革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.06.6

クロコダイル・ダークブラウンxヌメベージュの長財布 30207

「この財布を10年ほど使ってますが、

そろそろダメになってきたので

同じものを新しく作ってください。」

シンプルなご依頼です。

 

店頭で拝見しておりますと、

男性はとくに、使い慣れた道具を

変える気持ちはなかなか持てない、

と感じます。

 

 

 

 

 

 

最近では市場でとんと見なくなった

ジャバラの長財布には、

大きく開くL字ファスナーの小銭入れも

ついていて、この形にしては珍しい

ダークブラウンのクロコダイル製です。

 

男性がお使いになるタイプとしても

あまりないものかもしれません。

お金もカードもたくさん入ります。

 

遠方からおいでくださって

良いお財布を見せてくださった

クライアントに、感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

 

内側はヌメ革のベージュで、

良い革の組み合わせだったから長保ちし、

気持ちよくお持ちになれたのだと

お見受けしました。

クロコダイルの革は

そろそろ斑柄の線の部分が

擦れて白くなっています。

 

これだけよくお使いになっていれば、

もう身体の一部になっていることでしょう。

目で見なくとも

扱うことができます。

 

「どこか変更したいところはありませんか?」

という問いにもとくにご希望はなく、

この方の身体の一部を

再生して差しあげるような気持ちがします。

 

 

 

 

 

 

このように「同じものを作って欲しい」

という時、オリジナルが革製であれば

ほとんど質問をしなくて済みます。

 

クロコダイルやヌメでしたら

普段からよく使いますから、

素材の特性が同じで

同じように作ることに

さほど問題はありません。

 

 

先にお書きした

その方の「身体の一部」を再現することに

一直線に専念できます。

 

 

 

 

 

 

この財布の特徴は

札入れ部の開きが大きいことで

見た瞬間に中身すべてが把握でき、

これはもう文句なく使いやすいことが

わかります。

 

小銭入れ部もL字ファスナーで

マチをたくさんとってありますから、

中をひと目で見ることができます。

 

このように視認性が高い、という条件は、

モノを使う時に

重要なポイントになると思います。

 

冷蔵庫のことを思い浮かべてください。

奥にあるものはついつい

正味期限を過ぎてしまいませんか?

 

 

 

 

 

 

その他この財布から学べることは、

サッと把握できる部屋の分け方、です。

部屋が少ないですから

どこに何を入れたか、

忘れる心配もありません。

 

後ろの外ポケットもありますし、

もしかすると、万人に向いたレイアウトと

言えるかもしれません。

 

過ぎたるは猶及ばざるが如しと言いますが、

市販品に見かける

これでもか、というくらいポケットのついた

バッグや財布は、

最終的にどこに何を入れたか

わからなくなって

使わなくなってしまう人もいます。

 

私どものフルオーダーメイドでは

なるべく長くお使いいただくために、

適度な数の分け方についてご説明したり、

少ないものを工夫して使うことも

時にお薦めしています。

 

長くお使いいただくために

必要と思われることはお話ししますが、

どのように最終決定をするかは、

あくまでもご注文者である

あなた次第。

 

決め手となる材料は

すべて私どもの方でお出しします。

そういう決定の仕方には

後悔の入り込む余地はほとんどありません。

 

このたびのご注文も

ありがとうございました。

 

 

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