2015.04.3
革鞄のケア、可能なこと・不可能なこと
昨日 革のことをお書きしましたが、
たまたま今日はお客様から
8年前にお作りしたバッグの修理をいただいたので
それについて書いてみます。
「雨に濡れてシミになってしまったので
近所にあった革のお手入れ屋さんに持ってたんです。
そしたら、こんなひび割れを作られちゃって。」
拝見すると、驚くほどお粗末な仕上げでしたから
いったいどんなところで、
何とご依頼なさったのかを伺いました。
「オーダー品だということは話したんですが、
あまりそれには関心がなかったみたいです。
取りに行ったら、こんなひび割れがあるのに
まったく普通の調子で
”これが出来上がりです。”と言って渡され、
びっくりしました。」
大写しにしたのが下のお写真ですが、
正直、革に色をかける、ということは
余程のことがない限り、こういった加工を意味します。
おそらくシンナー系の顔料を
革の上から吹き付ける加工なのですが、
ほとんどの場合、1~2回使うと
このようにひび割れてしまいます。
今回は、出来上がり時に
すでにひび割れていたようですが。
私は仕事柄、何度も
こうなってしまったバッグを見ています。
「8年前にプレゼントとして、
主人のために、こちらでオーダーしたものなので
直ぐに修理に持って行きました。
お店の表に出ているサンプルのように仕上がるのかしら
と思っていたら、まったく違っていて…
大切に使っていたので、がっかりしました。」
私どもにお持ちいただければ良かったのですが、
アナウンスが行き届いてなかったようです。
大変申し訳ありませんでした。
顔料を吹きつけられた部分の革は
もう死んでいる、と言ってよく、
対応策としては
パーツの取り替えをすることにしました。
当店でお作りした製品に何かがあった時には
すぐにご相談ください。
皆様にあらためてお知らせしますが、
「革を染め直すことは不可能」です。
可能なこと、不可能なことを
正しくお教えすることはとても大事なこと。
真剣に取り組んでいるプロにしか
できないことです。
巷にある革の修理屋さんに関しては
宣伝用のディスプレイ品に惑わされないよう、
ご注意いただきたいと思います。