2015.07.27
飾りパーツを活かした小物入れポーチバッグ
「もともと祖母が使っていたもので
今は母が使っているのですが、
中がぼろぼろになってしまったので
修理できませんでしょうか?」
親しいお客様からご相談をいただきましたので
お預かりして作りを拝見しますと 、
周り一周とファスナー部分だけは縫われていますが
他はすべて貼っただけの袋物の作り方をしています。
残念ながら貼って作る製法は、
当店のジャンルとは異なります。
このポーチのデザインポイントは
正面のデリケートな作りのホック留め。
今ではこんなに凝ったものはなかなか作れません。
昔は、ほんとに良いものが作られていました。
そこで、「このホック留めパーツを使って
新しいポーチを、いまのデザインを踏襲して
長持ちするように新しくお作りすることならできます。」
というご提案をして
出来上がったのが、3枚目からのお写真のもの。
正面写真で比較しますと、本体の口部分と
前ポケット口部分に縫い目があることがわかります。
大きさはそのままで、
質感は、使っていただくことで柔らかくなりますから
ほぼそのまま再生できました。
そして、同じような質感にするために
ウラ地をすべて革にしました。
表もウラ地もルバル、という当店だけの牛革です。
しなやかでハリのあるこの革は、
こうした細かい細工の小物から
旅行バッグまで作れる、すばらしい素材。
「母に、修理はムリ、ということだけ話して
内緒で作って渡したのですが、
とても驚いて、とても喜んでくれました。
いずれは私が使うようになると思います。」
長く受け継がれるご家族の象徴とも言うべきものを
お作りすることができて、
私どももとても幸せな気持ちを味わうことができました。
ありがとうございます。