革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2019.08.18

アイボリーリザードの時計ベルト 97

「腕時計のベルトを作りたいのですが、

持ち込みの革で作っていただけませんか?」

 

メールでのお問い合わせだったので

「たいていの革は大丈夫ですが、

間違いなく使える革かどうか確認して

正式なお返事をさせてください。」

とご返信しました。

 

 

店頭で拝見しますと、

初めて見る「ジャクルシー」という

名のトカゲの革で、

カイマンワニトカゲという種類だと

ご説明いただきました。

 

爬虫類の革には

背中で割いた「背割り」と

お腹で割いた「腹割り」とがあります。

今回お持ち込みいただいたのは

硬い背中部分の斑がしっかり出る

「腹割り」です。

 

 

腹割された背中部分の硬い鱗は、

モノによっては

ミシンの針が通りませんから、

製作できないこともあります。

 

今回のものは

何とか針が通りそうな感じ。

少しの時間お借りし

針を通してみます、行けそうですね。

 

 

念のためご注文を仮受けしてから

さてと、腰を据えて拝見してみますと、

革は少し脂分が足りない感じで、

もしかすると縫っている時に

針孔から切れてしまうかもしれない

可能性を感じました。

 

当店では、そういう内容は事前にお話しし

どうなさるか、ご判断を仰ぎます。

今回の場合

仕立て途中で革が切れてきたら

革はダメになりますが、

お代はいただきません。

出来上がったらお見積もり通り、

という取り決めを申し添えました。

 

若いクライアントはきっぱり、

「注文を取りやめて、その革を

僕が持っていても仕方ないので、

とりあえずトライしてください。」と

気持のよいお返事をくださいました。

 

 

こうしてお写真が撮れたということは、

ちゃんとした時計ベルトになったということ。

良かった、良かった。

 

 

お若いクライアントは

とてもしっかりした経営者の方でした。

「私はモノに対する

特別なこだわりはあまりないのですが、

たまたま腕時計だけはひとつ

しっかりした良いものが欲しいと

思って、十年以上探していました。

 

そんな時この時計と出会って…

すごく気に入ったものですから、

2年かけてお金を貯めてから

買いに行きました。」

 

探しているものがなかなか無い時、

妥協してまあまあのものを

買ってしまうことは、少なくありません。

 

それをせずに

ほんとうに好きなものが出るまで待つ、

というのはすばらしいと思います。

 

 

「オリジナルの

黒いベルトが付いてたんですが、

あまり質の良いものではなかったので

オーダーで気に入ったものを作ろうと

思いました。

 

こういうアイボリーカラーが

自分のイメージにぴったりだったのですが、

こんな色は、時計ベルトにはもちろん

革にもなかなか無かったです。

それでネットですごく探して…

この革だけが自分の思った色だったので、

作れる作れないは後回しにして

とりあえず買っちゃったんです。

作れて良かった!」

決断力あるクライアントです。

 

 

聞けば、時計を買うために待った2年間も

在庫を確認しながら待ち、

店頭できちんと話をすることで

ご自分のラッキーナンバー「3」が

シリアルナンバーに入った時計を

ゲットすることが出来たとのこと。

 

たかがモノ、されどモノ。

明るい瞳でお話いただいた内容は

示唆に富むもので、

 

多くの

しっかりした若い経営者の方々も

当店をお訪ねくださることに、

感謝しました。

ありがとうございます。

 

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