2019.08.2
生きている長財布
少し前にご注文いただいた
クライアントから、
「生きている長財布」を
見せていただきました。
さて「生きている長財布」って何?
とお尋ねされましたら、
それは、実際に使われている長財布のこと、
とお返事します。
バッグにしても、
実際に使われている状況を
私たちは
「生きている」と表現しています。
オーダー品はすべて
所定のモノを入れることを前提にして、
お作りします。
そのために細かい聞き取りをして、
普段の状況を把握します。
お品物が出来上がった時には、
お写真を撮って
資料として残すのですが、
その時撮るお写真は
どうしても「嘘もの」になってしまいます。
持ち主がお入れになるのと
同じ枚数のカードや
同じくらいのお札、名刺、小銭などを
出来上がったお品に入れて
お写真を撮るのですが、
それがやはり
持ち主が実際に入れた状況とは
明らかに異なるのです。
おもしろいですね
(たいていの場合、
当初より少し増えている、
ということもあります(笑))!
こちらの三つ折り長財布も
私たちが撮ったお写真では、
凸凹はありませんでした。
しかし、お持ち帰りになって
使ってくださっているから、
その人独特の使い方に落ち着くと
形が変わってきます。
この形の変形に付いてきてくれて、
馴染んでくれて
すんなりとしてくるのが、
革という素材の偉大なところです。
まだまだ使い始めの長財布ですが、
次に アッと思ったときには、
この凸凹がもっと滑らかになって
手に吸い付くような表面になります。
それが、本物の革を使う醍醐味!
革という素材の奥深さ、やさしさを
毎日感じられるのが、
革製品を持つ愉しみです。
お見せいただき、ありがとうございました。