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2024.09.14
25年以上定番の簡易名刺入れと、お揃いのハードな手帳カバー 40708
30年以上のお付き合いになる
クライアントが、
「御社のね、この名刺入れが
とても良いんですよ。
そろそろ何か作りたいと思ったので、
これを新しくしようかと思っています。」
と、嬉しいお話をくださいました。
「この名刺入れはどこが良いかというと、
この違え違えのパーツに
差しあげる自分の名刺を挟んでおくと、
相手の方にスッと渡せるんですよ。
きれいに気持ちよくお渡しできるんで
とても気に入っているんです。
なかなかこんなのは売ってないですよ。」
*ネーム入れをした定番名刺入れ。
簡易な名刺入れですが、この方のように
場によってメインでお使いくださっている方も
いらっしゃいます。
私たちのお店で何かオーダーすることを
楽しみにしてくださっているご様子で、
プレゼント品なども
よくご注文くださっています。
「どこにも無いものをプレゼントすると
とても喜ばれるんですよ。」
ありがたいことです。
*ネームの字体もそろえています。
この字体は、アメリカンでシルバーカラー。
もう一点お揃いでご注文いただいたのは、
ジャケットの胸ポケットにお入れになる
手帳カバー。
前回のものはかなり前にお作りしていて、
通常のカバーよりも硬めに、という
リクエストにお応えしたものでしたが、
「そろそろ柔らかくなってきました。
胸の形に丸くなるようになりましたから。」
とのことで、以前より硬めにすることに。
一段と硬さが増したため、お渡し時
「ここまで硬くして大丈夫ですか?」
とお尋ねしたくらいです。
それでOKが出ましたから、まずは安心。
でも実際にお使いになって
違和感がありましたら、お知らせください。
対処します。
当店オリジナル牛革は、
使っていくことで
ツヤが出て柔らかくなるタイプ。
それをどこまで使うかは
使う方の好き嫌いによります。
柔らかくなることがお嫌いでしたら、
硬くお作りすることもできます。
ただ、ツヤが出ないようにすることは
無理でしょうか…
ご希望はなんでもお話ししください。
長いお付き合いを頂戴し、
ありがとうございます。
2024.09.12
ハイブランド革ブラックのミニおにぎりショルダーバッグ 2409N
メールでお問い合わせを頂戴しました。
「白いミニおにぎりバッグと同じバッグを
黒で作っていただきたいですが、
それは出来ますか?」
販売済みの参考デザインをご覧くださっての
ご質問は、とても嬉しいです。
なかなかお店用バッグは作れないですが、
時間がある時
満を持してお作りした一点ものは、
どれも使いやすくお薦めデザインですから。
メールでのやり取りの場合、通常は
最初に、簡単な図や
他社製品が掲載されているURLで
全体の形をご説明いただき、
ご希望の革の色をお知らせいただきますが、
今回は詳細がありますから、
革の色をお知らせいただいてから
ご相談に入りました。
その結果、オリジナルどおりで
というお話でしたが、
やりとりが続いていきましたら、
オリジナル品は基本手提げタイプで
肩から下げるぎりぎりの長さの手紐ですが、
ご注文者は肩掛け専門とわかりましたから
長さを変えるご相談をしました。
クライアントの身長と体格をお聞きし、
コートのタイプも伺ってから
それに合わせて手紐を少し長くし、
同時に手紐をたためるよう
ジョイント部分に金具を入れました。
メールのやり取りから、きちんとした
かわいらしい雰囲気の方と思いましたので、
金具は丸いラインの少しかわいいタイプに。
本体がハイブランドの革で
シリアス一辺倒な雰囲気になりがちですから、
少し個性をプラスしました。
バッグのデザインにもぴったりと思います。
当店では、
定番バッグに対するご相談にも
アドバイスを差し上げますから、
みなさまのオーダー品を
ちゃんと使えるものに仕上げることができます。
当店ならではのフルオーダーメイドは、
定番品のサイズ替えや仕様変えにも
きっちり対応します。
こんなことできないかしら?
という内容があったら、
何でもご相談ください。
お届けしましたら、ていねいな
御礼のご連絡を頂戴しました。
************
大きさと外ポケットが理想的なサイズで
とても嬉しいです。
定期入れがサッと取り出せるのでありがたいです。
持ち手の長さも問題なく肩にかけられ、
しっかり持てます。
まだ使い始めたばかりなので固さに慣れてませんが、
これから大事に使っていきます。
************
ご感想をありがとうございます。
大きさがちょうど良いことは
バッグにとってもっとも大事です。
何かお手持ちのバッグのサイズと
比べていただいたのでしょうか?
長くご愛用いただけることを
心より願っております。
このたびはありがとうございました。
2024.09.10
すばらしいポロサスのiPhone15proケース 407N
もう何台も当店ケースをご愛用くださっている
クライアントです。
今回は15Proに機種変とのことで、
あらためてご依頼いただきました。
今回もポロサスのブラックです。
ケース内に1万円札が入るようにしているため、
ケースのタテ寸法は
iPhone本機より長いですが、
このタテのパーツは
表面→裏面、と接ぎ目なく取っています。
ため息が出るほどゴージャス。
*1枚取りのパーツはひと続きですから、
表裏で上下が変わります。
「前回と同じものを。」
最初の3台までは
仕様に試行錯誤がありましたが、
今はずっと同じ仕様に落ち着いています。
クライアントがこのケースを
どれだけ長くお使いくださったことかと
思い起こしますと、すでにもう
生活の一部となっていることは明確です。
きっと暗闇の中でも、必要なものは
すべて出し入れできるはずです。
頻繁に扱うものに対して
日常生活で煩わされることのない、
すばらしい解決策です。
*左の一枚続きの斑柄をご覧ください。
クライアントが
これを気に入ってリピートしてくださるのは、
一番下のお写真にある、本機の収め方です。
このアイデアは、
電子機器と比べて寿命の長い革ケースを
どうやって長く使っていただくか、という
デザイナーの気持ちから生まれています。
それを、このクライアントは、
カードのような平らなものなら
分けて入れられる枚数が増える、
というメリットとして使ってくださっています。
*内側はヌメのワインカラーでシャープかつ
エレガントに仕上げています。
現在スマホやタブレットには
合理的なシェルカバーが作られていますが、
かつてのiPad発売当時には
そういうカバーはもちろん存在していなくて、
どのように本機を革でホールドするかが
一番の問題でした。
その時のアイデアを、
このような形で使っていただけるのは
まことに嬉しいことです。
このオーダー品はかなり複雑な製作で、
毎回細心の注意を払ってお作りしています。
お送りしまして、メールを頂戴しました。
***********
本日到着いたしました。
内装のワインカラー落ち着いていて、
綺麗ですね。
相変わらず、素敵な作りで、満足です。
大事に使わせて頂きます。
今後ともよろしくお願い致します。
************
いつもありがとうございます。
快適な生活に貢献出来て嬉しいです。
↑ 最後に衝撃的なお写真を!
当店ではどんな製品に対しても
最高品質のお品をお届けします。
今回もこの方のスマホケースは
センター取りのひと続きパーツで
お作りしています。
ここまで良い斑柄のポロサスは
滅多にお目にかかれません。
先日お書きした流そうと思った時に
ちょうどいただいた引き合いでした。
これもご縁です。
*左はパーツを取る前のポロサスの1枚革。
右は革屋さんに納品される時のポロサスのタグ。
市場に出回る時には、
ここはたいていカットされてしまいます。
脇の革で小物をお作りできますから
クライアントにおの
残りサイズのお写真をお送りしたところ、
「ポロサスのもっとも価値ある場所で
ケースを作ってくれたんですね!」と
ケースについて感動していただきました。
偶然ですが、私たちの製作姿勢を
あらためてご覧いただけることになり、
良かったと思います。
このたびもありがとうございました。
2024.09.8
3代目の長財布 2407N
7年ほどお使いいただいた長財布を
そろそろ替えたい、とご依頼いただきました。
前回はなるべく小さく、なるべく薄く、
というご依頼内容だったことと、
かなりハードにお使いになる方のため、
このあたりが限界のようです。
革製品の保ちは、革の厚みに直結しています。
厚ければ厚いほど長保ちします。
しかしそれが、使いやすいか?
その方にとって重くないか?
ステキか?といったら、
人によって感じ方が違います。
私たちがオリジナルで作っている革は
ヌメ革で、
それも昔からの製法で作られた革なので、
きれいにエイジングしていきます。
最初、少し硬いかな?と感じても
毎日触っているうちにどんどん柔らかくなって
手に吸い付くような触感になっていきます。
使っているうちについたキズも
使用過程で治っていきますし、
革は柔らかくなるのに
芯のしっかりした形は損なわれません。
この革を一回使った方は
他の革では違和感を感じる、という
ご感想をお持ちになります。
そんなわけでこのクライアントも
毎回リピートしてくださるのですが、
当店オリジナルの革の良さを体感してくださる
みなさまには、感謝感謝です。
リピートしてお作りくださる方の中には、
年齢が上がったり
持ち物が変わったり
使い方が変わったりすることで、
仕様変更する方もいらっしゃいます。
今回は、年齢が上がったことで
もう少しゆとりのある大きさにしたい、
とお思いになったことで、
長い辺の長さを6ミリほど長くしました。
ほんの少し寸法が大きくなるだけで、
格段の使い勝手の違いに繋がります。
こんなこともどうぞご相談ください。
このたびもありがとうございました。
日頃のご愛用に感謝申し上げます。
2024.09.6
4代目のスマホケースと小さめデバイス用ケースのミニ歴史 2408N
スマホを使うようになってから、
このケースだと電話がしやすい、と
当店タテ型ケースを
ずっとご愛用くださっている
クライアントがいらっしゃいます。
このたびのケースで、4代目。
ひと機種を長くお使いになる方で、
ここ5~6年は、資料を作るとき以外
ほとんどスマホで仕事が済む、と
一日の大半を、それも長いお時間
電話とメッセージだけで
お仕事を進めてらっしゃるとのこと。
どこにいらしても仕事ができるわけです。
最先端の仕事のやり方の実践者で、
必要なものは
すべてこのケースに入っていますから、
当店スマホケースが
お仕事の一端を担っていて、嬉しいことです。
*これが替える前のスマホケース。
革の元の色はワインレッドですが、
始終持っていると、これほど色が変わります。
革は柔らかくしなり、馴染んだ使い心地です。
そのような使い方ですと
どの方よりもハードユースのため、
丸4年お使いいただいたところで
土台となるシリコン製のシェルカバーも
分解寸前となり、
「新しいのを作りましょうか。」と
ご依頼いただきました。
*シェルカバーも分解しそうですが、
しっかりケースに貼り付いているので
しばらく使っていられました。
デザイナーは驚いていました。
「シリコンのシェルカバーが
壊れるところは、初めて見ました。
シェルカバーも含めて
耐久テストをしていただいてるみたい。
ありがたいことです。」
ご依頼は、今後も同じ機種のまま
使い続けるとのことで、
まったく同じ仕様でお作りすることに…
*こちらはま新しいケース。このタテ開きは
電話で話すことが多い方に向いています。
ケースの折れ曲がる部分(厚み分)の
革の切り替えは、
折れ曲がり部分の補強のためです。
これはこの方の
過去のハードユースを見てきたことから、
なるべく長く保つように、と
普通の使い方の人には施さない補強です。
ここの革を厚くすることで、
革が慣れてくるまでの間は少し硬いですが
のちのち丈夫さを発揮してくれます。
それでも前回のケースは
この部分の糸の縫い直しを2回しています。
毎日最低二度は使うことになる
定期入れなどでも、
糸の縫い直しをお持ち込みいただくのは
10年以上のものでも
ほとんどないことを考えますと、
どれほどのハードユースかが
想像できるというものです。
*今回内側のお色はブラック。シェルカバーと
同じお色で、引き締まったイメージです。
さてここで、
シェルカバーのお話をしましょう。
スマホやiPadに対して
専用のシェルカバーが販売されるまでは、
これらのオーダーケースを作る場合、
どうやって本機を収納するかが
重要な課題となっていました。
それぞれの機種の形状は、まったく
革の縫製に見合わないものでしたから。
オーダー例を見てみますと、
2003年前後にたくさんご注文のあった
携帯電話以前の
ケースは、もちろんシェルではなく
完全に革のみでくるんでいます。
*CLIEケースのひとつ。外側の小さなポケットは
専用カードを入れるようになっていました。
最初期のPDA、IBM社のChip Cardは
ガジェット好きの耳目を一身に集めました。
下の紙焼き写真には’96と入っていますから、
どれだけ前のことでしょうか!
のちに出たどの機種よりも
小さなサイズ、カードサイズでした。
*手のひらに入るくらいの大きさで、
この大きさなのに、驚く機能の極小PDAでした。
’95年、’96年にはIBMウルトラマンPC(110)、
東芝からリブレット、という
画期的な小さいPCが誕生し、
そのケースも、私たちは革のみで製作しました。
残念なことにこの頃のお写真が
見られない状態なのでお見せできませんが、
とてもステキなデザインでした。
そうこうするうち
iPad初めての発売が2010年に始まり、
今に至るまで脈々と販売され続けています。
シェルカバーが考案されるまでは、
ご依頼があるとやはり革でくるんでいました。
毎回かなり頭を使って
きれいな形に収めていました。
下のお写真の感じです。
*シェルカバー発売前の、革でくるんだiPad。
ところどころの丸い形状と開ける必要のある
穴の位置が、革製作泣かせでした。
とまあ、こんな具合でしたが、
ある時、気が付いたら突然
シェルカバーなるものが販売されていて
私たちは小躍りしたものです。
シェルカバーをそのまま使いますと、
無理くりな縫製がなくなります。
すばらしい発明です!
*シェルカバーには素材が何種類かあり、
革ケースの内側として使えるものと
使えないものとがあるのが、トリッキー。
こうして今回、
分解したシェルカバーを見たことで
いろいろと思い出しましたが、
世の中にはいろいろな発明があります。
当たり前に入手できるものの中には、
きっとたくさんあるでしょう。
私たちが便利で安価に使えるのは、
それらが量産できるものだからです。
それと真逆なのが
フルオーダーメイド製品ですが、
しばしば巷にある量産材料を使って
世界に一点しかないものをお作りしています。
いずれにしても
興味深いご注文品があるから、
フルオーダーメイド品を作る時の
新しい発想や技術に繋がります。
これまでの楽しい製品群に感謝しています。
そして、当店スマホケースを
ずっと使ってくださっている方々にも
さらなる御礼を申し上げます。
2024.09.4
A4サイズでないリュック温故知新、過去の製作例
おかげさまで銀座に越してから
丸15年になります。
みなさまのご愛顧に感謝いたします。
15年もひとところで仕事をしてますと、
いるもの要らないものがはっきりしてきます。
そこで
さまざまな整理をしているところですが、
丸43年の歴史を持っておりますと
紙焼きの写真で
ネットに掲載されていないオーダー品も
多々出てきます。
本日はそんな中で
チャーミングなリュックをご紹介します。
現在のリュックの劉生が
四角いA4サイズの入ることだと考えますと、
それに囚われない
何ともきれいなデザインがありました。
ご参考までにご覧ください。
上のお写真は
昔の登山などに使われたリュックデザインの
イメージですが、総革で、タテヨコの
比率などもエレガントにお作りしますと
こんな雰囲気になります、という代表格。
今ではこうした紐で口を閉じるタイプは
小さなリュックでしか
見ることができません。
こちらも、ある時代
一世を風靡した巾着リュックです。
懐かしいと思われる方も
きっといらっしゃることでしょう。
サンドバッグのような形に
見えるかもしれませんが、
これを片方の肩掛けしてサッと歩くと
ホーボー風の
カッコいい人に見えました。
おもに男性がお好きなデザインでした。
これを小さくして
バッグタイプにしたものも、
当時はひとつの型として存在しました。
こちらは、
もはやどのようにお作りしたか
定かでありませんが、
この頃はA4を入れることを
まったく考えないデザインが主流でした。
それは、リュックは
仕事に持って行くものでなく、
あくまでも余暇に使うバッグという
種類だったからです。
TPOも変わったものだと思います。
このかわいいリュックは
オーダー例でご紹介したかもしれません。
いつ見てもキュートなので
思わず選んでしまいました。
全体的に丸いライン、
ところどころに挟んだ
ベージュのアクセントが効いています。
こちらがこの中では一番新しい部類です。
この辺りのデザインから、
A4を入れるリュックが増えてきました。
リュックをオーダーでお考えの方は
多いようですが、
昔のデザインもご覧いただき、
参考にしていただくと
よろしいかと存じます。
2024.08.31
ポロサス、しっぽ部分・竹斑のサングラスケース
サングラスには
レンズの大きさや弦の起ちあがりに
いろいろなサイズがあります。
とくに男性ものになりますと、
かなり大きくて四角いレンズや
弦の付け根の起ちあがりが高い製品は
デザイン的に
不動の人気がある気がします。
フルオーダーメイドのお店なので
とくにそのように感じるのかもしれませんが、
今回ご注文いただいたケースにも
そんな大きめサングラスが入ります。
*竹斑の良さが引き立つデザイン。
当店定番には、
大きく分けて三つのタイプの
メガネケースがあります。
・全面かっちりとしたハードタイプ(大)
*大小サイズでデザインが変わります。
ちなみに普通メガネはこちら(小)
・一部を硬くしたセミハードタイプ
*全体を硬くすることも可能です。
・もっともコンパクトな柔らかタイプ
メガネやさんには、革製以外の
全面ハードなケースが多いため、
当店は、革ならではの素材個性を生かした
バリエーションを揃えています。
*正面開いたところに愛嬌があります。
セミハードなので、コンパクトサイズで
バッグに収めやすい。
店頭で3種をお見せしたところ、
気に入ってくださったのが
セミハードタイプ。
「これくらいの硬さだと
バッグに入れやすくっていいですね。」
はい、まさにそのとおりです。
ところがやはり
お持ちのサングラスは大きく、
定番からサイズ変更しなくてはなりません。
私たちは、アトリエ隣接の良さを生かして、
サングラスをその場でお借りすると
型紙を取ってしまいます。
ですから、みなさまには
ご相談で一度ご来店いただいたあとの
二度目のご来店では、
ジャストフィット製品を
受け取っていただくことができます。
*オーソドキシー ラインのうしろ姿がキュート。
この場所柄と技術の機動性が
どこもまねできない当店の特長であり、
その結果として
気持ちよいフィット感と
高品質が産まれます。
このメガネケースは
ポロサスで作るとさらに、
驚くべき製品になります。それは…
パーツが1枚革で出来上がっているために
ケースのどこにも、継ぎ目がありません。
*もちろんスエードタイプの革裏地は
お付けしています。
それはつまり、
手触りが良いことに繋がります。
このケースには
どこにも段差がないわけですから。
このように
使う革素材にぴったりの作り方ができますと、
うつくしいだけでなく
触って気持ちよい、
使いたくなるオーダー品に仕上がります。
このたびはご注文ありがとうございました。
すばらしいオーダー品を作ることができて、
私たち製作者もとても嬉しいです。
ポロサス3点セットは
かなり長くお使いいただけます。
ずっと愉しんでいただけることを
心より願っております。
2024.08.29
クロコダイルのポロサス、喉部分の斑柄のキーケース 407
「今回の注文品を作ると
ポロサスのこの部分が余るようですが、
小さいキーケースは作れませんか?」
とクライアント。
注目してくださったのは、喉部分の革。
いつももったいないな、と思っている
まさにその場所のひとつなので、
このオーダー品に直結しました。
ありがたいことです。
*左側が喉の上の方。
接ぎ剥ぎのない自然のパーツはやはり美しい。
キーケースといっても
キー1本とエアタグを入れる予定なので、
なるべく小さくしてパッと持ち歩きたい
というご希望です。
エアタグがカバー付きのため
簡単なようでいて発想が必要なご依頼ですが、
「じつは私、
こういうキーケースを持っていまして」
と見せてくださった製品がありましたから、
今回はその一部の仕様を取り入れ、
まったく別ものに仕上げました。
*中身の厚みに合わせた広めのファスナー幅。
最小サイズにするための工夫が随所にあります。
右は実際に中身を入れた時の幅。ぴったりです。
また大きさだけでなく、
カバー付きのエアタグが
少し厚みのあるキーと重なりますから、
ふたつをそのまま重ねて入れるのでは
けっこうな厚みあるケースに
なってしまいます。
ですから、小さいとは言っても
ふたつの重なりが少しずれて収まるような
大きさにしています。
*実際に中身を入れたところ。
ドンピシャのサイズ感に歓声が上がりました。
出来上がったキーケースには
最終形として
ふたつの選択肢がありましたし、
絶妙な大きさの製作品であることや
ご注文者の大きさ感覚も問題にするお品では、
ダミー製品が大活躍します。
ご依頼者にはダミーを扱っていただき
最終形を決めることにしましたから、
いつもは
ご相談→出来上がり時、の2回来店ですが、
今回はそれに、ダミーを使用する来店
をプラスしていただきました。
おかげさまで、サイズはドンピシャ!
これ以上のフィット感で
このオーダー品を作れる人は、
どこにもいないでしょう。
お受け取り時、クライアントから
「これほどぴったりのサイズで
仕上がるとは、思っていませんでした。
最高の出来上がりですね!」
と言っていただきました。
*製品になるとこのように見えます
という柄の見え方を何種かお見せして、
全体のパーツ取りをご指定いただきます。
上のお写真は革の喉部分です。
基本的なお話をしますと、
ポロサスやナイルの革の場合
お腹を中心にして脇腹までがヨコ、
顎裏からしっぽまでがタテ、という1枚です。
お写真の上の部分が喉ですから、
下の方へ行きますとしっぽの裏側になり、
竹斑(四角い斑柄)斑柄に柄が変わります。
本体と竹斑の間にはおしりの穴があり、
そこまでが本体というイメージです。
少しリアルすぎる説明でしたでしょうか?
今回のように全部を使っていただけますと
革も本望です。
すばらしいご注文をありがとうございました。
クロコダイルはとても長保ちします。
ずっと重宝していただけることを
心より願っております。
2024.08.27
クロコダイル、ポロサスの3点セット。ファスナー長財布
このポロサスは
ご依頼から半年ほどお探しした革です。
日本に入って来る輸入クロコダイルの中で
ポロサスの割合は、1割強くらい。
もともとの入荷数も少ないですが、
世界の革製品業界にはヒエラルキーがあって
高額な支払いをできるブランドが
まず最初に最上の革を持っていきます。
そして次なるブランド…となりますから、
革製品の製作が少ない日本では
「パーフェクト」な革は
ほとんど見つけられません。
何をして「パーフェクト」というか?
当店では、それは斑柄が水平にまっすぐで、
島(途中で水平を乱す斑柄の流れのことで、
これはデザイナーが勝手に使っている言葉)
のないタイプ、と解釈しています。
この解釈は各クライアントと接して
聞き取りをした結果の「パーフェクト」ですから
顧客目線での理解です。
でもそういう意味でお探ししますと、
どこの扱い店でもバッサリと
「あ、そういう革は日本に入ってきません。」
との返事が返ってきます。
リアルな生き物の革にもかかわらず
工業製品のような斑柄を求めるのですから、
それは当然、稀有です。
その旨は 最初に
クライアントにもお知らせしましたが、
その中でなんとか良いものを、
というご依頼をいただきました。
デザイナーは
ご依頼者のほんとうのご希望を
理解しているだけに、う~ん、と
うなりながらお探ししていました。
革問屋さんはそれぞれ独立して
自分なりの方法で仕事をしていますが、
横の繋がりのある所とない所とがあります。
どこが単独で
またどこがどこと繋がっているのか、
それこそが秘密なので、いつ、
どこにどんな革が転がり込んでいくかは
まさに縁しだいというところです。
信頼のおける革やさん複数にお声掛けして
候補が出るごと見に行っていたデザイナーが、
「今まで見た中でこれは一番!
これ以上はないと思います。」
という革があったため、
クライアントにはお写真でお見せしました。
なぜなら、クロコダイルの革は
お借りすることができないからです。
ところが、これは
デザイナーも気になっていたのですが、
革がやや大きく、今回のお品では
パーツの端に向かって斑柄が小さくならない
大きさだったため、
その旨もご説明したところ、
残念ですが今回は流しましょう…となり、
とても惜しい革でしたが
入荷しませんでした。
たまたまその時、デザイナーは
「あ、まだあそこがあった!」という
一軒を思い出し、出かけて行きました。
すると「先の革と違って島もないし、
水平さでは劣るけども、それ以外は完璧だわ。
このサイズなら長財布の斑柄もOKだし。」
という革と巡り会えて
今回のオーダー品となりました。
当店ではクロコダイル製品の内側には
当店オリジナルの表用ヌメ革を使います。
それは
クロコダイルには存在感がありますから、
ファスナーを開いた時
内側の牛革も存在感のある革でないと、
あら!?と違和感を感じてしまうからです。
中も外も同じバランスの製品であることは、
大事なポイントです。
というわけで、
クライアントからは喜んでいただきました。
店頭で、ご自分の目の前に掲げて
「ほんとにきれいです!」と
こちらまで嬉しくなってくる表情で
オーダー品を何度もご覧くださいました。
このたびはありがとうございました。
2024.08.25
アップルグリーンの太幅ベルト 406N
ベルト好きなクライアントから
今回ご依頼を受けたのは、
一筆書きのような1枚革のベルトです。
この方からご希望いただくような
太幅のベルトは、
使用サイズの変更幅が大きいと、
何をもって最長、最短サイズとするか
また、フィット感はどこを基準とするか
という問題が多々起きますから、
今回もご注文者が良いと思ったベルト見本を
お持ちいただきました。
今回はオリジナル品からの
サイズ変更はありませんでしたが、
もちろんそこから
サイズ変更いただくことも可能です。
見本のベルトは
1枚革でサッと作られたように見えますが、
そこは綿密に計画された量産製品ですから、
手間暇と材料費がかからないような工夫が
あちこちで見られます。
たくさん作るからこそ、の製法です。
そういう製品をトレースする時、
当店では一本作るだけですから
最初から最後まで手作業となり、
場合によっては
対応不能な準備手順が出ることもあります。
それは「抜型」の存在。
たいてい抜型がなくても問題ないのですが、
今回は
ある部分に対して抜型を使うことで、
無理ない製作が可能になる作りでしたから、
そこを手作業で行うことは不可能でした。
それは、見本とまったく同じにする、
という意味でです。
そういうわけで、ひとつだけ、
小さな点を踏襲することが
できなかったのですが、
美意識の高いクライアントですから
その部分についてはご説明しました。
該当部分は、
気になる方と気にならない方とに分かれる
ほんとに些細な部分でしたが、
デザイナーはそれをお話ししないことは
許せなかったようです。
また、これは革の問題になりますが、
1枚革でお作りする場合
革の厚みが重要になってきます。
通常のベルトであれば
3~5ミリ厚の範疇でお作りしますが、
ファッションベルトの場合、
幅や、求めるしなやかさによって
それが変わってきます。
見本は1.6ミリという厚みでしたから
お選びいただいた革で
どう作るかが問題となりました。
表面加工は革によって違いますから、
同じ厚みで作っても厚く感じる場合もあれば
薄くてもしっかり感じる場合があります。
「こんな簡単なベルトでも?」
という声が聞こえてきそうですが、
作る人たちが作る立場から、
使う人が何を良いと思っているかを
正確に表現しようと思いますと、
このような
詳細な製品分析が必要になります。
このベルトは
締めますと上のお写真のようになります。
幅の広い部分と狭い部分のコントラストが
おしゃれなベルトです。
「出来上がってみると
色がさらにはっきりして、良かったわ。
いろいろ使えそうで楽しみ!」
このたびもありがとうございました。