革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2020.04.12

2019年の超大作、内部を2:1に分けた「ダレスバッグ」

最近、ダレスバッグが人気です。

残念なことに

正統派メンズバッグを作る機会は

ぐっと減ってきましたが、

 

なぜかここのところ、

ダレスバッグへの注目度は

高くなっています。

 

本日ご紹介する2019年の大作は、

そんな口火を切ってくれたダレスバッグ。

 

 

「ダレスバッグ」の特長は、

口が広く開き、自立する鞄なので、

一目で内部を見渡すことができ、

「パッと中身を取り出せること」です。

 

ご注文者の中には

ずっとこのタイプの鞄ばかりを使ってきた、

というクライアントが多く見受けられます。

ご職業は、弁護士や会社の社長などが

少なくありません。

ご自分の位に関わらず

とにかくご自分で、実際に動く方々、

という印象です。

 

 

他にはなかなか

こういう使い方の出来る鞄は、

見つけることができません。

 

余談ですが、

当店で「自立する、軽くて、柔らかい鞄」

としてご提案しているのは、

メンズでは「エルム」

レディスでは「アイブライト」ですが、

これ以外に、

軽くて柔らかくても

きちんと自立するビジネスバッグは

なかなかありません。

 

柔らかくて

軽いビジネス鞄にするのであれば、

「自立する鞄」を作ることが

いかに難しいか、

お分かりいただけるでしょう。

 

 

さて、ダレスバッグの話に戻りましょう。

ダレスバッグとは、堅いタイプの鞄です。

そうすると、外ポケットは

付いていたとしても、かなり使いにくいです。

 

堅くて広い面についている差し込みポケットに

手を突っ込む想像をしてください。

指先くらいしか入りませんね?

 

それでこのダレスバッグには

うまく手の入るポケットをお付けしています。

今回の付け方は、ありがたいことに

見本を踏襲しましたが(笑)。

 

当店でもダレスバッグには、必ず

使いやすい外ポケットをご提案してきましたが、

それよりも単純な作りで効果的だったので

こちらの方法を使いました。

 

 

まったく昔は、さまざまに考えられた

鞄がたくさんあったものだと思います。

 

昔のダレスバッグには、

この鞄を作るためだけのプロの職人が

いましたから、

それはそれは深く考えたものや、

驚くような作りをしたものもあります。

 

ダレスバッグだけでなく、

昔は各ジャンルのアイテムに対して

それだけを作ってきた職人が

たくさんいたのです。

 

だから、プロとして

たくさんの試行錯誤を行い、

より複雑なテクニックを使っていました。

 

 

今は

なるべく手間のかからない、

安価に提供できるものを作るべく、

業界に関係ない人も企画していますから、

 

小物を例にとると、

一筆書きのように縫える商品が増えていたり、

細かく革の厚みを調整していない鞄などは

たくさんあります。

 

 

当店のオーダー品が

重そうに見えて驚くほど軽いことは、

革の厚みを

何段階にも変えて作っていることが

大きな要因のひとつ。

 

手間はかかりますが、

軽くするためには、

ここで5g、あそこで10g、と

少しずつ重さを削っていくことでしか

正当には対応できません。

 

中身を入れない鞄だったり(あり得ませんね笑)、

すぐ壊れてもいいものであれば、

何でもかんでも軽くてしまえるのですが…

 

 

この鞄も驚くほど軽いので、

クライアントはとても喜んでくださいました。

 

おまけに今回のリクエストでは

(ご相談していってわかったのですが)、

ベストの答えは、

「内部を2分割にすること、

しかも、その比率は2:1」。

 

今までお作りした経験ですと、

内部は均等の3分割や2分割でないと

このダレスバッグという鞄はゆがんでしまう、

ということがわかっています。

 

 

しかし今回、さらに積み重ねた経験から、

このクライアントに一番合う

2:1分割を

おそらく完璧に現実にできた、

と思います。

 

おそらく、というのは

使って行ってどうなるか、ということです。

10年、15年使ってどうなるか…

 

私たちは39年の間に、

このような長い年月をかけた「後追い」を

いろいろなアイテムでしてきたからこそ、

他所にはない知識と

ノウハウを持つことができました。

 

10年後にまた

このクライアントにお会いする時に出る

答えを待って、

毎日オーダー品をお作りしています。

 

こんな素敵なご注文を

ありがとうございました。

この鞄、

スイスへはご一緒したのでしょうか?

 

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