2016.12.23
ファスナー式二つ折財布のオーダーメイド品
最初にアポなしで店頭へお出でになった
クライアント。
「財布を作りたいと思うんですが、
どんなことができるのか、
どんな風に注文すればいいのかを
まずお尋ねしようと思って来ました。」
形はどんなものでもいいこと、
好きな風にお話しくださればいいこと、
こんなことできないかな~、と思っても
とりあえずお尋ねください、
とお話ししました。
フルオーダーでは
ひとりの職人が最初から最後まで
責任もってお作りすること、
それなので、ひとりのクライアントが
ひとりの職人を雇っていただくこと、
流れ作業でないので
細かいリクエストにこたえられることを
ご存知いただきました。
「いや、思っていたのと全然違って
そういう風にオーダー品ができるんですね。」
一旦お帰りになってから2~3か月後
再びご相談においでくださいました。
「古い財布のこの部分を、
思い出の品なので
新しい財布に付けたいんですよ。」
お付けしたのが上の飾りです。
またクライアントにはご希望サイズがあり
入れたいものがあり
それをどのようにレイアウトするか
とても難しいものがありました。
小銭入れの形も
このハコ型をご希望でしたから、
どのようにスペースを取るかが問題です。
全体の厚みも
なるべく薄く、ということで
製作にもかなり苦労しました。
よく「小物なのにお高いですね。」と
言われることもありますが、
小物ほど難しく、小物ほど作れる人はいません。
人間が住む家とまったく同じものを
使える状態にして
身長が半分くらいの人のために作ることを
ご想像ください。
不可能なことや、
何かを譲歩していただくことで
可能になる内容を
クライアントと詰めていくのは
興味深い知的な作業です。
細かくお付き合いいただきまして
ありがとうございました。