2003.10.5
ギミック満載のメンズクラッチバッグ
ひじょうに明確な使用目的をお持ちの方にお作りした、超多機能なクラッチバッグです。
内側もすべて革でお作りしたゴージャス版。
さっとメモ書きができて、お財布の要素もあり、このまま銀行に行って何でもできるように、
通帳や振込カードなどもばんばん入る、驚くほど考えられたクラッチバッグです。
「以前から欲しい欲しいと思って、ずっと考えていました。」
最初にお客さまがお持ちくださったのは、12枚の図面。
図面というのは、細部は良くわかるのですが、全体像が掴みにくいので、手がかりになる図面から入って、ご相談を伺うこと4時間以上!
このバッグ、ぱっと見るとまあまあの複雑さに見えるかも知れませんが、
じつは、一番手前のポケットには、すぐに小銭が取りだせるようなギミックを施しています。
実際にお目にかけたいくらいの凝った作りです。
「オーダーをしようと、某ワールドブランドへこの図面を持っていきましたら、相談者が3人も変わりました。
それで、わたくしの望む内容の4分の3までは、作れない、と言われ、とりあえず見積もりを出してもらったのですが、断りました。
なぜなら、その最後の担当者には、
オーダーというのは、まずひとつ作り、そのひとつ目を基本にして、少しずつ改良させて作るといいんですよ、
そうすると、みっつめには素晴らしいバッグになる、と言われたからです。
自分の望みがほとんど叶わない出発点なので、みっつ作ってもあまり意味はないですよね。」
そのブランドの人が言ったことは、ある意味では正しい、と言えます。
作る側から申しますと、いくら完璧にお作りしたとしても、
お客さまが初めてお使いになる製品が、そのお客さまにほんとうに合うかどうかは、使っていただくまで判りません。。。
それであればこそ、ふたつ目の必要も出てくるのですが、確かに、最初のオーダー品のスペックが、
リクエストの4分の1であれば、このお客さまのご判断は正しいと思います。
お受取り時に、「このお店を探すことができて良かった。」と心からの笑顔を見せてくださいました。
作り手にとって、最高の瞬間です。ありがとうございました。