革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2024.01.12

馬蹄型小銭入れ、手縫い製作とミシン製作との違い 310N

「じつはね、

あのお気に入りの小銭入れ、

失くしてしまったんですよ。

あそこでかな、と思うところがあったので

ずいぶん探してもらったんですが…

 

あの小銭入れがとても良かったので、

それ以来小銭入れは持たずに来ました。

でも、やっぱりあれが良くって。」

 

 

 

 

 

 

そんなことがあったんですね、

と言いながらデザイナーは

「あれなんですけども、

手縫いなので、最近とんと作ってないです。

でも型紙があると思いますから、

アトリエで見てきますね。」

と説明しました。

 

手縫い製品というのは、文字通り

ミシンを使わずに作る製品です。

 

 

 

 

 

 

革製品の手縫いは

お裁縫とかなり違います。

 

一本の糸の両端に針をつけ、

一番端の穴に通した

糸の長さの真ん中を縫い始めとし、

ふたつ目の穴から順番に

同じ穴の中を二本の針を行き来させて

糸を交差させることによって、

ミシン縫いの目と同じように、

目と目の間に

スキマの無い針目を作っていく方法です。

 

*お裁縫で「うんしん」をすると、

目と目の間がひと目空くのはご存知ですか?

 

長い糸を扱いますから、

糸が捩れてしまったり

同じ調子で縫い続けられなかったりと、

きれいで揃った縫い目で

縫えるようになるまでには時間がかかり、

熟練を要する作業です。

 

また、縫製の前に

パーツごとに針穴を開けておくのですが、

それがとても厳密で難しい作業です。

 

 

 

 

 

 

たとえば胴体パーツとマチの針孔は

同じ数に揃えて穴を開けられませんから、

どの穴を縫うかは、調整しながら

縫い進めていきます、これがかなり難しい。

 

その難しさも「手縫い」という

独立したジャンルが成り立つ理由です。

そうそう簡単に習得できるものではありません。

 

当店はミシン縫いで仕立てますから、

手縫いとは違う技術です。

もちろん手縫いでないと縫えない場所は

手縫いで仕上げますが。

そんなわけで、手縫いオンリーの製品を

仕上げることは、ごく少ないです。

 

手縫いは、この小銭入れのような「立体」を

仕上げることができるのが特徴です。

 

どういう立体かと言いますと、

お菓子の箱のように

角が90°に突き合わさった

キューブラインを持つ立体です。

 

ミシン縫いで

このラインを出すことは出来ません。

この小銭入れも、

本体とマチが90°に突き合わさっています。

 

 

 

 

 

 

お調べしましたら、

昔はインドや東南アジア製だった

このタイプの小銭入れは、今では

日本人の個人の方々が作っているようです。

 

似たようなものがあったとしても

当店製品を愛してくださるみなさま、

ほんとうにありがとうございます。

 

先ほどもアポなしでご来店くださった

初めてのお客様が

「いいお値段ですけど

見た目で高級感があるし、

手に持った感じがいいし、一番驚いたのは、

こんなに小さなメガネケース

どこにもなかったですよ。」

と言ってお求めくださいました。

 

この方にどうして当店を知ったのか

お尋ねしましたら、

「銀座、革、で調べたらここが出てきて。

書き込みの中に

『お店に入ると、革の良い匂いがする』

とあったので、来てみました。

ほんとに良い匂いがしますね。

今日はプレゼント用です。

大きなショップはほとんど見てきましたが

気に入るものがぜんぜんなかったです。

今度は自分のものを買いに来ます。」

 

五感で味わえる革製品をご存じの方は

何が当店製品の特長なのか、

的確に見抜いてくださいます。

書き込みしてくださった方に

感謝申し上げます。

 

本日ご紹介した小銭入れのお客様もしかり。

ありがたいことです。

 

 

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