2017.10.3
自立するビジネスバッグ、アイブライトの変形オーダー
「このバッグが良さそうなので
自分なりに変形させたいのですが。」
最初にお見積もりをお出ししてから
ご注文をするかどうかを
考えてくださったクライアント。
ご自分の持ち物を
すべてお持ちいただいて、
どこにどんなふうに入れる
ということを
つぶさに教えてくださいましたので、
ご相談段階で、レイアウトが
かなり具体的になりました。
「あと、雨が降っても持ち歩くので、
革が痛まないようにしてください。」
というご依頼があったので、
全体にワックスをお掛けしました。
この白い粉のようなものがワックスです。
このワックスは
(株)栃木レザーが使っている
プロ用のものですが、
パーツの段階で
丁寧に塗りこんで、ゆっくり入れます。
ワックス掛けの革としては
「ブライドルレザー」が有名ですが、
少し前から、本物のブライドルは
かなり少なくなっています。
本物のブライドルレザーというのは、
タンニンなめしの水染め革を
ワックスに漬け込んで
芯通しにする製作方法なのですが、
近年では
顔料染めの革の上に
ワックスを載せているだけのものも
多く見かけます。
ですから当店のワックス革は、近年
ブライドルレザーと呼ばれているものより、
革の性質としては
ずっとオリジナルの考え方に
近い品質となっています。
オリジナルの考え方は、
毛穴の開いた革の中に
ワックスが染み透って
雨から革を護ってくれる、という
ナチュラルなもの。
近年のものは、
顔料染めそのものが
ある程度水を寄せ付けませんから、
そういう革にワックスを掛けても
あまり意味はありません。
ですから、ファッション的な意味と
思っていただければよろしいかと思います。
ところで、
今回のご注文品で一番変わっているのは、
持ち手の長さを変えられること。
しかも、長い持ち手の先を
ポケットの中に隠せるので、
よもや持ち手の長さを変えられるとは
まったくわからない、
意表を突くものになっています。
多くのご注文者はそれぞれ、
独自のアイデアをお持ちです。
毎回、リクエストを伺うたびに
求めるものには道が出来るのだな、
と感じます。
ありがとうございました。