革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

Order example

2019.04.7

車好きな方にお作りしたトリコロールカラーのボディバッグ 810

爽やかな一点をご紹介します。

ある日おいでになったクライアントは、

大の車好き。

 

車だけでなく

いろいろな美術工芸にも造詣が深く、

幸運なことに

かなり珍しい昆虫の動くオブジェも

拝見させていただきました。

 

 

さて、そんなクライアントですから、

お持ちになるバッグにも

さまざまなご希望がおありです。

 

聞き取りをして行くうち

だんだんと、お好きな車のことや

美術工芸品のお話が出てまいりました。

 

クライアントがどのようなものを好み

何に興味をお持ちかということや、

お店に入っていらっしゃる時の

一瞬のイメージから、

デザイナーはその方の「色」をつかみます。

 

 

その時掴んだ色(個性)が

正しいのか正しくないのかは、

その後続く聞き取りから判断して

お出しする選択肢や内容を決めていきます。

 

ほんの少しの言葉尻や反応から、

表に出てこない好みまで探ります。

かなり興味深い作業で

必要な作業ですが、これだけは

人に教えることが出来ません。

 

 

クライアントと向かい合う時、

どちらにイニシアチブを取らせて

話を進めて行くかは、

相当 微妙な問題です。

 

クライアントのひとりひとりと

話しながら決めるこの命題には、

セオリーすらないかもしれません。

 

 

デザイナーは製作のプロとして

クライアントと対峙します。

そして、クライアントの気づかないことや、

問題にもしていないことにまで

考えを及ばせ、

 

この、

どこにもないものを作って使った時、

起こりうる

最悪の不都合にまで目を向け、

内容を分かりやすく説明します。

 

 

それがあって初めて

「使えるオーダーメイド品」になるのです。

 

先日おいでになった別のクライアントは、

「以前訪ねた他のオーダー店の人は

説明がわかりにくかったし、

質問にも答えてくれなかったです。

 

この店のように

(物理出来に)できないことは出来ない

と言ってくれたり、

それはやめた方が良いですよ、

なんて言ってくれるところがあるなんて

とても驚きましたが、最高です!

ありがとうございます。」

このように言ってくださいました。

 

 

そのクライアントの言では

「前のその職人さんはね、

こういったんですよ、

『僕にとっては家族が一番だから、

少しくらい納期が遅れても

構いませんよね?』

 

最初にそう言われたから

止めればよかったんですが、

どうしても欲しかったんで、頼んだんです。

そしたら結局(時間が経って)最後には

『これは僕は作るのが嫌ですから、

もう作りません。』と断ってきました。」

 

 

そのクライアントのご希望の形は

当店でもお話を伺いましたが、

とても手の込んだ、

普通の職人さんでは到底作れないものでした。

普通だったら、最初にお断りする内容です

(当店ではお作りできますよ)。

 

その形は、絵に描くと描けるものですし、

見た感じは

かなり便利そうに見えるものでした。

 

しかし実際に使うとなると

大きな齟齬があるもので、

そのままでは

使いにくいものとなったでしょう。

 

デザイナーはその理由をお話し

ご理解いただくことで、

そのクライアントから

新しい考え方を引き出しました。

そのご注文品は、いずれご紹介いたします。

 

さて、このたびのボディバッグは

とてもステキな出来上がりで、

こちらのクライアントには

とてもお似合いでした。

そのうち、街でお目にかかるのを

楽しみにしております、

ありがとうございました。

 

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