革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2017.09.25

カードケースのフルオーダーメイド

当店には、

一度もお目にかかったことのない

クライアントのみなさまが

全国にたくさんいらっしゃいます。

 

それは、たとえ

フルオーダーメイドのご相談時に

お客さまと直接お会いできなくても

間違いのない意思の疎通が

当店には可能だからです。

 

おそらくそれが

当店の一番の特長なのですが、

残念なことに、こればかりは

人に教えることが出来ない技術です。

 

正面

 

一般的に「技術」と呼ばれるものには

2種類あります。

 

ひとつは継承可能なもの、

もうひとつは、それが不可能なもの。

当店のご相談の質は、おそらく

なかなか継承できるものではありません。

 

リクエストにお応えしたいという気持ちが

結果的に

何と大変な仕事内容になってしまったのか

今でも、若いスタッフにあれこれ教えながら

感慨にふけることもしばしばです。

 

「何とかして差し上げたい」

そんな気持ちはきっと、

当店の仕事がある意味、

ガラパゴス化してしまう

ひとつの原因なのかもしれません。

 

中

 

製作の技術は

まあ継承可能の範疇に入りますが、

当店が製作するものの中には、

一般的な技術だけではカバーしきれない

特殊なものも多く、したがって、

核となる技術からどんどん派生させていく

フレキシブルな考え方を出来る人にしか

継承することができないのでは

と思います。

これも大変なことです。

 

さて、いろいろな前フリをしましたが、

本日ご紹介するカード入れは

2~3枚のお写真を拝見し、

それからスケッチ画を描き

製作に入ったものです。

 

背面

 

お写真を撮ってくださるのは

もちろんクライアントなので、

どんな角度のお写真をいただきたいか

こちらから、あまり細かいところまで

お願いすることはありません。

 

それは図を描いていただく時もそうですし

お教えいただいたURLに

似たお品があったとしても、

わずか2ショットくらいの平面的な

お写真しか無い時などもあり、

細かいところがわからないことの方が

多くなりがちですから、

当たり前のことだと思っています。

 

ポケット

 

そんな時、ちょっとした部分から

製作者は構造や使い勝手を想像します。

アームチェアディテクティブのように。

 

かなりの頭脳労働ではありますが、

そんな不完全なデータからでも

ほとんど看破します。

クライアントから驚かれることも

しばしばです。

あの不明瞭な写真だけで

再現できたのですか、と。

 

もちろん

「それくらい出来るのが

プロじゃないの。」と

当たり前ととられることもあります。

 

コバ

 

このたびのこのカード入れは

サプライズのプレゼント品でした。

 

それで、クライアントは

こっそりとお相手の方の持ち物を

お写真に撮ってお送りくださったのです。

 

最初の段階では、

クライアントご自身が実際手に取って

ご覧になれなかったこともあり

これがどういう構造のものなのか

ご存じなかったのですが、

いくつか手がかりををいただき、

最終的には

こうして無事出来上がりました。

 

当店のフルオーダーメイドを

おもしろく感じてくださったご様子が

とても印象的でした。

 

私どもも

あれこれと推理するのは

とても楽しく思っています。

ステキなお題を

ありがとうございました。

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