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「目録」のオーダーメイド品、きれいなトートバッグ 502012025.05.02
2025.05.13
8年半お使いいただいたショルダーバッグの修理 50408
「そろそろ修理をしないと…」
とお訪ねくださったクライアント。
懐かしいパーフォレーション付きの
定番「コーディ」の8年半後です。
「ほぼ毎日使っていました。」
とのことで、フタの裏革が伸びてしまったり、
ショルダー紐もちぎれそうな部分があったり、
と、まずは全体を眺めてから
どこを修理するのが良いか話し合いました。
*左が修理前、右が修理後
今回お持ちくださった時も
かなりの量のお荷物が入っておりましたので、
よくここまで保ったものと、感心しました。
新品時より修理後のサイズの方が
小さく見えますが、
修理前のサイズがもっとも小さく見えるのは
おもしろいところです。
*左が修理前、右が修理後
革は当店オリジナルレザーのヌメ、
ネイビー型押しです。
使っていくことで黒っぽくなっていくのが
お分かりいただけると思います。
ハードユースでも
まだどこも切れていませんが、
子細に見ますと、いろいろガタが来ています。
*左が修理前、右が修理後
後ろ外ポケットも口部分がほつれています。
*ショルダー紐の傷んでいる部分の手当て
無事修理とメンテナンスが済みまして、
これを大事に使いたいクライアントからは
喜んでいただくことができました。
当店オリジナルレザーの再生力には、
私たちも修理しながら、
その強さに確信を持つことができました。
お使いいただきながら
メンテナンスもできますから、
いつでもご相談ください。
このたびはありがとうございました。
2025.05.10
見本品を忠実に再現したカード入れ 50302
20年ほど使っていらっしゃるという
カード入れをお持ちのクライアントが、
いらっしゃいました。
「これと同じで作っていただきたい。」
ということで、
見本品の出来上がりラインを
忠実に再現することがご希望でしたが、
大きさに関して少しだけ、
検討を要する問題がありました。
お写真をご覧になって、
あれ、魚眼レンズのカメラ使った?などと
言われそうですが、
このカード入れは周り一周がすべて
カーブのついたラインになっている、
なかなか珍しい形をしています。
かなり長くお使いですから、
カードはとにかくたくさん入っています。
ここまで入るか、というほどです。
そういう場合、最初のサイズよりも
ずっと小さくなってゆくのが、
使われているモノの”使用後”です。
「同じサイズで」というご希望の場合、
必ずお話しするのが、このサイズの話。
どなたの製品も、
長年の使用で変形しているために
原型とは異なりますし、
当初の予定以上にお入れになる方であれば、
もはやオリジナルのサイズで、
現在入っているものがすべて入るわけでは
ありません。
今回のオーダー品は
もともと大きめサイズで作られていましたから、
原型通りにお作りしても、
伸びる革の性質からすると問題ありません。
どんな場合でも、
長年使ったものと同じものを再現するのは、
かなり難しいことです。
今回は、もともとのサイズを勘案し、
まったく同じプロポーションで
縦横を5ミリづつ小さく作りました。
この全体のラインは微妙で
案外トレースが難しかったですが、
かわいらしいラインなので、
作る私たちにとっても楽しいひと品でした。
このたびはありがとうございました。
長くお使いいただけることを願っています。
2025.05.8
バイブルサイズのシステム手帳 50303
丁寧なメールのお問い合わせをいただきました。
「システム手帳は作れるでしょうか?
その場合、今自分の使っているものと
同じものでも大丈夫ですか?」
検索すると、オーダーメイドのお店が
こんなにある!というほど出てきますが、
当店のように
自由な注文ができるお店は滅多にないので、
このような質問はよくいただくのです。
*太めの留めベルトが今回のポイントのひとつ。
お近くにお住いのご様子でしたから、
「もちろんお作りします。
もしよければご来店いただいて、
現物を拝見できれば、ご説明が楽ですよ。」
とお返事しましたら、
さっそくご予約くださいました。
助かります。
*後ろ面の出来上がり姿。
実際に拝見しますと、
現在お使いのシステム手帳には
使ってない部分がおありのようでしたから、
そこはどうしますか?とお尋ねしたところ、
要りません、というお返事です。
当店オーダーであれば、
現在お使いの見本と同じに作る必要もなく、
要らないところは削れますし、
足したいところは増やすことができます。
その内容は、デザイナーと話し合って
お決めいただきます。
見本の現物はきちんとまとまっていても
新たにほんの少しの変更を施すことで
構造そのもの、作り方を
大きく変えなくてはならない場合も
稀にありえますから、その時は
変えなければならない理由と、
どのように変わるかをご説明します。
当店の自由度が高いオーダーであっても、
安易に「何でもご希望通りにお作りします。」
と言うことはできません。
当店がコンサルティングに重きを置くのは、
以上のような理由からです。
もちろんみなさまのご希望は、
できるならば
すべてかなえて差し上げたいですが、
革製品の製作は冷徹なほど論理的。
ご希望内容に対して筋道立てて考えれば、
できることできないことがはっきりしますから、
「それはなぜできないのか?」
「仮にその通りにすると、どうなる?」
「では代替案は?」
などなどをこちらでご説明し、
結果的に、ご注文者のみなさまには
納得のいく答えをお出しいただけます。
お引き取り時お目にかかれなかった
デザイナーに、
わざわざご感想をお送りくださった
クライアント。
こうした生の声は、とてもありがたいです。
************
本日手帳を受け取りました。
素晴らしい手帳をお作りいただき
大変感謝しております。
これから大事に使わせていただきます。
お願いして良かったです。
今回は本当にありがとうございました。
使い始めたばかりですが、
すごく手に馴染んで驚いています。
これからの変化も楽しみです。
************
仲の良いご家族と一緒においでくださった
こちらのクライアントなら、
きっとこの手帳をかわいがってくれて、
つやつやに育ててくださることでしょう。
このたびはありがとうございました。
2025.05.6
ハイブランド革のブリーフケース、メンズラティーゴ 41115
長く定番になっている製品がありますと、
時代によってその需要の様相が変わる、
という変遷が見えてきます。
本日ご紹介するのは
定番「ラティーゴバッグ」です。
開店当初からレディスバッグとして
お作りしてきましたが、ここのところ
男性からのご注文をいただく機会が続き、
このような形のメンズへの転身というか、
昨今のファッションの流れを感じています。
実際、前回・今回とも
メンズバッグとしてかっちりと
お作りしまして、ご注文者はお二人とも、
きっちりと背広をお召しの方でした。
ふたつ目の仕事用鞄として、
気分の変わる製品を
お求めだったのだと思いますが、
今回の方は、ひとつ目の鞄として
ご注文くださいました。
お色は、グラファイト。
濃いめのグレーで外連味のある、まさに
おしゃれに慣れた大人の方用の鞄です。
クライアントは
ブラックとグラファイトとでお迷いでしたが、
圧倒的に
グラファイトがお似合いになる方でしたので、
第一希望としてこちらをお薦めしました。
第一希望を…というのは、
革の色はロットでブレるからです。
そのブレが、もし明るい方に出ていたら
黒にしましょう、と
デザイナーはご提案をさしあげました。
革の色は、見本チップで見る革の色よりも
1枚革の大きな面積で見る色の方が、
人の目には明るく感じられがちだから、
ということもあります。
それで、どちらに転んだ色かを確認しましょう、
というご提案でした。
ブレが大きな色の革の場合、
確認してから入手するようにしています。
グラファイトは初めていただくご注文で、
そこが明確ではありませんでしたから。
ブレの大きな色ですと、人によっては、
ここら辺までの色ブレならオッケーです、
と具体的におっしゃる方もおいでなので、
一人ひとりのご希望にお応えして
革を入れています。
さて、この鞄は何が大変だったと言って、
真ん中に仕切りを付けたことです。
ラティーゴデザインは大きさ違いで
これまでたくさんお作りしてきましたが、
45年間で初めて、仕切りを付けました。
当店の製作技術は日々向上しているので、
頭ではこうすれば可能にできる、
とわかりましたが、実際に製作してみると、
正直、これほど大変なこととは
想像できていませんでした。
難しい形を、泣きながら作った
昔を思い出します。
最終的にきれいに仕上がって、
苦労の後はみじんも見えないことに
製作者もデザイナーもホッとしました。
ピックアップ時に
とても喜んでいただけたのが
印象に残っています。
ありがとうございました!
このように大変な作り方の場合
ブサイクになるかならないか、が
大きな課題です。
うつくしく仕上げる… でもそれは、
よく言われる喩えですが、
白鳥がすいすいと進む水面下で
一生懸命足を動かしているのと同じく、
見えないところで、
目的に向かって
正しい方向で努力できるどうか、
が勝負です。
こんなことを書くのは
ちょっとルール違反だな、と思いつつも、
うつくしく仕上げる、という
当たり前を当たり前にするには
どれだけの覚悟が必要かを
知っていただきたいと思いました。
毎回毎回、製作物の種類にかかわらず、
当たり前のことを当たり前に
表現できることが、その道のプロです。
毎日の真剣勝負に耐えられなくなった時が、
リタイアする潮時となる仕事かもしれません。
2025.05.4
ベルトループ付きペンケース 50206
ご自分の欲しい形を
端的にご説明くださったクライアント。
ピックアップ時にお尋ねしてわかりましたが、
ご職業は先生、でした。さすがです。
なるほどわかりやすいご説明で、
あっという間に相談は済みました。
私たちとしては、
ご要望をお出しいただく時、
まずはアイテム名をお知らせいただき、
全体像のつかめる”何か”をいただけると
ありがたいです。
また、ご希望の革の色もあると助かります。
場合によっては、それに対して
何かご用意する必要があったり、
お調べしてから
お目にかかる方が良い場合もありますから。
メールでのご予約に対して
アイテム名の記入がない場合、
ご来店前にアイテムを確認するのは
そのような理由からです。
全体像の説明の仕方は難しい、
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
下記の方法を参考になさってください。
ご自分で簡単な図を描いていただく方法や、
だいたいこんな形、
という製品掲載のあるURLを
お知らせいただくのでも良いですし、
現物をお持ちであれば、
その現物のお写真を何カットか撮って
送っていただくのでもけっこうです。
現物がある場合に限ってですが、
それを直接お送りいただいても大丈夫です。
さて、話を元に戻しましょう。
本日のオーダー品は、ペン2本を入れて、
腰のベルトに取り付けて使うタイプの
ペンケースです。
2本一緒のケースに入っているように
見えますが、
中ではきっちり一本一本を
ホールドできるようにしています。
ですから、
お気に入りのペンにキズが付きません。
そして
外から見てこのようにすっきりしていますと、
見栄えもきれいです。
また、表面に金具を使っておりませんと、
革の良さがより引き立ちます。
使っていくことで革のツヤが出てくると、
使い込んだカッコいい様子になります。
毎日の必需品でしょうから、
使うたび喜びを感じてくださることでしょう。
*着用すると、こんな感じになります。
黒板の前に立って…ということですから、
大学の先生でしょうか。
知的な雰囲気の方で、
こんな方に教わる生徒さんはお幸せです。
長く便利にお使いいただけると嬉しいです。
このたびはありがとうございました。
2025.05.2
「目録」のオーダーメイド品、きれいなトートバッグ 50201
このすっきりときれいなトートバッグは、
奥様からご主人様へのプレゼントです。
オーダーメイド品のプレゼントは
製作に時間がかかりますから、
時に、記念日当日には
「目録」をプレゼントすることになります。
このトートバッグも
そんな「目録」オーダーです。
こんなサプライズをご提供できることが、
当店にオーダーメイド品を注文する
楽しみのひとつ、と思います。
「目録って、昔の人は
持ってこられないものを差し上げる時に
使ってたけども、
なんか楽しいし、便利なやり方だよね。
この頃はほとんど聞かないけど、
この形式がまだ残されていることが
とてもおもしろいと思います。
さてプレゼント、と思った時、
相手の方にすぐ贈れるのがいいですし、
相手の方は思わぬ攻撃に(笑)きっと
かなりびっくりすると思いますよ。」
笑いながら、随分前にこの案を出して
隠し玉にしているデザイナーは、
「だって相手が驚いてくれるし、楽しいもの。
こんなこと、他の人はめったに考えないよ。
オーダーメイドだからこそ、
可能なアプローチだと思います。
私もこんなことして欲しい~。」
などと言っています。
そういえば
おもしろ好きな人からも
「楽しい案ですね。」とご注文をいただきます。
デザイナーは
「この仕事は、しっかりした技術を基盤に
クライアントの希望を実現可能な形にして、
最終的には喜んでいただくことだから、
サービス業でもあるんですよ。
喜んでいただくことが一番大事です。」
といつも言っています。
それで、政府か何かの調査があって
そこで職業種類を選ばなくてはいけない時に
「うちはサービス業なんだけど…
コンサルもしてるし、製造もしてるし…」
といつも、
正しい選択肢がないわ、と独り言ちています。
今回、ご相談時には、
目録をお持ちになったご主人様が
奥様とご一緒にご来店くださいました。
このご相談来店の前に
奥様はあらかじめ
当店を下見にいらっしゃいました。
ですから、
私たちがどんな製品を作っているか、
店頭の製品をご覧になっていますし、
どんなことができるかも知ったうえでの
ご相談です。
ご主人様へのお気持ちを推し量れる
エピソードです。素敵なカップルです。
実際にご来店できる方でしたら、
まず下見に来る、こんな方法もありです。
このトートバッグの元になったのは
一点ものでお出ししていたこの製品です。
荷物量と「軽さ」が決めてになった気がします。
不思議なことに、お二人が
この製品をご覧になるというご予約日の前に、
「これは使い勝手良さそうなバッグ。
しかもずいぶんお買い得なお値段ですね。」と
売れてしまいました。
そこで私たちは
直ちにダミーバッグをお作りして
お二人をお迎えしました。
こんな偶然にはひやひやしますが、
技術の高いクラフツマンを要する当店なら、
乗り越えることができます。
そんなことも、信用していただいたことで、
このオーダー品製作が可能になりました。
ありがとうございます。
ダミーバッグというのは
本製品にできない部分の革でお作りしますから、
お色がツギハギだったりして
ご覧になる方によっては驚かれますが、
大きさや全体のイメージは
きっちりご理解いただけます。
そんな折、ご相談者には中身をお持ちいただき、
お入れいただくことがほとんどです。
A4書類やA4サイズPCなど定型の大きなものは
店頭にご用意ありますから、
個人でお持ちの特別な持ちものは
忘れずにお持ちくださいね。
人によってはポーチだったり、
薬ケースだったりします。
大きなバッグをお作りする時、
多くリクエストを頂くのは、個別のポケット。
その個別のポケットに入れるモノを
どれにして、どう入れるかは重要なので、
デザイナーがとくに慎重に聞き取りします。
たいていの場合、サイズを決めすぎない、
汎用性のある内ポケットに落ち着きます。
中には、絶対にコレ!という
「何か」に対するピタピタのポケットを
ご希望いただく場合もあります。
そのご指定はご注文者次第。
あくまでもご相談者にイニシアチブを
お取りいただきます。
ボトルホルダーなどはたいてい、
使わない時折り畳めるようにしています。
このトートバッグの仕切りには
クッション材が入っていて、
PCをホールドすることができます。
これがとても大変でした。
毎回毎回、新しい形や新しい仕様の製品を
お作りするのは、みなさまの想像以上に
頭を使いますし、試作も必要です。
製作責任者などは「これは夢に見る案件」
などとしょっちゅう言っています。
それほど四六時中、
どう作ったらいいかを考えられる人でないと
フルオーダーメイドを可能にすることは
出来ません。
コピーライターなどクリエイティブ職の人が
一行何百万円、というのは
長い職業経験を伴った
考える技術の結果なのだと思います。
そういう意味では、
フルオーダーメイドで革製品を作ることも、
間違いなく同じクリエイティブ職です。
そのような意味合いで、
当店には競合がないのかもしれません。
先日、「御社のことを思い浮かべて
検索を掛けたら、こんな会社に目が行きました。」
と、ある高額商品の会社を
お教えくださった方がいらっしゃいますが、
そこの製品の出来のつたなさに
デザイナーは驚いていました。
「ここの製品とウチの製品との
レベルの違いが判らない…
ここが高額なのは
エキゾチックレザーだからなんだけど。
でも仕立てやデザインは
ウチだとお金貰えないレベルかな。
どこで作ってるのかしら…それは置いといて、
人がモノを見る目を育てられる”何か”を
しなくっちゃいけないね。」
絵を描く人、高品質のものを作る人の目は、
同じものを見ても
目で映すことがらが違います。
そこまでの精密さは要りませんが、
パッと見て、
それはどの程度のもので、何が良いのか、
わかる目を持てると楽しいと思います。
たまには
アトリエ→ギャラリーにしましょうか。
そんなことも妄想しているデザイナーです。
話が逸れてしまいましたが、
このたびの大切なプレゼントを
当店にお任せいただきまして、
ほんとにありがとうございました。
ご主人様には
軽さときれいさに喜んでいただけて、
安心しました。
ステキなカップルのご来店に感謝します。
2025.04.30
ベージュゾウ革のカードサイズジーヴズ変形 41203
イタリアンレザーの記事の前にご紹介した
ベージュゾウ革の長財布に合わせて
お揃いでお作りした、
カードサイズジーヴズのフルオーダー版を
ご覧ください。
天然の柄違いですから、
眺めて楽しむセット、という感じです。
発注後にお電話いただき、
「そういえば取り外しできる紐を
取り付けたいですが、
お願いできますか?」と変更が。
その際、以前お持ちいただいた
当店バッグのお色に
合わせたいというご発想から、
紐のお色には
ダークブラウンをご指定いただきました。
淡いベージュのお色に
ダークブラウンの紐が、ピシッと似合います。
すごく良いアクセントになりました!
また表面、裏面と表情が違いますから、
それを愉しむことは、もはや
エキゾチックレザーでは定番の行為です。
Dカンに紐を取り付けられるように、
紐のふたつの先端には
目的に合わせた
違う種類のナスカンをお付けしました。
紐の長さもやはり「必要な長さ」です。
こちらは現在付けている紐の長さを
踏襲しました。
フルオーダーメイドであれば、
何から何まで
ご指定いただくことができますから、
余分に余って気になる長さの紐、
というようなことも無くなりますし、
短くて届かない、ということもありません。
気持良く使えます。
このジーヴズは前回お作りしたオーダー品と
同じ仕様でお作りしていますが、
今回も少しだけバージョンアップしています。
本体の大きさは
前回と同じで少し大きめにして、
中の小銭入れ部分にはマチを付け、
カードがたくさん入るようになっています。
今回は1枚だけ別に持てるよう、さらに
パーツに1枚カード入れを追加しました。
たしかに、よく使うカードは
すぐに取り出せると、便利ですね。
この方のように、
こんな風に、こう使うからこうして!
という発想から
フルオーダーメイドに繋がっていきます。
出来上がりを喜んでいただけて
ホッとしました。
このたびもありがとうございました。
それにしても、セットで拝見すると
ため息が出るほどきれいです!
*引っ越し記念の特別価格ジーヴズを
ショップにアップしました。ご笑覧ください。
*ゾウ革ネイビーのメガネケースも
併せてご覧ください。使いやすくて丈夫です。
2025.04.29
GW中のお休みは、5月4日(日)~6日(火)です。
GW中のお店のお休みは
5月4日(日)~6日(火)です。
なお、5月3日(土)に関しては、
完全予約でご来店を受け付けています。
よろしければご連絡ください。
みなさま、どうぞ楽しいお休みを!
2025.04.28
イタリアンレザー 今回のリネアペッレ
お引越しからやっと落ち着き、
デザイナーはいつもの革屋さんへ行ってきました。
この革屋さんは、
イタリアの革展示会「リネアペッレ」からいつも、
カッコいい、とんがった革を入れる会社です。
*今年の表面加工の仕方です。
ヘビ革のプリント革は、
本物にないデザイン性が本物を上回っています。
フェイクではなく、新しいヘビ柄の誕生です。
ブルー系のクロコ型押しは、ワイルドさもありながら
クリムトの「青い服」を想起させます。
ところがここ何年も
「あんまり欲しいな、と思う革がなくって」
とぼやいていたデザイナーです。
革を見ると一目瞭然なのですが、
それぞれのコレクションに
彼らのテーマがあって、それに沿って
革を作っているようです。
それで、「今年のテーマは違うな」とか
デザイナーはぶつぶつつぶやいています。
*一番下は、最近とんと見ない
正統なイタリアンレザーで触り心地が抜群です。
絶妙なダークブラウンカラーが魅力的な一枚。
真ん中の二つが今回のテーマそのもので、
ワイルド・エレガントな、見たことのないタイプ。
一番上は昨シーズンのものです。
今回のテーマでは、これを発展させています。
「でも今回は、ステキな革がいっぱい!」
とゴキゲンな様子で帰ってきました。
仕入れた革はどれも
お写真ではとても表現できない
複雑な色とテクスチャーの革ばかりなので、
それでも何とか表現できないか、と
何度もカメラを向けましたが、
やはり無理だったようです。
*上の集合写真の中の一枚の表情。
光の当たり具合で微妙に色が変化します。
ここに挙げたお写真より
何百倍もステキな革、と思ってください。
現物の革の良さを出し切れていないので、
お写真をアップするのは…とも思いましたが、
興味をお持ちいただくのが大事。
お店で直にご覧いただけば、
この記事の言いたいことが
お分かりいただけると思います。
リネアペッレの革に対して毎回思うのは、
イタリア人のファッションへの攻めの姿勢です。
新しい革を作ろう、と技術テーマを決め、
それぞれの工程のプロが協力し合って、
半年ごと新しい革を作り上げる…
革のデザイナーと革自体を作る技術者たち、
ファッションデザイナーたちが一丸となって
ああでもないこうでもない、と毎回
議論と検討が取り交わされることでしょう。
*姫路製で珍しい試みの革。ここに挙げた革たちは、
日本の他の革製作会社の方たちが
カット見本を持っていきますが、
オリジナルにかなう革はまだ見ていません。
これらの革を見ているプロには、
そのルーツがわかるのが興味深いところ。
さてこの中で、最後のこの1枚だけは
メイドインジャパン!
姫路の革です。これもカッコいいです。
これも含めてどの革も上品ですから、
出来上がりの革製品のグレードを上げてくれます。
デザイナーは
「私はあそこに、イタリアの革だけを
買う目的で行ってるのではないのよ。
あそこにはいつも他には入ってない革があるし、
その中でたまたま手に取ったら
ほとんどリネアペッレの革だった、ってだけで。
でもこの姫路の革は、すごく良いわ!」
近年、少しとんがったカッコいい革は、
日本ではほとんど売れないそうです。
リネアペッレの革は高価で、
加工の仕方も難しいことが影響してますが…
でも近年の市場は、どんどん
保守的な製品展開になっている模様です。
日本にたった1枚だけ入った
イタリアンレザーたちを、そして姫路レザーを
応援してくださいね。
服装のカジュアル化だけでなく、
履き心地、楽ちんさ、という点からも、
革靴はだんだん無くなっていますが、
モノを入れて運ぶバッグは、
無くなることはありません。
でもこれも、革素材は押されています。
雑材(革以外の素材の総称)もいいですが、
触り心地良く、香り良く、
これひとつで装いがグレードアップする
革のバッグって、ステキだと思いませんか。
2025.04.26
イタリアンレザー 5年半後の姿
過去、日本に1枚ずつしか入荷しなかった
リネアペッレのイタリアンレザー。
たくさんの種類を持ってくださった
先日ご紹介したクライアントのオーダー品、
5年半経過後をお見せします。
さて、どんな風に経年変化したでしょう。
お手持ちの製品をすべてお見せくださいました。
アイテムとしては、手帳カバーx2、
カードサイズジーヴズx2、ノートカバー、
携帯入れ、の6品と、
お写真の中にひとつだけ、新しい製品があります。
それは、上のお写真、一番左のカード入れ。
このお写真の3点は同じ革の経年変化です。
左が新品、真ん中が毎日使う手帳カバー、
右がもっと頻繁にお使いになる携帯ケース。
使う頻度によってこの革は
こんな風に変化していきました。
とてもカッコいい経年変化です。
まるでアンティーク品のよう。
きれいに育ててくださいました。
こんな風に比べられることは
なかなかできないですから、
イタリアの革づくりの真骨頂を知る機会も
そうそうありません。
じっくりご覧ください。
デザイナーはたまにこの話をします。
「代官山のお店が、イタリア人がデザインして、
イタリアからの材料を使って、
イタリア人が作ったお店だったんだけど、
床や物置代が大理石ですばらしかった。
でもその中ですごさを知った一番は、壁です。
一度も掃除しなかったけど、
時間が経つにつれて
アンティークの壁のようになって行って…
大変うつくしかったです。あれが、
イタリア人のモノづくりの感覚なんですね。
使っていってカッコよくなることを知ってれば、
使い続けますよね。」
この年は型押しに特徴があり、
これほど深い型押しの革は初めて見ました。
イタリアは新しい加工をどんどん開発します。
この年以降、今年のコレクションで再び
深い型押しを見ることになります。
ということで、後ほどあらためて
今年のイタリアンレザーを
ご紹介しようと思います。
さて、変わってはエキゾチックレザーです。
クロコダイルの黒と
リザード、ネイビーの変化をお見せします。
クロコダイルの黒はやはりツヤ良くなって、
迫力が出ています。
ファスナーの帯の色、
シックな赤がますます映えるようになりました。
リザードの方は、11年目という長きに渡っての
ご愛用をいただいています。
今もとてもきれいです。
ただ、右側のカード入れの底は抜けてきました。
「それでも気に入っていますから、
これからも使いますよ。」
ありがとうございます。
この切れ込みタイプのカード入れは、
薄く仕上げるために、内部に薄い素材を使います。
それでどうしても保ちは悪くなってしまいます。
革を重ねるタイプより薄く仕上がりますから、
薄さと保ちの良さ、どちらを重視するか
という選択になります。
もちろんこれを直すことは出来ますが、
カード入れ側を全部ばらして直しますから、
料金はある程度かかります。
当店では、ケースバイケースで
使っていった後のこともお話しして、
ご相談者にお選びいただきます。
ちょっと話が横道に逸れましたが、
こんなにご愛用頂けているのは
とても嬉しいです、ありがとうございます。