2020.07.24
見本ありの二つ折り財布 804
オーダーメイドをお受けしていると、
求めるものは人それぞれ、
機能的な面にとどまらず
モノを使う時の「気持ち」とか「感覚」、
そして「立場としての必要性」が
大きい要素であることを感じます。
例えば、お財布が
単なる財布だけの役目ではなかったり、
バッグも、使いやすいだけでなく
手触りや革の匂いに反応する方もいれば、
たいていは、見た目の「好き」がないと
使う気が無くなったり…と、
そこがきっと
「たかがモノ、されどモノ」と
言われるゆえんではないかと思います。
持ち物を見て
人を判断するような方もおられますし。
「単なるお財布ではない財布」というのは
持った時の感触について語る方が
案外と多いからわかったことですが、
感触だけでなく、自分に合った大きさ、も
人それぞれあるようです。
財布を手に持つ時、
自分の手に収まりが良く
手に馴染むフィット感があると、
安心感を抱く人が多いのです。
財布ひとつ持ってちょっとお出かけの時など
手で持っていることに頼りがいを感じ、
持っていることが嬉しくなるとか。
その安心感を求めて
手触りの良い革で作りたい、
という方もいらっしゃいます。
また、服装がカジュアル化している現代、
何がその人物の格の決め手となるかは、
(昔から相変わらずですが)
手入れの良い靴やバッグ、
良い小物類を持っていることだと
あらためて感じます。
大切に使い込まれた革製品は、
いかに気に入ったモノを長く使って、
革は使いこなすものだと知っている人か、
(無駄なお金を使わず)
その人がいかにモノを大切にする人か、
を表します。
例えば
汚れた靴を履いている人は
評価が下がってしまいますし、
「良い服を着ているのに
靴やバッグがなんだかな~と思う人が
たくさんいるんですよ」と
おっしゃる女性も多いのだそう。
当店の特製牛革に対して「革を愛でる」ために
やっていただきたいことはひとつ。
「可愛がってあげよう」という気持ちで
「手入れ」
(コンスタントに使い、手で撫でる)すること。
たったこれだけのことで、
ツヤよくきれいに育っていきます。
使って付いたキズも治っていきますし、
しなやかになって
手に馴染むようになっていきます。
撫でるのが大変な大きさの鞄類の場合は
ヴァセリンを手に付けて良く伸ばし
ハンドクリームとして使った後、
その手で全体を撫でてあげるだけで、十分です。
革にはさまざまな作り方があって、
製作レシピの化合物が
ほんの0.1g違うだけでも、
特性の違う革になってしまいます。
また、生き物の皮から作りますから、
一枚一枚、
肌の肌理も特徴も当然違います。
そんなことから本来、
革のお手入れ方法は革の数だけあるので
(女性のお肌のお手入れを想像してください)
ちゃんとやることは不可能ですが、
大まかに分類するとこんな方法、
というのがあります。
それに則して
たまにお手入れするのは、
持ち主にとっても
きっと心休まる時間となることでしょう。