2012.12.8
最近の革製品の品質とお値段
今日は、12~3年ぶりに、あるお客さまがお出でくださいました。
印象深い、楽しい女性のお客さまです。
「おたくで作ってもらったバッグ、すごくいいのよ。
だけどね、革製品を洗って、色を付けてくれるお店に出しちゃったら、
革の表面がぼろぼろになって、使えなくなっちゃったの・・」
革の染め直しをする、といううたい文句のお店は近年たくさんありますが、
壁に、スプレー式のペンキを塗りつけるようなもの。
最初はびっくりするほどきれいですが、すぐにお写真のようになってしまいます。
ですから、革のメンテナンスは、オイルケアだけ、とお考えください。
くたびれる前に、まめにオイルを塗ってあげることが大切です。
さて、そういうお話をして、あらためて同じものをご注文いただきました。
その時、彼女が言ったことがとても印象的です。
昔ふたつ作ったでしょう。交互に毎日使ってるの。
それに加えて私はバッグが好きなので、いろいろなところで買うの。
でも、一回も使ったことがないものも、たくさんあるわ。
最近も、L社やG社のも買ったし、W百貨店のもいろいろと買ったのよ。
でも最近のは、みんなおんなじような形だし、品質が落ちたわねえ・・・
むかしと同じような値段を出しても、品質がぜんぜん違うの。
L社のは、柔らかくって赤ちゃんのような肌の革が良かったのに、
ぜんぜんそういう製品がなくなっちゃった。
どこの製品も、まったく様変わりしちゃったのね。
いいかげんみんな、安く安く売るのはやめて、ちゃんとしたものを売るようにしないと、
製品はすべて使い捨てになっちゃうわよね。
おたくは、この10年以上同じ方針でやってるなんて、すごいわね。
やっててくれて、ほんとに良かった。」
時代とともに、ものづくりの環境は、激しく変化しています。
オーソドキシーというお店の規模だからできる、品質を保つ絶妙な作り方は、
10年前もいまも、ぜんぜん変えていません。
店専属の職人達は、まいにちスキルアップを目指しています。
革質も、こうした環境の中としては、異例の良さをキープし続けています。
いつまでこれが可能かは わかりませんが、
良い品質で、使いやすいものをずっと長く使って行きたい、
とお求めのお客さまがいらっしゃる限り、努力し続けたいと思います。
ご来店、ありがとうございました。