
2025.03.12
ビビッドカラーのショルダーバッグ 50101
「私はこのデザインが大好きなんですが、
欲しいサイズが売ってなくて…
大きすぎるものばかりなので
オーダーで作ってもらおうと思いました。」
ブランドバッグには有名な形がありますが、
これもそのひとつです。
この方は、ご自分の欲しいサイズを
厚紙を切ることで、ご説明くださいました。
デザイナーは
あまりブランド物に詳しくありませんから、
ネットでお調べして、作りや
デザインの肝になるところを見ます。
長い経験を持っていますと
写真を見ただけでほぼ看破しますが、
そうした中で、
自分が見て感じた質感を出す方法は
もっとも難しい課題となります。
バッグは質感が命、と言って
過言ではありません。
素材を生かしながら
デザインに要求される質感を出すのです。
同じ楽譜から、読む人によって
違うイメージの音楽が生まれるように、
同じデザインでも、作る人によって
違うイメージの革製品が
出来上がるのは、
解釈に違いが出るからです。
ひとつのデザインに
「コレ」という正解を見ることができれば、
それに向かって
作り方自体を練り上げることができます。
つまり
製作の初めに「完成形ありき」。
それは、
どんなに小さな革製品のデザインも同じで、
出来上がり時の「コレ」という正解を
示しておかないと
作り始めることすらできません。
その解釈は、当店の場合
フルオーダーメイドですから、
ご注文者のご意向を第一に考えます。
言葉に表されない部分まで
相談時に受け取って、理解します。
デザイナーが「私のコンサルはイタコ式よ。」
と言うのは、そんなところを指しています。
今回のクライアントは
中にお入れになるものがあいまいで、
製作時、ご希望サイズをどう解釈するかが
問題になりましたが、
「このデザインがいちばん好き。」
とおっしゃって、
いくつかあるサイズ展開の
プロポーションをご準備くださった経緯が
ありましたから、その点を重視しました。
店頭でのお引渡し時、にっこり笑って
「革の色も良いし、
とてもきれいにできていますね。」
と、おっしゃり
軽いバッグであることにも喜んでくださいました。
サイズはパッと確認してOK。
めでたしめでたし、でした。
このたびはありがとうございました。