2013.09.26
定番財布ジーヴズ&ジーヴズJr. 革の特徴と扱い方
人気の 嵩張らないファスナー財布 ジーヴズには、
ジーヴズJr. という姉妹品があります。
何が違うかといいますと、はっきりわかるのは お値段(笑)。
お値段の違いは、当店では、
そのままストレートに 「作る手間のかかり方」 の違いになります。
たとえ定番であっても、当店のように
ひとつひとつのオーダー品に応じて
ひとりの職人が最初から最後までお作りする一貫製作する、ということは
お客様には、その都度 ひとりの職人を雇っていただく、ということを意味します。
まあ、だからこそ フルオーダーメイドが可能なワケですが。。。
ですから、手間の違いは、そのまま お値段の違い。
素材は つねに、 吟味した最上の素材だけを使います。
その辺の革の加工について、今日はご説明しましょう。
さて・・・上のお写真、左が 革のウラ地をお付けした ジーヴズ。
右は、 ウラ地を付けてない、一枚革の ジーヴズJr.
ジーヴズの方がちょっとハリがあって、Jr.の方はふやっと見えますね。
よく ご質問があるのは、
「革のウラ地が付くと、厚くなるし、重くなるんじゃないですか?」 ということ。
いいえ、当店のお品をお持ちになってみてください。
市場は、たしかに重い革製品であふれていますが、それは
そもそも、当店のお品のように、本体そのものを軽く作ることは
たとえプロであっても難しい作業だから、仕方ありません。
厳密な数字をあげますと、
革のウラ地をお付けしたジーヴズ、
重さは45グラム 革の厚みは 約1.9~2.0ミリ
裏地の無い Jr.は、 38グラム、 約1.6ミリ。
ジーヴズ 一点を作る技術と時間は、作り慣れた職人ならば
単純なデザインの小さいバッグを作るのと、多分同じくらいのレベルですが、
Jr. の方は、プロになったばかりの職人だったら なんとか作れそうです。
そして、革のウラ地について。
革の長所(であり短所)は、使い方に合わせてどんどん伸びることですが、
これを付けることによって、
その伸びを適切にコントロールし、型くずれを防ぐことができます。
また、量産品のように、
形をとるためのボール紙のような芯材を使う必要もなくなりますから、
革のしなり方 がそのままで、型くずれの少ない、理想的な道具になります。
できうる 最小サイズでお作りすることも可能になる、というメリットもあります。
もうひとつ 革のウラ地を使うことで、
美しい仕立てにするための製作方法も可能になり、
ウラ地に見える 革の存在感も相まって、
持っている方のステイタスは、 まちがいなくアップします。
革のウラ地は、断じて、単なる贅沢品を作るための方便では ありません。
このように いいことずくめなんですが、
量産品製作するメーカーにとっては、コストがかかりすぎるのと、
普通の量産品を作る製作方法では作ることができないため、
H社以外で行っているところは、ほとんど知りません。
革の厚みは、10分の1ミリ単位の厳密さで製作されます。
それは、鞄やバッグを作るときも、手帳カバーを作るときも 同様です。
長持ちの度合いや、リクエストによって、
すべてのお品の 革の厚みを変えます。
ですから、
「あまり長持ちしなくてもいいから、薄く、嵩張らないように作って!」
というリクエストにも、
「重いのは構わないから、とにかく長持ちするように作って!」
というリクエストにも、 「おまかせください」 と 即座に答えられます。
製作には、それ相当の手間と時間がかかりますが・・・
もちろん、手間のかかる作り方になるのは、前者の方。
革は、厚ければ厚いほど 長持ちする素材です。
だから、昔のブランド品などは、とても重かったですね。
当店では、軽くする分、要所要所の補強に手間をかけます。
今は、軽さが重視される時代。
楽に持つことができなければ、持つ人がいなくなってしまいます。
当店のデザイナーは、自分自身が 日頃それを感じていますから、
なんとか軽くしたい、とさまざまな試行錯誤をし続けた結果、
お客様が 店頭の鞄をお持ちいただいたとき
開口一番「軽いですね~!」という 感想を引き出すのに 成功しています。
その品々の奥には、数え切れないほどの試行錯誤があります。
それだけでなく、
心地よいお品をお作りするには、
お客様のご注文品ひとつひとつに対して、
私たちは日々、多彩な技と 深い構想力・思考力を駆使します。
こうした見えない部分こそが、フルオーダーメイドの要。
「オーソドキシーのすべてをあなたに!」
このキャッチフレーズは、こうした見えない部分を表しているのです。