革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2018.12.12

コンパクト財布 ジーヴズについて

当店が定番のお品について

「常にブラッシュアップしている」と

よくお書きしますが、

 

そのいい例が今回、

ジーヴズというコンパクト財布で

見られますので、ご紹介しましょう。

 

お写真のジーヴズは

4年半お使いいただきました。

 

それでファスナー布が切れてきましたので、

今回はファスナー自体を

お取替えするご依頼をお受けしています。

 

リザードのフレンチブルーですが、

こんな風な経年変化をしています。

 

少し薄いお色になって

テリが出ています。

丁寧に使ってくださって嬉しいですね!

ありがとうございます。

 

 

それでは、当店が何をどう考え、

定番品をブラッシュアップさせているか、

ご説明しましょう。

 

まずファスナーについてですが、

通常は4~7年くらいで

スライダー(引手金具)がすり減るので、

ファスナーを閉めた、と思った後で

ぱあっと開いてしまうようになります。

 

それを修理後、8~10年くらい経つと

今度は布が切れてきますので、

ファスナー全取り換え、

というプロセスになります。

 

もう15年以上前から、当店では

それまでの普通のファスナーをやめて、

最高級のエクセラファスナーを使っています。

それは、

ファスナーの歯が面取りしてあって、

普通のファスナーに比べて

手当たりが柔らかく

気持が良いからです。

 

それを使うようになって

6年ほどになるでしょうか…

 

こうして修理に回ってきますと、

それまでの普通のファスナーに比べて

布の耐久性に劣る気がします。

 

もしかすると、

面取りするために

一本一本の歯がしっかりしているため

普通のファスナーと

同じ布を使うことで、

布が負けてしまうのかもしれません。

 

これは本来

ファスナーやさんが考えるべき改良ですが、

私どもでは何も口出しできませんから、

 

では、私たちは何を選択するか?

という問いを立てます。

 

それから

同じものを使ってらっしゃる方々からの

数年間の反応を見ながら

その答えを出す、ということをしています。

 

今回の場合、

こうした修理は初めてなので、

まだ答えを保留にしておきます。

これを頭の中に留めておいて、

きっと何年か後には

最良の答えが出せることでしょう。

 

ファスナーに何を選ぶか?

 

こんな単純そうなことであっても

当店ではじっくりと見極めます。

 

 

それは「製作方法」についても同様です。

お写真のジーヴズの頃には、

ファスナーは

裏地に隠さず仕上げていました。

 

それは、今回のように

ファスナーを全取り換えする時、

修理日数が早く、費用が安価に済むからです。

 

でもそれから少し経って

そのことをご説明すると、

「それくらいの取り換え年月なら

裏地に隠した方がいい。」という

ご要望が多かったため、

今では裏地に隠した製法に戻しています。

 

ついでに申しますと、

ジーヴズの小銭入れも、

少し前から

カードが入るサイズにしました。

けれど、

数人の人が、使い方によっては

ファスナーが小銭入れに引っ掛かる、

ということをおっしゃってくれました。

 

それによって

どちらがいいのかを再度考え、

直近では

カードが入らない、昔のサイズで

お作りしています。

 

ひとつの定番が

どうすれば究極の定番になるか…

 

これはきっと

永遠の課題なのかもしれませんが、

年経るにつれて

何が特殊で何がスタンダードなのか、

この仕事でもはっきりしてきたことが

ありますから、

 

どんどん考えを進め

皆様にさらに使いやすいものを

ご提供したいと思います。

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