2014.07.11
一枚の革から何個バッグができるの?
今日は、また違った角度から革のお話をしましょう。
現在、紙の手提げ袋を作ってもらっているのですが、
作ってくれる業者さんとお話してたら
逆にいろいろな質問をされて、このお話に繋がりました。
ことの始まりは、手提げ袋について
「A4が入る大きさにして
厚み(マチ)を10センチから11センチにしていただきたいのですが
10センチでお出しいただいた見積もりと同じくらいでできますか?」
と、業者さんにお尋ねしたときでした。
それに対して「マチを11センチにすると
いきなりお値段が高くなるんですよ。
10センチでも構わないなら、そちらでいいんじゃないですか?」
というお返事でした。いきなり高くなる、という理由は、
使う紙の判が急に大きくなってしまうから、というものでした。
紙の判が大きくなるということは
使う機械の判も大きくしなくてはいけなくなるのだそうです。
その説明のあと、その担当者は
「あのう、ところで革というのは、
どういう単位で売ってるんですか?」と逆に質問をくれました。
「牛革はですね、
おなかと背中の真ん中をタテに切り離して
右半身、左半身、という2枚にして加工しています。
その半身を一枚と捉え、デシという面積単位で計算して
お値段を付けているんですよ。」
「ふうん、じゃあその一枚から作れる製品の量は
どれくらいなんですか?」
「アイテムによってまったく違うんですが、
ひとつ分のバッグの全パーツで、1枚使い切ります。
一枚の革の大きさは、これくらいなんですけどね
(と言って、相談テーブルを指さす)。」
「けっこう大きいと思うんですが、それしか作れないんだぁ。
ちょっとびっくりしますね。」
「ああ、工業製品の紙だと、一枚が均一な品質だから
サイズさえ合えば、まるまる使えますよね、それで
そう感じるんですね、きっと。なるほど。
市販品のように革の表面に化粧を施した革だと
(表面コーティングのことと思ってください)
紙と同じように端から端までまるっと使えるんですが、
うちのタイプの革だと、表面のキズは目立つし、
伸びてしまうおなかの皮だけでなく
繊維が乱れている部分も
私たちプロにはわかるから使わないし、
となるので、一枚のうちの半分くらいしか使わないんですよ。
いい品質でお作りするには。」
「そうすると材料費は、
革の値段+ロス分ということになるんですね。
単純に使った分だけじゃあないんだ。
そうかあ、紙袋が
マチをたった一センチ大きくするだけで
いきなりロス分が増えて
急に値段が変わるのと同じ感じがありますね。」
ということで、
革を扱っている人が当たり前のように知っていることを
きちんとみなさまにお話すると
ご興味お持ちいただけるのだな、と感じたことが
今回のテーマということで。