2023.01.15
5年お使いいただいたショルダーバッグの修理 2212N
5年近く使っていただいたショルダーバッグが
修理で戻ってまいりました。
「ルバル」でお作りした
手触りの良いショルダーバッグですが、
ご病気で手の動かない方のために
お作りしておりますから、
細部まですべてが特別仕様の製品で、
使い方にも特殊なところがあります。
*お作りした当時の外観
きっと毎日お使いくださったのではないか
と思いますが、
ある一点に力がかかるようで、
片方のDカンジョイントがすでに切れました。
ショルダーバッグを使う時はとくに、
どなたにも背負う時の癖があるため、
今回のように
そのクセを吸収してくれる部分に無理が出ます。
どんなに高価なバッグでも、
それが使われるバッグとしての宿命です。
私どもが修理を承る時は
必ず製品全体を確認し、
他に直す方が良いところがあれば
ご提案します。
*修理でお預かりした時の様子
修理をご依頼いただいた場合、
直すことでこれからどれくらい保つのか、
また直す場所によっては
他の部分も一緒に直す方が良い、など
もっともコストパフォーマンスの高い結論を
模索し、お薦めしています。
それにしてもこのショルダーバッグの
革の手触りの良いこと、
そしてツヤの良いことには、驚かされます。
大切に扱ってくださったのだと思います、
ありがとうございます。
*見事にちぎれたDカンのジョイント部分。
よく見ますと、
ナスカン金具もすり減っています。
でもここは、次回のお直しをお薦めしました。
なぜなら、反対のDカンジョイントも、
金具と同時期に切れそうだからです。
*出来上がったばかりのバッグの中
どのバッグも、最初にお作りする時には
本体内側にはステッチ(糸)を出さずに
きれいに仕上げます。
ところが修理の時に
これと同じ方法で直そうと思うと、
とんでもなく手間がかかって
お値段がお高くなってしまいます。
そこで、クライアントにご許可を取りながら
いろいろと工夫を凝らして、
あまりお値段のかからない方法にします。
*付け直したDカンジョイント部分
*裏地に縫い糸(ステッチ)を出しています。
今回は、
バッグの裏面に縫い糸を出すことで、
表面の革バッグ部分と
内側の裏地部分とを
ばらばらにすることなく、お直ししています。
ばらさない方が
バッグとしても保ちも良くなりますから、
お値段の面だけでなく、
この方が優れた直し方となります。
*もちろん裏地に糸を出したくなければ、
そういう直し方をします。
お受け取り頂いたクライアントからは
きれいに直った、と喜んでいただきました。
また何年か経って問題が出ましたら、
いつでもご相談くださいね。
このたびはご相談ありがとうございました。