2024.09.6
4代目のスマホケースと小さめデバイス用ケースのミニ歴史 2408N
スマホを使うようになってから、
このケースだと電話がしやすい、と
当店タテ型ケースを
ずっとご愛用くださっている
クライアントがいらっしゃいます。
このたびのケースで、4代目。
ひと機種を長くお使いになる方で、
ここ5~6年は、資料を作るとき以外
ほとんどスマホで仕事が済む、と
一日の大半を、それも長いお時間
電話とメッセージだけで
お仕事を進めてらっしゃるとのこと。
どこにいらしても仕事ができるわけです。
最先端の仕事のやり方の実践者で、
必要なものは
すべてこのケースに入っていますから、
当店スマホケースが
お仕事の一端を担っていて、嬉しいことです。
*これが替える前のスマホケース。
革の元の色はワインレッドですが、
始終持っていると、これほど色が変わります。
革は柔らかくしなり、馴染んだ使い心地です。
そのような使い方ですと
どの方よりもハードユースのため、
丸4年お使いいただいたところで
土台となるシリコン製のシェルカバーも
分解寸前となり、
「新しいのを作りましょうか。」と
ご依頼いただきました。
*シェルカバーも分解しそうですが、
しっかりケースに貼り付いているので
しばらく使っていられました。
デザイナーは驚いていました。
「シリコンのシェルカバーが
壊れるところは、初めて見ました。
シェルカバーも含めて
耐久テストをしていただいてるみたい。
ありがたいことです。」
ご依頼は、今後も同じ機種のまま
使い続けるとのことで、
まったく同じ仕様でお作りすることに…
*こちらはま新しいケース。このタテ開きは
電話で話すことが多い方に向いています。
ケースの折れ曲がる部分(厚み分)の
革の切り替えは、
折れ曲がり部分の補強のためです。
これはこの方の
過去のハードユースを見てきたことから、
なるべく長く保つように、と
普通の使い方の人には施さない補強です。
ここの革を厚くすることで、
革が慣れてくるまでの間は少し硬いですが
のちのち丈夫さを発揮してくれます。
それでも前回のケースは
この部分の糸の縫い直しを2回しています。
毎日最低二度は使うことになる
定期入れなどでも、
糸の縫い直しをお持ち込みいただくのは
10年以上のものでも
ほとんどないことを考えますと、
どれほどのハードユースかが
想像できるというものです。
*今回内側のお色はブラック。シェルカバーと
同じお色で、引き締まったイメージです。
さてここで、
シェルカバーのお話をしましょう。
スマホやiPadに対して
専用のシェルカバーが販売されるまでは、
これらのオーダーケースを作る場合、
どうやって本機を収納するかが
重要な課題となっていました。
それぞれの機種の形状は、まったく
革の縫製に見合わないものでしたから。
オーダー例を見てみますと、
2003年前後にたくさんご注文のあった
携帯電話以前の
ケースは、もちろんシェルではなく
完全に革のみでくるんでいます。
*CLIEケースのひとつ。外側の小さなポケットは
専用カードを入れるようになっていました。
最初期のPDA、IBM社のChip Cardは
ガジェット好きの耳目を一身に集めました。
下の紙焼き写真には’96と入っていますから、
どれだけ前のことでしょうか!
のちに出たどの機種よりも
小さなサイズ、カードサイズでした。
*手のひらに入るくらいの大きさで、
この大きさなのに、驚く機能の極小PDAでした。
’95年、’96年にはIBMウルトラマンPC(110)、
東芝からリブレット、という
画期的な小さいPCが誕生し、
そのケースも、私たちは革のみで製作しました。
残念なことにこの頃のお写真が
見られない状態なのでお見せできませんが、
とてもステキなデザインでした。
そうこうするうち
iPad初めての発売が2010年に始まり、
今に至るまで脈々と販売され続けています。
シェルカバーが考案されるまでは、
ご依頼があるとやはり革でくるんでいました。
毎回かなり頭を使って
きれいな形に収めていました。
下のお写真の感じです。
*シェルカバー発売前の、革でくるんだiPad。
ところどころの丸い形状と開ける必要のある
穴の位置が、革製作泣かせでした。
とまあ、こんな具合でしたが、
ある時、気が付いたら突然
シェルカバーなるものが販売されていて
私たちは小躍りしたものです。
シェルカバーをそのまま使いますと、
無理くりな縫製がなくなります。
すばらしい発明です!
*シェルカバーには素材が何種類かあり、
革ケースの内側として使えるものと
使えないものとがあるのが、トリッキー。
こうして今回、
分解したシェルカバーを見たことで
いろいろと思い出しましたが、
世の中にはいろいろな発明があります。
当たり前に入手できるものの中には、
きっとたくさんあるでしょう。
私たちが便利で安価に使えるのは、
それらが量産できるものだからです。
それと真逆なのが
フルオーダーメイド製品ですが、
しばしば巷にある量産材料を使って
世界に一点しかないものをお作りしています。
いずれにしても
興味深いご注文品があるから、
フルオーダーメイド品を作る時の
新しい発想や技術に繋がります。
これまでの楽しい製品群に感謝しています。
そして、当店スマホケースを
ずっと使ってくださっている方々にも
さらなる御礼を申し上げます。