2024.07.22
30周年を迎えた「革製品の製作スクール」での教え方
当店が革の製作スクールを始めたのは
1994年。早いもので、丸30年経ちました。
途中、玉川高島屋のスクールなどでも
お教えしていることがありましたが、
下北沢、銀座と場所を変えて
スクールは脈々と続いています。
ありがたいことです。
*15年ほど前の生徒さんの作品
当店の製品製作方法は非常に複雑です
(だからこそ質の高い製品ができます)。
以前お書きしたように、当店の技術は、
一貫製作ができる人であっても、
一般的な技術の製品を長年作り続けた人では
なかなか習得することのできない技術です
(物理的な技術というより、
応用の利く考え方の技術、と呼ぶ方が
正しいかもしれません)。
そのベースとなる実技は、
当スクールですべてお教えしています。
プロになって販売できるようになれば…
と思って参加する方も少なくありませんが、
少し習った頃にはたいていの生徒さんが
「ムリだから、ゆっくりやろう」
とギアチェンジするくらい、難しいようです。
*生徒さんには男性も女性も来ています。
それもそのはず、当店のカリキュラムでは、
小物からバッグに至るまで
あらゆるアイテム製作をお教えしますから。
そして、製作品の中には毎回、
新しい技術が入れ込まれています。
アイテムによって
それぞれコツも違いますから、
ただただ「覚えよう」と思うだけでは
覚えきれるものではありません。
一つひとつの加工技術はすべて
意味のある行為ですから、
「なぜそうするか?」という理屈を基に
覚えていかないとキビシイ、と思います。
でもほんとに、
どんなアイテムでも、自分が望む作品を
作れるようになりたいと思ったら、
これ以上のカリキュラムはありません。
スクールからは、何人かプロになって
仕事をしています。
また教室からではありませんが、
お店で基本から教え込んだ職人たちは
何人も活躍しています。教え方はみんな同じ。
当スクールでは、
プロになりたければなれてしまう技術を
お教えしています。
また趣味としても、
自分の作りたい形を作れるようになります。
他のスクールではありえないことです。
*掲載作品は、どれも違う生徒さんの作品。
デザイナーは先月まで
イタリア語を習いに行っていましたが、
「いやあ、5期目で、もうついてけません。
覚えることが多すぎて…」
と、しばらく自分で文法を整理し、
覚えることに集中することにしたようです。
おそらく
当店の教室もそういうことでしょう、と
デザイナーは、身に染みてわかった、
と言っています。
「イタリア語はね、4期習ったから
何となくの全体像が見え始めました。
習ったところまでだったら、
客観的にとらえて自習できそうなの。
で、ここをある程度覚えたら
あとは楽に進みそうな気配があるのよ。
この習い事の経験をしたことで、
どうして他社のスクールで教えるのが
特定種類のバッグに限られていたり、
材料を用意して、それを合わせるだけの
短時間教室が多いのか、よくわかった。」
「混沌と見える中を手探りで進んでいくより
(でもある時ぱっと開けるのだけど)、
比較的簡単に
最初から作品を完成できる方が、
習っている人にとっては達成感があるからです。
それと、まず元々の話だけど、教える側が
単発テクニックしか持ってなければ、
広い意味での全体像は教えられないのよ。
そういえば、まず最初に、
そういう複雑なカリキュラムを
簡潔に適正化するのは、大変だったわ。
根本的に、自分の作りたいものを作る
ということであれば、
うちのスクールの教え方は
ベストのひとつの方法だと思います。。
うちは講師が細かくサポートして
ひとつのカリキュラム内で
好きなデザインで作品ができるから
生徒さんが続いて、
それぞれが大作を仕上げられるんだと思う。
見ていて、すごいわ、と思う作品が
けっこうあります。」
「イタリア語教室も、あの教え方だと
全体像が見えてくる手助けになります。
でも最初の何回かの混沌をアウトと思って
止める人も少なくありません。
それと、進捗が速いのでとても覚えきれない、
1回でも休むとわけわからなくなるし…
でもうちは生徒さんが休んだら、
次の回にその生徒さんを続きからお教えします。
そう言う意味では、イタリア語講座って
うちの革スクールよりハードル高かったかも。
でも要は、習う側がある程度の段階までは
適当にしのぎつつ、全体像が見えてきたところで
どこまで行きたいか、自分は何を目標とするか、
をきちんと考えるといいのかも。」
はてさて、果たしてデザイナーは
イタリア語を続けることができるか?
と店内で話題になっています(笑)