2018.11.8
オレンジ色の手帳カバー 82
本日ご紹介する手帳カバーは
(株)栃木レザーさんで
たまに染めていただくタシ・オレンジ。
カバーの留めを
スマートフォンケースのようにして
お作りしました。
いろいろご相談をお受けして
苦し紛れにご提案したものでしたが、
なかなか良い感じにできたと思います。
さて、当店の特性牛革は普段
鞣しと染めの決められたレシピによって
作られています。
そんな中で
染める前の状態で残されている革が
多少ですが、出る時があります。
その時期にうまく引っ掛かると
こんなお色にも染めていただける、
というわけ。
色というのは
最初から各色が存在するわけではなく、
いろいろな色を混ぜて
オレンジならオレンジという色を
作ります。
その基になる何色もの色の中には、
革という素材に対してだと
染まりにくい色もあれば、
時間が経つと飛んでしまって
無くなってしまう色もあります。
そうすると、グレーがタン色になったり
薄いブルーが白になったりします。
例えば、グレーやブルー系、イエロー、
パープル系などは、革では希少な色。
染まりにくいこと、また
時間が経つと
飛んでしまう色があること、との
この二つの理由で、
あまり製作に向いてないからです。
たしかに革は丈夫なので、
素材としては長く使えます。
ですから、まだまだ壊れていないのに
きれいな色の方がが褪めてしまって、
使う気がしなくなったりすることもあり、
経年変化の良し悪しはは
大切なもの選びのポイントだと思ます。
しかし、かといって 地味系のお色は、
新しいうちから
ぱっと人目を引くというわけにはいきません。
100%タンニン鞣しで
100%水染めでは、
染められるお色は限られてきます。
ですから当店の特性牛革のラインナップは
お地味系になってしまうのですが、
この革の良さは、経年変化にあります。
付けた傷が治るなんて
すばらしいと思いませんか?
たくさんのクライアントが
「ほんとに傷が治るんでしょうね?」と
新品のお品を見て
不安そうに(笑)お尋ねくださいます。
そんな方々が
「ほんとに傷が治るんですね、
そうは聞いても信じられなかったので、
いまだに驚きます。
すごい革ですね。」と
経年変化を愉しんでくださいます。
革にはいろいろな革があります。
同じレシピで作っても、
同じロットの一枚一枚にすら
個体差がある「生もの」です。