2016.02.12
持ち手がついたギャルソンパースのフルオーダーメイド
長いお付き合いのクライアント様から
ご紹介いただいたお客様。
「今こんなお財布を持っているのですが、
こういう持ち手のついた長財布が
欲しいと思っています。」
見本の現物を拝見しながら
いろいろお尋ねしていきますと、
どうやら、その見本とは
違うアプローチでも構わないご様子です。
たとえば、見本の持ち手は
畳めるようにもなっていますが、
よくよくお尋ねしますと
「畳んで使ったことはほぼありません。」
とのこと。
そこで、より丈夫で長持ちするよう
持ち手の付け方自体を
変えるご提案をしました。
そうすることで、デザインも変わってきます。
現在お使いになっているものであっても、
こうして精査していきますと
さらにクライアントに合った仕様のお品を
提案することができます。
ただ見本をお見せいただく場合、
ある落とし穴に落ちてしまうことが
往々にしてあります。
それは、
見本としてお持ちいただいたお品が
実際に目の前にあるために
かえって、
持ち主のクライアントにとっての
本来あるべき最良の姿が
見失われてしまうこと、です。
ひとつひとつの既製品は
最終形に向かって
理路整然と作られていますから、
現在仕上がっている仕様は
動かしがたいことがほとんどです。
それを承知で
クライアントのご希望を取り入れることは、
現在ある形を見ていながら
まったく違う形に構築する作業でもあります。
オートクチュールをお受けする作業は、
創造性なくして完成しません。
一連のやり取りまでお楽しみください。