2024.07.13
リアルイタリア、トスカーナの生活#2
イタリアの超モダンデザインは
どこから来るか?
それは毎日の生活から自然と育まれる
美意識の高さにありそうです。
毎日見ているそれぞれの景色から、です。
*左は小さめの教会の庭。各街にはメイン教会の他に
いくつかの教会があります。右は民家のタオル干し。
色とりどりな洗濯ばさみで、これがリアルな生活風景。
イタリアでは、街に一歩出るだけで
昔の優れた彫刻がどんどん目に入ってきます。
統一感のある歴史的な建物の様式や
それに合わせて設えた室内、
街の外に広がる見事に作られた自然風景。
これらは、誰もが毎日
当たり前のように接することになります。
普段の生活の場すべてが、
歴史的で、同時に
そこに住む人々の恣意的な美の集まりです。
*フィレンツェの小さめのホテル。
部屋からの中庭の眺めと、階段の床と絵画。
古いものをずっと使っていくために
不便ささえ受け入れて生活することで、
自分たちで心地よい空間を作っていこう
という、快適さの追求や
古に寄り添う美への貪欲な気持ちが揺さぶられ、
それが新しい発想のモダンデザインを
産むのだと思います。
昔と同じ様式で
同じ素材を使って新しい製品を作ることは
できません。ではどうすれば、
この古のものたちの美を活かせる?
そこで出てきたのがモダンデザイン。
歴史的な建造物などにもマッチする
新しい素材感やデザインで勝負、
でも既にあるものたちと喧嘩はしません、
見事に調和させましょう、というスタンスです。
*老舗レストランの外壁。
シュールで、しかもカワイイ。これが
歴史的建造物の中にある現在のレストランの姿。
街にはゴミひとつ落ちてませんが、
このように
古い建物や街をきれいに使うには、
それに見合った人手が必要です。
段ボールを回収する人、
その他のゴミを処理する人、消防署の人…
街の美を護る人達も時に見かけます。
*左は段ボール箱収集車と回収人。
右はゴミ収集に出された個人のゴミ。
ゴミを回収する人は朝早くに出ます。
どうやら段ボールと普通ゴミは
違う車が回収しているようですが、
回収人の姿のおしゃれなこと!
ネイビーのパーカーに
オレンジのパンツを穿いている彼に、
思わず視線を持って行かれます。
一方、街の人のゴミの出し方もきれいで、
まるで景観の一部のよう。
そして、ゴミの量はかなり少なそうです。
まず日常のそんなところから、
彼らのリアルな美の生活は始まっています。
*左は消防署の人。この制服(?)もステキ。
まるで映画の一コマのよう。右は花まつりの準備人。
そんな街を眺めながら歩いていましたら、
シエナの街では7月のパリオに向けて
子どもから若者までが、
お父さんやおじさん、お爺さんなどから
太鼓、旗手としての振舞、など
街のそこここで教え込まれています。
短い時間で
あっという間に笑顔で解散しますが、
教える方、教わる方、どちらも真剣です。
*シエナにはコントラーダ(17の地区)があり、
地区を象徴するカラーと動物が決まっています。
それに則った衣装を着て、旗の演舞も競います。
昔から続くお祭りを
今年も滞りなく行うことが
その地区内のまとまりを保つことに繋がり、
老若男女、年齢も問わず
皆で一丸となってお祭りに向かっていきます。
地区競争のメインであるパリオ競馬は、
危ないからと言って
ルールを変えたりしてないようです。
さてここらへんで、トスカーナらしい風景写真を。
*同じ場所からの明け方から朝の景色。
BGMは絶え間なく奏でられる鳥たちの歌。
じっと眺めていると時間が勝手に過ぎていきます。
*朝の散歩道はいくら歩いても飽きません。
くるくると変わる天候で、曇天から目にもまぶしい
晴れ間まで、とすべての気候を愉しめます。
左のイヌとは1時間以上散歩しました。
*これがこのあたりの普通の生活、普通の風景。
天候によって毎日・毎時間違う顔を見せてくれます。
また、そこかしこに
その場の持ち主のお気に入り絵画や彫像などが
飾られているのも、楽しいところです。
*街には必ずギャラリーがあります。
デザイナーは、彫刻が好きなのよ、と言っているので
このギャラリーの写真なのでしょう。
さてさて、今回はこんなところでしょうか。
ウェブショップの
そんなデザインのひとつ。ご覧ください。
アマトゥーラにドライフラワーを挿し、
インテリアオブジェとして
使うのもおもしろいでしょう。
今回のリポート内容は、
デザイナーがいつも言っている言葉を
思い起こさせます。
「長持ちする上質なものを毎日使うことで、
その製品を通じて、その人の価値基準が
知らず知らずのうちにできてきます。
その基準ができると、
大きいものにせよ、小さいものにせよ、
何かを選ぶ時にとても役に立ちます。」