2018.03.28
しっかりした一枚革のベルト 73
以前からたまにお話ししていますが、
狂牛病の影響は、ずっと続いています。
騒動後の状況は落ち着いていますから
今後もずっとこのままでしょう。
ものを作るお店にとって、
日常使っている素材に
こんなことが起こるなんて、
想像したこともありませんでした。
革はさらに高額なものになり、
以前より表面にキズの多い原皮のため
いかに表面をうまく加工するかが
各社の課題になっています。
美しく表面加工をするのは大変です。
一番簡単なのは顔料仕上げなのですが、
その中でも大きな質の違いがあります。
ところで
ちょっと今回のテーマから外れますが、
有名ワールドワイドブランドの製品は
「革じゃないのに
どうしてあんなにお値段が高いの?」
とよく尋ねられます。
じつは、独自に素材を作ることは
一番、お金と時間がかかります。でも
それを知っている方は
かなり少ないのではないでしょうか。
化学の実験としてご想像ください。
素材の製作途中で、たとえばたった1%
何かひとつの配合成分を変えるだけで、
まったく違うものになってしまいます。
素材づくりとは
そんなデリケートで大変な作業なのです。
そして恒久的に、この素材で行くぞ、
と、あるブランドが決定したのであれば
製作してそれで終わり、ではなく
使って行くとどうなるかを
確認しなくてはなりません。
売り切りの量産品を作るだけの
単なる製造会社には関係ないことですが。
耐久テストというものもありますが、
それだけでなく
長年に渡って、実際どうなるのかも
確認していかなくてはなりません。
そんな素材を取り巻く環境の中で、
当店はずっと、みなさまに
革らしい革をご提供したくて
製作後、あるいは販売後も
ずっとウォッチングしています。
手触りよく、軽く、
ずっと触っていたい革、を目指して…
こうしたさまざまな理由から、
近年、原皮の厚みも薄くなってきました。
今日ご紹介しているのは、
きっちりと厚い、今では入手しづらい
金具はクライアントのお持ち込み。
使うほどに、各個人の身体になじみます。
また少し入荷しましたので、
ご興味ある方はご覧ください。
お色はブラックとベージュの2色です。