2017.11.30
定番のイージーオーダー品「マウスパッド」
当店の特製牛革は
㈱栃木レザーに作ってもらっています。
㈱栃木レザーの革といったら
革のお好きな方やマニアの方には
優良革として高品質で有名です。
その中でも、特に特別品質なのが
当店の革です、と思わず自慢(笑)
もう20年以上、同じ品質になるよう
作ってもらっています。
現在の品質になるまでは、
いったいどんな革がベストなのか、
試行錯誤の連続でした。
実際に、自ら半年以上使って見ないと
経年変化がわからないから、
それだけの長い年月がかかったのです。
それからもずっと、
今だに試行錯誤は続いています。
鞣しに使う渋の混合物や
染色の素材が変わるごとに
見直ししてもらっているのです。
普通は、こんなに小さなお店だと
ここまでの優遇をしていただけないので
自社だけの独自の革を持つということは
まずムリなのですが、
昔からの縁というか、長いお付き合いで
いろいろなご好意をいただいています。
ほんとうにありがとうございます。
それはおそらく、当店の革が
もっとも㈱栃木レザーさんの
高い技術力を体現するものだから、
ということもあるはずです。
そして、
僥倖とも言うべきその事実を
デザイナーはしっかり理解して、
彼らが苦闘して創り上げた革を
もっともよく美しく見せるような
デザインや製作を心がけています。
デパートなどではよく
㈱栃木レザー製品フェアなるものが
定期的に行われるらしいですが
(何名かのクライアントからの情報です)、
そこへお出かけになったみなさまは、
「なんか手触りが違うんですよね…
オーソドキシーの革とは違うんですか?」
とお尋ねになります。
(当店製品をお持ちの方ばかりなので
こんなご質問をいただくのです)
「もちろん違いますよ。
ついでに申し上げますと、
革の仕上げは、製作会社によって
全部違っているんです。
なぜなら、目指す革の歩留まり率や
量産の製作方法によって
革の仕上げを変えなくてはいけないから。」
大量生産をする会社には
それぞれの製作方法があって、
一枚の革から
どれだけたくさんの材料が採れるかは、
どれだけ安価に製品を提供できるか
に関わる大切な問題です。
当店では、その真逆をやっています。
某ワールドブランドのように
一枚の革からバッグひとつのパーツを採る
ということはさすがにしていませんが、
できるだけ良いところを
うまく使えるように、目視と手触りで
必ず皮膚の下の組織まで確認し、
手断ちでパーツをカットしています。
じつはこの
「目視で革の悪い部分がわかる」
ことのできる人を育てることが、
もっとも難しい課題のひとつなのです。
だから、どこもこれをやらない。
できないのです。
一番機械的で簡単にできることは、
一枚の革の中央から
表面の傷だけに気を付けて
ひとつだけパーツを採ることです。
でもそんなことをしたら
恐ろしく高額なものになってしまう。
そして、それができない場合には
革の表面を化粧して、
表面からは皮膚下の皮膚の崩れが
見えないようにするわけです。
そうすれば、安価に提供できます。
それは、どんな製品を
みなさまにお分けしたいかという
経営者の気持ちによって、
いろいろなアプローチになります。
(パッドの裏面は、滑りにくくするため
起毛革を使っています)
さて、今日ご紹介するマウスパッドは
当店定番の小品ですが、
革を試していただくには
最適のお品かもしれません。
このマウスパッドをご注文なさった
クライアントは、まず実際に
これで革をお試しになったあと
バッグをご注文くださいました。
このような、五感で感じられる革は、
今ではなかなか作られていません。
まさか狂牛病がここまで
革の供給に影響することになるとは
思いもよりませんでした。
当店の革を知っていただくには、
まずお使いいただくこと、です。
こうした小品をぜひお試しください。
手触り、香りはともに、きっと
毎日を気持ちよく感じていただけます。