2020.11.17
30年以上前の長財布
古くからの友人に
買い求めていただいた型押しの長財布。
「大切に使ってたからね。」と
30年以上経っていたのに、まだ健在でした。
これは2018年に
撮らせていただいたお写真です。
つい先日のお電話では
「そろそろカード入れが切れてきた。」
とのこと。
「でも気に入ってるから、
壊れるまで使います。」ありがたいことです。
当時から、クロコダイルの型押し革には
あまり良い感じのものがなく、でも
その中で珍しく気に入ったものがあったので
一点ものでお作りした長財布です。
昔から気に入った革だけを入れて、
その革の、素材としての特徴と
色柄をより良く出す
アイテムや製作方法を考えては、
一点ものを製作していましたが、
こんなに長く使ってくださっているのには
あらためてびっくりしました。
ありがとうございます。
30年以上経っても色あせず、
型押しも特に薄まらず…
こうしたキレイ色の革の中では
どの革がどれくらい長保ちするかは
「神のみぞ知る」なのですが、
このように長持ちするものは
当時の日本製では少ないと思います。
それは革のせいばかりではありません。
彼女は丁寧な人なので、
優しい扱いだったのだと思います。
「革は一生ものだから…」と
未だに言われますが、それは
あくまでも条件付きでのこと。
「革は丈夫だから。」との理解から、
雨の日に雨に当たるままずっと持ち運び、
その後も
特にお手入れをしない方もおいでですが、
革に対して、雨は大敵です。
雨に当てることで脂分を奪われるのに、
その後手入れをしないことで
さらに脂分は無くなってしまいます。
「一生ものであること」にしても
「丈夫だから」にしても、
あくまでも条件付きだと、ご記憶ください。
立派な住宅を建てても、
乱暴に扱ったり、メンテナンスを怠ったら
どうなるでしょう?それと同じことです。
要は、大事にしてくださる気持ちひとつで、
きれいに持てる時間に
グッと違いが出せる、ということです。