革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2014.11.12

20年ほど前のお客様からのお電話

来週 当店は33周年を迎え、34年目に突入します。

支えてくださっているお客様、

ほんとうにありがとうございます。

これからも世界にひとつだけの革製品を

一人ひとりのお客様のためにお作りしていきます。

 

当店は、最初からフルオーダーメイドの店として

1981年に下北沢で開店しました。

下のお写真が下北沢店です。

次のお写真は、二店目の代官山店。

 

shimokita

 

************

さて、昨夕 電話を取りますと、

「20年ほど前に鞄を作ってもらった○○と申しますが

xxさんはいらっしゃいますか?

まだお店はやってらしたんですね、良かったです。

代官山にお店がなかったので、ネットで探しました。

相変わらずxxさんが経営してらっしゃるんですか?」

 

たくさんのお客様にお会いしてきたデザイナーは

ずいぶん時間が経っても、お作りしたものを拝見したり

ご注文の際にどういうお話をしたか、などをお聞かせいただくと

頭の奥から掘り起こして、ああ・・・と思い出すようです。

 

実際、このオーナーデザイナーは

人の顔や名前を覚えるのが苦手で

接客業の方のように

一度お会いしたらお客様を覚えている、どころか、

覚えることが出来ず(苦笑)

接客業者としては失格と言えるかも知れません。

 

しかしそのため本人は

「ひとりひとりのご注文者には、一期一会と思って

ベストの答えをお出しいただけるような

コンサルティングすることに、全身全霊を捧げてるの。

終わるともう、へとへとよ。」

といつも言っています。

 

Minolta DSC

 

「大きな会社組織であれば、

利益を上げるために、時には

巧妙に情報操作して自分たちの製品を持ち上げたり、

社員ひとりひとりの自覚がないままに

結果的に嘘をつくようなことになることがある。

 

でも私のように個人経営であれば

そこまでやる必要はないから

フェアな立場でいなければいけないと思うし

限りはあるけど、ほんとに品質を追求できるし。

 

何より、本物のプロとして

正しい知識をお客様にお届けする、という

社会の中で大切な役割も負っていると思うの。

 

うちみたいな個人組織がそれをやらなきゃ

正しく価値を判断するのに必要な、ものの歴史や、ほんとうの情報を

誰がお客様に伝えられるの?」

と、こうした大上段に構えた話がいつも出て来ます。

 

 

この日のお客様も

「あの時xxさんは

”うちほどお値段のお安いオートクチュール店はありません!”

ときっぱりおっしゃったんですが、

僕はもう20年近く使っていて

行く先々で褒められるこの鞄を持っていると

ほんとうにそう思うんです。」

このようにおっしゃったそうです。

 

ginza

 

オートクチュールとは何か?

大企業ではなく、

個人店に最高に向いたものづくりの形態だと思います。

 

技術を追求し、それを伝承し続けなければ

作り続けることができないことはわかってましたが

こうした社会の人への働きかけもあるのだと知って、

びっくりしています。

 

世界中、どこにも存在していないものを

全くゼロの状態から、たったひとつだけ作りあげるのは

想像した以上に大変なことだと

傍で見ているとよくわかります。

 

でも、こうしたお客様にお会いできることが、

オーナーがこの仕事を長く続けることのできた理由なのだと

この話を聞いて感じました。

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