2017.06.11
長財布&手帳カバーのジョイント版
ご相談が終わり、ご注文へと
進んでくださったクライアント。
「じつはここへ来る前、
何軒かオーダー店を当たったんです。
そしたらアイデアもいまひとつで、
何だか信用できなくて…
安かろう悪かろう、という
感じのお店もありました。」
クライアントが望んだアイテムは、
お店の全36年間を通しても
初めてのご依頼です。
お財布機能と手帳機能を
一緒に持たせたい、というリクエスト。
そのうえ、なるべくコンパクトで
薄くしたい、という難題付きでした。
考えたのは、小銭の入れ方。
上のお写真で、ぱっと見
何もないように見えますが、
右手のぺらっと付けた革の下には
小銭入れがあります。
このペラの革の上で
下から差し込んだ手帳に書き込むと、
面が平らで
スムーズに書けるはず、というわけ。
では、小銭入れをご覧ください。
クライアントのご希望は
・金種別に数枚づつ持つだけで良い
・とにかく厚みを薄くしたい
・もちろん出し入れが悪くないもの
当店のアトリエは
お店に隣接していますから、
デザイナーがお出ししたアイデアが
ちゃんと製作可能かどうか、また
使えるものになるかどうかを、
すぐに検討します。
結果、どうやらできそう、と
ご提案したのが、この小銭入れ部分。
実際に製作段階でダミーを作ってみると、
思った以上に大変。
若干の形状変更もしました。
それでも、出来上がり予想と
ほぼ同じ形態でできました。
クライアントは航海士のご職業で、
ご注文からお受け取りの間まで
2か月間海にお出ででした。
お引き取りの当日、
「いま東京湾に着いたところなんです。
それですぐにここへ伺いました。」
お見せしますと、素晴らしい笑顔です。
「納得したものを作りたかったので、
こちらにお願いして良かったです。」
「この小銭入れのアイデアも
私のために出してくれたんだよ。」
と、隣にお出でのお友達にも
説明してくださいました。
長くお使いいただくと
革は必ず伸びてきますから、
小銭が重なってしまう時が来るでしょう。
でもそんな時には
パーツごと取り換えることも
可能ですから、
いつでもご相談くださいね、
ありがとうございました。