2015.07.7
折りたたみ杖の収納ができるショルダーバッグ
女性物のバッグとしては、今までで
最も多くのリクエストと
難しい内容のお題をいただいた
ショルダーバッグをご紹介します。
こうして出来上がった形をご覧頂きましたら
普通にまとまっている
という感じに見えると思います。
今回のバッグには桁違いのご希望が入っています。
その他、難しい内容としては、折りたたみ式杖を
外ポケットに収納するところでしょうか。
収納の仕方にもお客様のお好みがあって
それが、バッグの形とバッティングするところが
一番の難題だったと思います。
もともとなぜ
突拍子もないバッグや財布の形がないかと言いますと、
中にものを収納するという縛りがあり
それがそれぞれ重さを持っていることから、
理論的に進めて行くと、これはやらない方がいい
という物理的理由が出てくるからなのです。
今回 外ポケットに入る予定の杖は、
ワインカラーのもの。製作期間中ずっと
お借りすることはででませんでしたので、
ほぼ実寸台のダミーをお作りして
製作を進めて行きました。
ここまでするのはなぜかと言いますと
この形の杖を外ポケットに入れるため
普通のポケットの作りにしてしまうと、
埋没したり、入り方が歪になったり
バッグが歪んだり、と
結局は何らかのトラブルにつながるからです。
当店は、構想の段階で
そういった不都合をすべて洗い出し
デザインと仕様に反映させるのが、
大きな特徴です。
これが、他店や他の人には真似できない部分。
当店がオートクチュールを標榜する理由です。
そしてもし
お任せのデザインであれば、理路整然と考え
最も用途や中身に適した形から
デザインを導き出すご提案するのですが、
今回はお好みのはっきりしたお客様でしたので
デザインもすべて、お客様先行でお進めしました。
細かくポケットを分けていますが、
大きさの範囲に多少の流動性を持たせたので
中身が変わっても、お使いいただくことができます。
使ったのはルバルの革。
柔らかく軽く、芯のしっかりした革ですから
中身がたくさん入っても、十分対応します。
いい素材を使うと、すばらしい質感になります。
使いやすさを考慮してお作りしたバッグは、
きっと今頃お客様をサポートしていることでしょう。
難しいお題をいただくたび、
これはどうやって解決しよう、と長時間考え
途方にくれることもありますが、
こうしてすべての課題をクリアできると
それはまた、新しい自信へとつながります。
ここで考えついたいくつかの新しい技術は
きっと、新たなお客様のお役に立つことでしょう。