2017.04.3
当店特製牛革について
今日は当店特製牛革についてのお話。
それは昨日、とても嬉しいクライアントに
お会いしたからです。
若い女性のクライアントでしたが、
お手持ちのものと同じ仕様のアイテムを
ご注文くださいました。
それはまだ、市販されてもいるようです。
では、なぜうちでご注文くださるのか?
不思議に思ったのでお尋ねしますと、
「いい革の製品を持ちたいと思ったんです。」
というお返事。
いろいろなお店が、自分の使っている革
(市販品の中から選んだ革)を
いろいろな角度から褒めまくっています。
うちのスタンスは、もちろん
「うちの革は、革らしい革として最高」
と思っていますが、
それはあくまでも
クライアントのご希望にかなっている場合、
と思っています。
ですから、数ある派手な自賛の革の中で
当店の地味なコンセプトを
お選びくださったことに
とても感動しました。
それで、この革のお話。
さてじつは、近年の原皮の傷の多さから、
製品にする革の品質を保つために、
8~5年ほど前には
5%未満の顔料を使っていましたが、
ここ3年ほど
その顔料を一切使わない製法に
戻すことができています。
顔料を使わないことで、
タンニン鞣しの特長である
毛穴の開いた状態を
保つことができるため、
付けた傷も治り、
つやが出て
芯のある柔らかさに変わって行く、
すばらしい品質の革になります。
傷が治るんですよ!
(全て同色。左:2年もの 中:20年もの 右:新品)
市販品のほとんどは
顔料をたくさんかけて仕上げています。
それは、量産品として不可欠のこと。
表面の傷は誰にでもわかります。
量産品では、その傷のために
パーツを取る量が減ることが、
ネックとなります。
顔料をかければ、
そんな心配とは無縁になります。
またそれ以上に、見えない
革の下にある繊維の緩んだ部分は
使っていくと変な伸び方をするのですが、
長く革を見続けた人にしかわからないため、
まず
その部分を見分けられる人を育てるのが、
困難な作業。
そしてその作業をまともにやれば
さらにパーツの量は減ってしまいます。
これも、顔料をかければ解消されるわけです。
(左:20年もの 右:新品)
ということで、
顔料をたくさん乗せなくては
製品として成り立たないのが、量産品。
だから、傷がなおらないのです。
でも、よく企画されていますし、
安価に入手することができるわけです。
当店では、後者の、使ってまずい部分を
目視と触感で捕まえて、避けています。
雨の日には使わない方がいいですが、
それを補って余りある品質と思っています。
傷が治り、
柔らかくなっても型崩れのしない
革らしい革。
これが当店の革です。
㈱栃木レザーさんによる
最高品質の革の体現、とご承知ください。