2024.08.25
アップルグリーンの太幅ベルト 406N
ベルト好きなクライアントから
今回ご依頼を受けたのは、
一筆書きのような1枚革のベルトです。
この方からご希望いただくような
太幅のベルトは、
使用サイズの変更幅が大きいと、
何をもって最長、最短サイズとするか
また、フィット感はどこを基準とするか
という問題が多々起きますから、
今回もご注文者が良いと思ったベルト見本を
お持ちいただきました。
今回はオリジナル品からの
サイズ変更はありませんでしたが、
もちろんそこから
サイズ変更いただくことも可能です。
見本のベルトは
1枚革でサッと作られたように見えますが、
そこは綿密に計画された量産製品ですから、
手間暇と材料費がかからないような工夫が
あちこちで見られます。
たくさん作るからこそ、の製法です。
そういう製品をトレースする時、
当店では一本作るだけですから
最初から最後まで手作業となり、
場合によっては
対応不能な準備手順が出ることもあります。
それは「抜型」の存在。
たいてい抜型がなくても問題ないのですが、
今回は
ある部分に対して抜型を使うことで、
無理ない製作が可能になる作りでしたから、
そこを手作業で行うことは不可能でした。
それは、見本とまったく同じにする、
という意味でです。
そういうわけで、ひとつだけ、
小さな点を踏襲することが
できなかったのですが、
美意識の高いクライアントですから
その部分についてはご説明しました。
該当部分は、
気になる方と気にならない方とに分かれる
ほんとに些細な部分でしたが、
デザイナーはそれをお話ししないことは
許せなかったようです。
また、これは革の問題になりますが、
1枚革でお作りする場合
革の厚みが重要になってきます。
通常のベルトであれば
3~5ミリ厚の範疇でお作りしますが、
ファッションベルトの場合、
幅や、求めるしなやかさによって
それが変わってきます。
見本は1.6ミリという厚みでしたから
お選びいただいた革で
どう作るかが問題となりました。
表面加工は革によって違いますから、
同じ厚みで作っても厚く感じる場合もあれば
薄くてもしっかり感じる場合があります。
「こんな簡単なベルトでも?」
という声が聞こえてきそうですが、
作る人たちが作る立場から、
使う人が何を良いと思っているかを
正確に表現しようと思いますと、
このような
詳細な製品分析が必要になります。
このベルトは
締めますと上のお写真のようになります。
幅の広い部分と狭い部分のコントラストが
おしゃれなベルトです。
「出来上がってみると
色がさらにはっきりして、良かったわ。
いろいろ使えそうで楽しみ!」
このたびもありがとうございました。