさまから、

少しお時間が経って

ご感想を頂戴する時がありますが、

うまくお役に立っていることを

知ることができますと、小躍りします。

 

この方のように、ご自分から

「これこれしたいので、

こういう風にできるかしら?」と

お話しくださるのはすばらしいことです。

 

リピートしてくださる

みなさまの中には、

デザイナーの製作物についての

マニアックなご説明を吸収してくださり、

参考にしてくださる方も増えています。

 

このたびのご注文も

ありがとうございました。

あんなに嬉しそうなお声を聴けますと、

私どももさらに頑張ろうと思います。

 

 

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2023.06.1

エレガントでコンパクトなスマホケース 303N

1枚目のお写真をご覧いただくと、

この革製品が何なのか

いろいろなご意見が出ることと思います。

 

一番多いご意見はきっと

手帳カバーではないでしょうか。

 

このエレガントな製品は、

クライアントが愛用していらっしゃる

スマホケースと同じデザインで

お作りしています。

仕様はかなり厳しく難しい仕様でした。

 

 

 

 

 

 

こちらはスマホが真ん中に入るタイプで

(しかも貼付けタイプ)

カードも入り、名刺も入りますから、

スマホの隣に配したスタイラスペンが

まるで手帳用のペンのように見えます。

 

「このスタイラスペンの1辺には

マグネットが入っていますから、

そのマグネットを使って

スマホ本体横に収まるようにして欲しい。」

 

ペンの太さは10ミリ前後。

六角形のペンの1面に仕込まれている

細いマグネットを使って

なるべく無駄なスペースがないように

収めるわけです。

そのサイズ出しの大変さにクラクラしましたが、

何とかできるでしょう、という

製作責任者の言葉を信じてお受けしました。

 

 

 

 

 

 

さて、お渡しの段になりましたが

なんとなんと、スタイラスペンが

逃げてしまいます!

N極とS極が間違ってたんですね…

サイズ感がかなり厳しかったため、

そこまで注意が回りませんでした。

 

ということで、マグネットのプレートを

つけ直す、というアクシデントがありました。

今まではたまたま

この二分の一の確率に勝利してきましたが、

ここで負けてしまったようです。

 

ここから、フルオーダー品の製作では

徹頭徹尾論理的であること、

をあらためて肝に命じた一例となりました。

 

 

 

 

 

 

当店には、

さまざまなアイテムを作るに当たって

いろいろな知識が蓄積されています。

 

使ったことのないものであっても、

意図を理解し、製作できるのは

そうした知識があるからです。

 

クライアントのみなさまに

細かく聞き取りをして得た情報と、

それを調べて裏打ちした情報とを

併せて使いますから、

それらは生きた情報となり、その情報を

他のアイテムにも派生させていくことで

新しい局面での技術の使い方が

できるようになります。

 

ところが、今回は基本的なことで

落とし穴に落ちました。

 

作る仕事というのは、真に気を抜けません。

これは大変だ、と直感する注意事項があると

そちらにばかり頭が行ってしまうことがあります。

今回は、それに気をつけましょう、

となった事案でした。

 

修正までお待ちいただき、

ありがとうございました。

みなさまにも褒められる、とお聞きして

安心しました。

あらためて、ありがとうございました。

 

 

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2023.05.30

薄くてコンパクトなカード入れ付きL字ファスナー長財布 30310

一枚目のお写真にあるのは

カード入れとL字ファスナー財布。

別々にも持てますが、

基本、財布の中に入れて

お使いになるそうです。

今日はそんなご注文品をご紹介します。

 

カード入れは

表面、裏面、各4枚入れられる薄いもの。

 

 

 

 

 

 

このお財布は薄くて小さいけれども、

お札は折らなくていいし

カードもたくさん入るし、

と現在お使いの見本財布を

お持ちくださったクライアント。

 

「これは、少し改良すれば

理想的なお財布になると思いました。」

 

 

 

 

 

 

 

実際にいずれかを使ってみれば

その財布のタイプとの相性がわかります。

 

また、相性のいい財布で、

もう少しこうだと嬉しい…

という内容を反映させることができるなら、

確実にストレスのない財布になります。

 

理想的なフルオーダーメイドの使い方を

してくださったクライアントは

まだお若い方で、

現物のどこが「もうちょっと」なのか、

ご説明も明らかです。

 

 

 

 

 

 

 

今回の見本財布の一番の特徴は

真ん中のカード入れの形でした。

私どもでは

見本のお品を拝見すれば、

その製品の特徴を看破してから

みなさまのご説明を

受け取ることができます。

 

そうすることによって

より速く、より正確な理解ができます。

 

市販品はよく考えられたものが多いですが、

まれに企画しかしない人が企画したものや

単に流行っているから、と作られたものも

あることがわかります。

それは、私どもが

出来上がった品物を通じて

過程までトレースできるからです。

 

 

 

 

 

 

こちらのカード入れは

このスペースに対して、量的に

もっとも効率的なレイアウトです。

そしてそのレイアウトを、どうしたら

使いやすくできるのかを探った結果。

こういう工夫は、見ると嬉しくなります。

よくぞ考えてくれました。

 

 

 

 

 

 

毎回フルオーダーメイドのお品に対して

あれこれ新しい試みをする当店にとって、

こうしたアプローチを

見せていただくのは、ありがたいことです。

 

こうして出来上がった

クライアントのためだけの

フルオーダーメイド品、

きっと今頃お役に立っていることでしょう。

このたびはありがとうございました。

 

 

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2023.05.28

ゴート革のビジネス出張用ボストンバッグ 303N

「30年ほど前に

下北沢で小物を作っていただきました。

その時から、もっと大人になったら

ここでカバンをつくりたい、と

ずっと思っていました。

欲しいカバンもはっきりしまして

やっとお願いできます!」

 

 

 

 

 

 

なんと嬉しいお言葉でしょう。

そして、このように現実的に

ご注文いただけるなんて

すばらしい経験を頂戴しています。

 

 

年月を顧みますと、

当時お若かったこのクライアントが

どんな勢いでお仕事をなさってきたことか、

そのすばらしい成果は、ファッションや

強い目にお会いしただけでわかります。

 

 

 

 

 

 

大きさがお写真でははっきりしなくて

残念ですが、

このボストンバッグは横幅55x高さ39センチ

というとても大きなバッグです。

まず普通には販売されてないでしょう。

 

「出張が多くて、たいてい

10キロくらいの荷物を持って

飛び回っています。

いま持っているボストンバッグは

とても使いやすいのですが、

もっと荷物が入って欲しくて。」

 

 

 

 

 

 

見本になったカバンも

けっこう大きかったのですが、

それよりも大きくなさる、とおっしゃる。

 

「キャリーバッグを使わないのは、

あれは、持って走れないからです。」

いかに時間にタイトなお仕事を

してらっしゃるか、また

カジュアルテイストが入りながら

きちんとした社長のイメージのある

ファッションを拝見しますと、

日常すべてを楽しんでいらっしゃる

ご様子が偲ばれます。

 

 

 

 

 

 

丈夫に作って欲しい、というご要望で、

今回はゴート革(ヤギ革)を

お勧めさせていただきました。

10キロ入るカバンでも足りず

もっと入るわけですから。

 

見本バッグも果たして

ゴート革で作られておりまして、

それを十数年使った、と

おっしゃっておりましたから、

革の厚みも踏襲することにしました。

 

 

 

 

 

 

「xx日から出張なので

その前日に受け取りたいのですが、

いかがでしょう?」

というご連絡を頂戴し、

ギリギリで間に合わせることができました。

 

おいでになってご覧になるなり、

「やあ、カッコイイですね!

それに、大きいなあ。

持ってみて良いですか?」

もちろんです、あなた様のものです。

 

「これはすばらしい!

思った以上にカッコいいです!

それにこんなに大きな鞄は

どこにも売ってないですね!」

 

お持ちになって鏡の前に

お立ちいただきましたら、

ぴったりとお似合いです。

 

 

 

 

 

 

こんな素敵ないでたちで

全国を回っていただけると想像しますと、

それだけで表情が弛んできます。

 

「今までのは小さかったから、

すごく役に立ってくれますよ。」

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

ゴートの革は1枚が小さく

この大きさのパーツを

うまく取るのはなかなか大変でしたが、

こんなにきれいなバッグに

なってくれますと、

いろいろな苦労をした甲斐があります。

 

でも一番の甲斐があったのは、

こんなに喜んでくださるクライアントが

いらっしゃること。

ありがとうございました。

お仕事がますますうまく行くことを

心から願っております。

 

 

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2023.05.26

四角い車のキーと家の鍵を分けて入れるキーホルダー 30207

「家の鍵と車の鍵を

一緒に持ちたいんだけどね…」

とご相談いただいたのは、キーケース。

 

遠方の方なので

四角くて厚い車のキーをお預かりすることが

できません。

 

 

 

 

 

 

そういうときにはその場で

ザクッとした必要寸法を出して、

その後の製作に当たります。

 

たまたま車のキーの長さと

家の鍵の長さが同じだったことから、

キーホルダーを背中合わせにして、

片面を家の鍵用

もう片面を車のキー用に、とご提案しました。

 

 

 

 

 

 

ほとんどお任せでしたので、

横幅も特殊な作り方をして

同じ大きさのキーケースに仕上げ、

手で持った時に一体感が出て

違和感のない持ち心地にしました。

 

そういう持ち心地でも

厚みの違いは触ってわかりますから、

どちら側に家の鍵が入っているか

見なくてもわかります。

こうした工夫が使いやすさを

段違いのものにしてくれます。

 

 

 

 

 

 

念のため、目視でもわかるように

ボタンの色を変えましたが、

これはほとんど見なくて済むと思います。

 

どうすれば身体に優しい持ち物になるか、

いつも試行錯誤しています。

具体的に「このようにしたい」という案が

浮かばなくても、

「こういう使い方をしたい」とご希望を

お話くださったら、

デザイナーはその方の身になって

さまざまな具体案をお話しします。

 

このたびはありがとうございました。

うまくお役に立っていることを願っております。

 

 

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2023.05.22

ホリディピンクのヘビ革 定番ミニ財布 30402

「最近小さいバッグばかりにしたら、

今の小さな財布がボロボロになってるのが

気になってきました。

 

店頭で見ていたら

「嵩張らない小銭入れ付きのミニ財布」

が良いかな、と思ったのですが、

自分がピンとくる革とカラーのものが欲しくて…

革を買いに行きました。

このヘビ革ですが、作っていただけますか?」

 

 

 

 

 

 

 

この方はまだまだ若い方ですが、

小さなバッグに入るものしか持たず、

折りたたみエコバッグをお持ちで

お買い物品はいつもそこに入れて帰る、という

エコ行動を自然に実践しています。

 

いつも個性的で上質なワンピース姿なので、

ブランドの流行バッグをお持ちになるタイプ?

と最初お見受けしましたが、

オーダーをお受けすることで、それは誤解で、

この方の自然な振る舞いの中での

無駄のない行動に、良い意味での驚きを覚えました。

 

この仕事にはいつも、

素晴らしいバランスのクライアントが

おいでくださるのだと、嬉しく思っています。

 

 

 

 

 

 

 

そういう方ですから、私どもの

フルオーダーメイドの使い方も上手で、

今回は、持ち込みの革でも大丈夫、

と信頼をおいてくださいました。

 

私どものフルオーダーメイドでは、

革にはたくさんの種類がありますから、

言葉に表せない

現在のみなさまのリアルな気分や

そのオーダー品にこれから込めたお気持ち

などを、実際に

ご自分でたくさん革を見てお決めになる

アプローチもあり、と思っています。

 

どんな種類の革で、

どんな種類の色がいいのか、

たくさんご覧になってお選びになったヘビ革は

なるほどこのクライアントご自身の

イメージを表していました。

持ち物やお洋服にも似合います。

 

 

 

 

 

 

 

ヘビはお腹から開くので

大きめの斑柄は背中側の柄になります。

革幅の狭い革ですから、

革を継がないでお作りする小物の場合、

見せたい柄の方向によって

限定的に革の取り方は決まっていきます。

 

今回は、

財布を広げた時シンメトリーになるよう、

ご依頼をいただきました。

 

上のお写真で、向かって左側の

フタ部分までひと続きパーツの財布ですから、

小銭入れ部分の柄には

そこから繋がっているイメージがある部分と

方向とを、お選びしています。

 

クライアントのみなさまには

大きなパーツをどう取りたいか、という

全体イメージに対するご希望を伺うだけですから、

こういった細かい部分はお任せいただければ

大丈夫です。

 

とくに手を加えてないかのように

自然に見え、

結果としてより美しい製品になるよう

私どもの方でお選びしていきます。

 

 

 

 

 

 

このミニ財布はつい最近お出しした定番ですが、

とにかく薄い財布で、小さいことからも

すでにいくつかのご注文をいただいています。

 

そういう意味で

製作方法は確立しているはずですが、

この素材には、大きな落とし穴がありました。

 

爬虫類革の中でも、

ヘビ革にしか必要とされない

デリケートな処理をしなくてはならない

部分があったのです。

実際に製作に入ってから気づいたくらい

細かい内容でした。

でもその部分をうまく作らないと、

ぱっと全体を見た時

チープなイメージになってしまいます…

 

毎回毎回、その素材でその形だけに起こる

アクシデントに対して、

まるでそんなことはなかったかのように

お作りできることが、

フルオーダーメイドを標榜する店の証明です。

 

 

 

 

 

 

「ヘビ革はウロコが逆だってしまうから…」

と敬遠する方もいらっしゃいますが、

それは、使い方次第。

 

使うたび

ウロコの方向に沿って手で撫でていただけば、

ウロコはきれいに寝ていきます。

そしてそこに自然のツヤが出て

それはそれは美しい革色に変化していきます。

 

もしかしたら

「ヘビ革のお財布は金運が良い」

と言われるのは、

この、モノを大切にする心持ちで

コトに接すれば、すべてうまく運ぶ、

ということなのかも知れません。

 

いろいろな革がありますが、

ご興味ある革について

デザイナーにお尋ねいただきながら

自分のお気に入りをオーダーするのは、

とても楽しい作業です。

 

 

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2023.05.20

三つ目のおにぎりボストンバッグ 30108 

「鞄の上のおにぎりのとんがり部分が

『ゆとり』空間で、

ほんとに使いやすいんですよ!

 

折り畳み傘とかマフラーとか、

この空間のおかげで

ちょっと余分なものまで収まるんです。

私にとってはパーフェクトなバッグです。

このバッグの使いやすさは

すばらしいです。」

 

 

 

 

 

 

べた褒めしていただいたバッグは

定番の「おにぎりボストン」

こちらのクライアントは

このバッグを日常的に使ってくださり、

TPOで色を使い分けるために

過去にふたつ、ご注文くださいました。

 

 

 

 

 

 

ハードユースしたワインカラーの方が

「先にへたってしまいましたので」

またご注文くださることになりました。

 

「この外ポケットにも

ちょうど私の入れたいものが入るんですよ。

スマホとIDカードと。

このポケットもちょうど良い大きさです。

おまけにカバン自体がとても軽いですし…」

 

 

 

 

 

 

「このバッグは

どれくらい注文が入りますか?

これほど使いやすければ、

きっとファンが多いでしょうね。」

とおっしゃってくださいましたが、

 

当店でお作りする数では

絶対に同じものを持った人と

すれ違う恐れはありません、

と言い切れるのがちょっと寂しいところです。

 

 

 

 

 

 

「ブランドものにはまずないですが、

ほんとに自分が使いやすく思えて

毎日の生活に必要なバッグって、

市販品にはほとんどないですよね。

 

私はこれをひとつ作ってみたら

あまりに私の生活に合っているので、

もう一つ作りました。

そろそろ新しいバッグを、という現在でも、

結局このバッグ以外だと

私の生活で使うことを想像できません。」

 

ほんとに良かったですし、

こんなにお役に立てるなんて最高です。

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

健在な黒のおにぎりボストンは、

持たせていただきましたら

こんなにお荷物をお持ちですか!

と感じるほどお荷物が入っています。

 

中身をたくさん入れるバッグであれば、

その重量に耐えられるよう、

ある程度自重の縛りは必要になります。

このバッグのように二本の持ち手があると

より軽くすることができます。

 

 

 

 

 

 

その他、形が崩れないよう

底面には芯を入れ、鋲を打ちます。

 

今回は

実際に使ってくださっているバッグを

お見せいただきましたから、

ヘタる部分を反映させて、

見えない補強を増やしました。

 

外からは

どこも変わったところは見えなくても、

内側はかなり変えています。

 

こんなところが

当店定番品のすごいところ。

たとえ同じ形であっても、

使う人に合わせて中身を変えています。

 

そしてそれが恒久的な内容であれば、

定番としての仕様を

どんどんブラッシュアップします。

貴重な経験をありがとうございました。

 

 

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2023.05.17

ダークグリーンクロコダイルのカードがたくさん入る長財布 30203

「いま持っている長財布は

良いんだけど、

この革はあまり好みではないので

クロコダイルで欲しいんだよね。」と

有名ブランドの珍しいザインの長財布を

お持ちになったクライアント。

 

 

 

 

 

 

お札もたっぷり入りますし

カードがたくさん入る長財布です。

今回はご希望が明確でしたから

「タテ入れのカード入れですと

真ん中が膨らみますが、

このままの仕様でよろしいですか?」

という確認をしただけのご相談で、

クロコダイルのご希望色を伺いました。

 

 

 

 

 

 

たまたま他のクライアントのために

お取りしていた色があったので、

お見せしたところ、

そのお色を気に入ってくださいました。

 

わたしどもがお取引のある

エキゾチックレザー専門店は

「最近は小ロットで

感じの良い色を染めるようにしています。

色を厳しく指定して、色留めもしています。

色染めは日本でやる方が間違いなく、

指定した色できちんと染められるからね。」

と、良い色目で染めています。

ほんの少し色目が変わるだけで

ちょっとね…となってしまいますから、

こういう色目で作っているところがあるのは

とてもありがたいことです。

 

 

 

 

 

 

内側のカード入れの最下段は

左右ともに、クロコダイルにしました。

ほんの少しアクセントを加えることで、

イメージはぐっと変わります。

 

どの斑柄で取るかは

大きなパーツを取ったあとで

一番良さそうな柄を選んで決めます。

 

 

 

 

 

 

クロコダイルの革の大きさは、様々です。

そんなの当たり前でしょ!

と言われそうですが、

たくさんある大きさの中から

製作するお品物の大きさに合わせて、

毎回型紙を作ってから

買い出しに行きます。

 

個体差がある該当する大きさの革の中から

必要枚数を選ぶのは、真剣な作業。

見落としがないよう、

明るい日差しの中で見せていただきます。

 

 

 

 

 

 

今回の長財布の斑柄は

上のお写真のように配置しました。

外から見ると

大→小へと斑柄が変わっていくのが見えます。

自然はすばらしく美しいものを生み出します。

 

クライアントには

とても気に入っていただきました。

このたびはありがとうございました!

 

 

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2023.05.15

ふたつ目は超軽量スマホケース 303N

「もうこれ以上は無理かもしれません。」

とお答えしたご依頼内容は、

 

「以前作ってもらったスマホケースと

同じものが欲しいのですが、

もっと軽くしていただきたいのです。」

 

 

 

 

 

 

私どもでは、躯体の長保ちなどを考えながら、

いつでも、なるべく軽量のオーダー品を

お作りしていますから、

 

「これ以上に軽く」と言われますと

ちょっと途方に暮れてしまいます。

 

前回のケースも、同じ仕様で83gでした。

パタパタのページをお付けして、

シェルカバーも含めて

この重さであれば良しという重さですが、

どうしましょう。

 

 

 

 

 

「この面のカード入れを減らしても

大丈夫です。」ということで、

芯材の入れ方もさらに変えて

改変に改変を加え、とにかくやってみました。

 

たまたまシェルカバーも

超軽量のものがありましたし、

裏地専用の革の中にも

かなり薄い部分がありましたから、

そこを使えば何とかなりそうです。

 

 

 

 

 

 

そして出来上がったケースの重さは、

驚くことに46g、となりました。

私どももここまで軽くできるとは

思いませんでしたから、

この軽さでどこまで保つかが

これからの問題かもしれません。

 

しかしこのクライアントにとって

もっとも重要な問題は、

「とにかく軽く」でしたから

ご注文いただいた甲斐はあったと思います。

 

 

 

 

 

 

何かを入れる容器の重さは、

中身に合わせてお作りする必要があります。

バッグなどはそれを鑑みて

ギリギリの線まで落とすこともありますし、

 

逆に立派な体格の方で

重さは気にならない、という方へは

重めに作ることもあります。

 

当店でお作りするオーダー品は、

お使いになる方の身体に合わせて

お作りしています。

これをお持ちいただくことで、

身体が楽になり、

気持ち良くお過ごしいただけることを

願っております。

このたびもありがとうございました。

 

 

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2023.05.13

革になる前の牛と原皮の話:㈱栃木レザーにて

久しぶりに㈱栃木レザーへ行きました。

今回案内してくれたのは

当店の革を製作担当しているMさん。

Mさんは下地づくりから仕上げまで

みっちりやってきた壮年の熟練者ですから、

革に関する新しい情報をたくさんお持ちです。

 

創業1937年の㈱栃木レザーの

営業を続けてきた長いスパンの中では、

工場で使う薬剤の変化だけでなく、

法律が変わったり

牛の育て方が変わったり、と

ひとつとして同じ状況はありませんが、

そんな中でも良質な革を作り続けようと

彼らは日夜努力しています。

 

 

 

*タンニン層を移動させているところ

 

 

原皮はカナダのトロントから輸入してますが、

一時期はアメリカの革も試したり…

と、試行錯誤の末

結局トロントの原皮に戻ったとのこと。

 

20年ほど前から、日本では

2年半以内の肉しか輸入できなくなっていることや、

効率よく肉を育てるための高価な配合飼料を

なるべく使わなくて済むように、

30年ほど前まで

4~5歳で肉になっていた牛たちは、

現在2~3年で肉になっています。

 

飼料だけでなく、牛の扱いも変わってきていて、

ここの所ずっと

キズや虫食いの多い革が当たり前になったのは、

それまでの習慣が変わったからだそうです。

 

 

 

*鞣し工程20のうちの1~3

 

 

 

昔は、牛たちを小屋に入れる前に

塩素水プールに入れる習慣でした。

私たちがプールに入る前、

小さな塩素水プールにざぶんと入るのと

同じ感じだったことでしょう。

 

ですがその時、

塩素水を誤飲してしまう牛がいるため、

その行程は止められました。

効率を求めて習慣も変わります。

 

元々なぜ塩素水に入れるかというと、

蚊や虫に刺されてかゆくなったりすると

牛がイライラして暴れるので、

それを避けるためでした。

 

塩素水に入らなくなると

虫刺されが増え、

そのかゆみを抑えるために

地面をゴロゴロと擦ったり

暴れたりして、キズが増えているようです。

 

 

 

*この後乾燥させれば、下地革が完成します

 

 

原皮の出荷量や質は

今後どうなると思いますか?

とMさんに質問しますと、

「これからは、代替肉の出現によって

肉の消費量がどう変わっていくかが

関わってくると思います。」

 

前にも書いたように、

「皮のための牛」はいませんから

「肉のための牛」がどうなるかが

ポイントです、か、なるほど。

 

今の総合餌は

どれだけどんなものを食べさせると

効率よく肉が肥えるか、をテーマにしていて

「肥育」という言葉もあるくらいです。

まさに「肉のための牛」ですね。

 

牛という家畜は、肉を除かれた後

頭のてっぺんからしっぽや蹄まで、

すべての部位が有益に使われます。

他にこれほど活用される例は

あるでしょうか?

 

貴重な皮だからこそ昔から、

長く使える革の状態にして革製品を作り、

使い続けてきました。

皮から革へ、はすばらしい発見です。

今日は原皮のお話でした。

 

 

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