
2025.04.24
見たこともないほどうつくしい長財布、ベージュのゾウ革 41203
「以前作ってもらった長財布を
気に入っているので、大事にしたいです。
まあそれもありますが、そろそろ
何か珍しくてお薦めの革はありませんか?」
*初代のリザード財布、2014年の出来立て時
「ゾウ革とクロコダイルのジーヴズも
持っていて、どちらも
とてもいい感じに育ってきたこともあり、
そういう系統でのご紹介もOKです。」
クライアントがご来店くださったのは
昨年12月のこと。
見事に変化した
数々のオーダー品を拝見して、
目の保養をさせていただきました。
お調べしましたら前回お作りした長財布は
2014年製ですから、
すでに11年目に入っています。
それはキラキラと輝く
ネイビーのリザードでした。
今もとてもきれいに使ってくださっています。
ありがたいことです。
別の機会にお写真をアップしますね。
そこでデザイナーが今回お薦めしたのは
これでぜひバッグを作りたい、
と思って取ってあったベージュのゾウ革です。
この方は当店で特別な革ばかり
お持ちくださっています。
イタリア製のそのシーズンしかない
珍しくてカッコいい革ばかりお持ちですから、
「次に何をお奨めしたらいいかしら?」
とデザイナーは悩んでいました。
そしてこれまで毎年2回、ある革屋さんへ
ミネアペレのイタリア革を物色しに行っては、
「今年も触手が動く革がなかったわ…」
とがっかりして帰ってきていました。
「あの方から頼まれているのに、
ご紹介できる革がないなんて…」
この方は、たびたび訪ねてくださった時、
当店がたまたま持っていた
微妙なお色のクロコダイルや
ネイビーのゾウ革なども
お持ちくださいましたから、
これ以上何を…というほど、
稀少な革製品ばかりをお持ちです。
「今回はまだ行ってませんから
ミネアペレの革を近々見に行く予定です。
でも、ここ何年も買いたい革がなかったので、、
今年もどうかな… という状況です。
ですから今日は特別に、
大事にしまっておいた革をお見せしますね。」
「いやね、こういう革製品を持っていると、
使うたび、ほんとにすばらしい、と
見惚れてしまうんですよ。
そしてここまでたくさん持っていると、
ああ、自分が好きな革は
どこにもあるようなものではなく、
こういう特別な革なんだな、
とあらためて感じます。
ほんとにどれもすばらしい!」
ありがとうございます。
セレクト冥利に尽きます。
このように革自体に目の肥えた方が
このベージュを見たとたん、
「あ、これは…
こんな革は見たことが無いし、
ずっと見ていたいですね。」と
即決くださいました。
あまりにステキなので、
「ジーヴズも揃いで作って
一緒に持ちたくなりました。」とも
おっしゃってくださり、
秘蔵の革をお見せしたデザイナーは
「作るのは鞄でなくっていい。」と
しっかり納得したようです。
「内側の革はお任せします。」という一言で、
デザイナーはヌメのベージュに決めましたが、
ここからが大変でした。
決めた革の色が白すぎたので
日々、陽に当てて日焼けさせてから
使おうと決めていたのですが、その革が
何だかピンク系に変化していったのです。
昔と違う!
お調べしますと、最近のヌメベージュは
ピンク系に経年変化することがわかりました。
それは鞣しに使う薬剤のせいで、
ほとんどの日本製ヌメは
ピンク系になるようです。
そこで再び始まった
デザイナーの革を巡る旅。
イエロー系ヌメを求めて
あちこち廻ったようです。
そうしてやっと出来上がったのは、
お約束の日から2か月近く経っていました。
「何も言わず、
お待ちくださってありがとうございます。」
でもそのおかげで、バランスの良い、
ずっと持ち続けることのできる長財布に
することができました。
経年変化をお見せいただくのを
楽しみにしています。
いつもお引き立ていただきありがとうございます。
無事お引越しが済んだのは、
こうして支えてくださるみなさまのおかげです。
あ、でも納期をお急ぎの場合は
遠慮なくご相談くださいね。
ともかく、
これからも最高のお品をお届けします。