
2025.04.28
イタリアンレザー 今回のリネアペッレ
お引越しからやっと落ち着き、
デザイナーはいつもの革屋さんへ行ってきました。
この革屋さんは、
イタリアの革展示会「リネアペッレ」からいつも、
カッコいい、とんがった革を入れる会社です。
*今年の表面加工の仕方です。
ヘビ革のプリント革は、
本物にないデザイン性が本物を上回っています。
フェイクではなく、新しいヘビ柄の誕生です。
ブルー系のクロコ型押しは、ワイルドさもありながら
クリムトの「青い服」を想起させます。
ところがここ何年も
「あんまり欲しいな、と思う革がなくって」
とぼやいていたデザイナーです。
革を見ると一目瞭然なのですが、
それぞれのコレクションに
彼らのテーマがあって、それに沿って
革を作っているようです。
それで、「今年のテーマは違うな」とか
デザイナーはぶつぶつつぶやいています。
*一番下は、最近とんと見ない
正統なイタリアンレザーで触り心地が抜群です。
絶妙なダークブラウンカラーが魅力的な一枚。
真ん中の二つが今回のテーマそのもので、
ワイルド・エレガントな、見たことのないタイプ。
一番上は昨シーズンのものです。
今回のテーマでは、これを発展させています。
「でも今回は、ステキな革がいっぱい!」
とゴキゲンな様子で帰ってきました。
仕入れた革はどれも
お写真ではとても表現できない
複雑な色とテクスチャーの革ばかりなので、
それでも何とか表現できないか、と
何度もカメラを向けましたが、
やはり無理だったようです。
*上の集合写真の中の一枚の表情。
光の当たり具合で微妙に色が変化します。
ここに挙げたお写真より
何百倍もステキな革、と思ってください。
現物の革の良さを出し切れていないので、
お写真をアップするのは…とも思いましたが、
興味をお持ちいただくのが大事。
お店で直にご覧いただけば、
この記事の言いたいことが
お分かりいただけると思います。
リネアペッレの革に対して毎回思うのは、
イタリア人のファッションへの攻めの姿勢です。
新しい革を作ろう、と技術テーマを決め、
それぞれの工程のプロが協力し合って、
半年ごと新しい革を作り上げる…
革のデザイナーと革自体を作る技術者たち、
ファッションデザイナーたちが一丸となって
ああでもないこうでもない、と毎回
議論と検討が取り交わされることでしょう。
*姫路製で珍しい試みの革。ここに挙げた革たちは、
日本の他の革製作会社の方たちが
カット見本を持っていきますが、
オリジナルにかなう革はまだ見ていません。
これらの革を見ているプロには、
そのルーツがわかるのが興味深いところ。
さてこの中で、最後のこの1枚だけは
メイドインジャパン!
姫路の革です。これもカッコいいです。
これも含めてどの革も上品ですから、
出来上がりの革製品のグレードを上げてくれます。
デザイナーは
「私はあそこに、イタリアの革だけを
買う目的で行ってるのではないのよ。
あそこにはいつも他には入ってない革があるし、
その中でたまたま手に取ったら
ほとんどリネアペッレの革だった、ってだけで。
でもこの姫路の革は、すごく良いわ!」
近年、少しとんがったカッコいい革は、
日本ではほとんど売れないそうです。
リネアペッレの革は高価で、
加工の仕方も難しいことが影響してますが…
でも近年の市場は、どんどん
保守的な製品展開になっている模様です。
日本にたった1枚だけ入った
イタリアンレザーたちを、そして姫路レザーを
応援してくださいね。
服装のカジュアル化だけでなく、
履き心地、楽ちんさ、という点からも、
革靴はだんだん無くなっていますが、
モノを入れて運ぶバッグは、
無くなることはありません。
でもこれも、革素材は押されています。
雑材(革以外の素材の総称)もいいですが、
触り心地良く、香り良く、
これひとつで装いがグレードアップする
革のバッグって、ステキだと思いませんか。