2019.08.16
財布も兼ねたメンズクラッチバッグのご相談
店頭まで足を運べないクライアントも
たくさんいらっしゃいます。
そんな時のご相談では
もちろんメールが主になりますが、
場合によって大事なのは
お電話で直接お話すること、です。
相手の方の話し方や言葉の間から
いろいろな情報が伝わってきます。
今回クライアントからは
最初に、お電話をいただきました。
「そろそろきちんとした鞄が欲しい」と
かなりの数のウェブサイトを
お探しになったとおっしゃっていました。
「その中で御社のバッグを見たら、
存在感と言い、かっこよさと言い、
もう、一番、と思いました。
他のものは目に入らなくなってしまいました。
写真からそういうのが伝わってくるんですよ!」
熱く語ってくださり、何より
お写真から革質を看破してくださるという
ほんとに嬉しいお電話でした。
若いクライアントで、決断力のある方です。
そのまま買うことができるんですか?」
もちろんです。しかし、
自由なオーダーメイドができることは
製品ページには書いてありませんから、
そのまま電話で
ご相談の流れになりました。
「うちではお客様のご希望に合わせて
一点一点お作りしますから、
何を入れて持ち歩くのか
お教えいただけませんか?」
電話でお伺いしたことを元にして
お描きしたスケッチ画をメールでお送りし、
「これでばっちりと思います。」
のひと言でご注文をいただきました。
お若いクライアントですが、
ご自分で車修理の会社を経営してらっしゃり、
東京でも商談をすることが増えてきたので、
きちんとしたクラッチバッグが欲しいと
お思いになったとのこと。
お話してますと、理解が早く
決断が速いので、
良い仕事をどんどん任されることは
容易に想像できます。
「カジュアルな服装が多いので
そんな時でも鞄が良ければ
ぜんぜん見た感じが違うと思いますから。」
と、良く分かってらっしゃいます。
鞄や靴、時計をピシっとしていると
カジュアルな装いであっても
ぐんとグレードアップします。
そういう小物の選択は、
その人が請け負える仕事の質まで表します。
どういうものを良いと思っているかを
仕事先のクライアントに見せることで、
どこまでの人なのか、まで
量ってもらうことができます。
仕事を頼む側の人が
それを量る力量があることが
大切な条件となりますが…
クライアントからは
お財布部分とその他の小物部分を
分けたい、というリクエストが一番に
いただきました。
入れたいものを伺っておりますと、
メガネやティッシュペーパーなどもあります。
ザクっと入れるには微妙なものなので
どんな風にまとめましょうか…
例えばメガネなどは
すぐに取り出したいけれど、
キズも付けたくないものです。
仕様レイアウトは難しいですが、
製作上の何らかの制限がある場合には
もっと大変になります。
今回の場合、ファスナータイプですから、
ファスナーの幅に
すべての厚みが収まらなくてはなりません。
入れるモノの厚みだけでなく
細工の厚みもすべて含めてですから、
計算できるようで
計算できない微妙さがあります。
今回のクライアントにとても助けられたのは、
「こうあらねばならない」
という考え方をお持ちでない方で、
プロに委ねることが一番の解決、と
思ってくださっていたところです。
信頼に足る店なのかを瞬時に判断し、
バッグの大きさを変えるか中身を変えるか
という質問に対しては、
中身を変える決断を即座にしてくださいました。
お受け取り時にはご来店くださいましたが、
年齢以上にお若く見える方で、気さくで、
とても自然体な方でした。
当店には、素晴らしいクライアントが
たくさん来てくださいます。
こういう方々に日常的にお会いできるのが
この仕事の醍醐味です。
ありがとうございました。