2020.11.29
ひどく傷ついた5年もの二つ折り財布 210
5年ぶりにご来店くださった
遠方からのクライアント。
「鞄はよく使っていて、
ほんとに役立っています。
とても気に入ってます。」
と嬉しいお言葉。
その日新たにご注文くださったのは、
新しい二つ折り財布でした。
「じつは少し前に交通事故に遭って…
幸い身体は大丈夫でしたが、
車が廃車になるほどの事故でした。
その中で御社の財布に
ひどい傷が付いてしまったんです。」
「財布はたまたま
ダッシュボードに入れてましたが、
そこもぐちゃぐちゃになっていました。
でも財布を入れてあることをい思い出したので、
なんとか持ち出したんです。
そしたらひどい傷が付いていて、
もう使えないかなと思っていたんですが。
「しばらくはこちらに来られなかったので
そのまま使っていました。そしたら
すごいですねえ、傷が治ってきた。
作り直すのもどうしようかと思ったんですが、
そろそろいいかな、と来店しました。」
ありがとうございます。
もらい事故なんて避けられない事故に遭って
ともかく、ご無事で良かった!
財布の革の方はかなりのテリが出ていて、
とてもいい状態でした。
確かに大きなキズが付いたことは
わかりますが、
それももう、昔の話さ、という感じに
戻っています。
これが当店特製牛革の力。
傷ついた後も
毎日使ってくださったとのことで、
その愛情がしっかり伝わっています。
今回最初に拝見した時には
傷はそれほど酷くない印象でしたが、
傷ついた経緯を聞いて真っ青になりました。
車は、たまたまその日、その方は
高級車ブランドのジープに乗ってらしたので
ご自身はほとんど無傷でしたが、
車は廃車になったとのことです。
他の車だったら
無事では済まなかったくらいの事故だった
とのことです。
その方がその日選んだ車がたまたま
一番丈夫な車だった、というのは
確かに幸運ですが、
そういう車を選んでいたことで
助かる命があるのだと、知りました。
車に乗らない人にはわからない視点です。
値段には意味があります。
それがどんな意味か、モノによって
選ぶ基準をしっかりと持ちたいものだと
思います。