革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2024.10.25

キーも一緒に収納するカード入れ 240910

家の鍵をどのように持つか?

何度も書いていますが

悩ましい悩みのひとつと思います。

 

鍵がひとつであれば

定期入れに一緒に入れて持つ人もいれば、

小銭入れの中に入れる方もいます。

 

たくさんお持ちの方ですと、

キーケースに入れたり

キーホルダーに吊るして持ったりします。

そのキーケースの形もさまざま。

 

 

 

 

 

 

 

 

本日ご紹介するのは、

名刺入れの中に

たくさんのカードと一緒に

家の鍵を収納している方からのご依頼です。

以前当店製品をお持ちくださった方が

久しぶりにおいでくださいました。

 

現在使っているものは

10年以上使ったとのことですが、

革の表面もボロボロになっています

(びっしょり濡らしたことがあるとのこと)。

そのサイズがちょうどよい、

とのことで同じサイズでお作りしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これと同じサイズで」という場合、

さまざまな問題があります。

同じだから簡単じゃないですか?と

思われる方も多いかと思いますが、

 

まず大きな問題として、

長年使った革製品は正しい寸法の計測が

とても難しいこと、があります。

 

みなさまは、使った革製品は

サイズ変化がかなり大きいことを

ご存じですか?

 

そしてその変化は

一気に起こったことではなく、

長年かけて徐々に徐々に起きたことです。

少しずつ持ち物が増えていき、

「今」が最終段階の形を迎えている時。

 

それは革製だから起こる変化です。

 

みなさんの中に

実際は2センチの厚みしかないケースに

もっとたくさん入れている方が

いらっしゃるかと思います。

私たちの印象としては

そういう方は多い、と思っています。

 

革であれば、部分的に

倍の厚みのものでも入れられます。

 

それは革に可塑性があるからで、

革は

他にはない特長を持った優秀な素材です。

 

プラスチックなどの成型タイプ素材には

こういったことは起こり得ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、革製品というのは

とこかに極端な規定以上の厚みを取られると、

そこに直接対応する部分の革が

伸びきれる以上の寸法を必要とされると、

他のパーツが大きさを変えていくことで

本体全体から対処してくれます。

すばらしいことです!

 

そのようなわけで、元となる製品サイズは

かなり変わってしまいます。

 

結局その革の優秀さが、

作る方法を複雑にしていきます。

 

そしてもうひとつの難しさは、

人の持つ感覚がとんでもなく鋭敏なことから、

どんなに手を尽くしても、受け取った当初は

手触りや大きさを違って感じること、です。

 

これで、なぜ

長年使ったものと同じサイズで作ることが

難しいのかを

ご理解いただけたことと思います。

 

 

 

 

 

 

 

使っている革によって伸び率も違いますし、

保ちも違います。

ですから、まったく同じものを作ることは

不可能だと思ってください。

でも私たちは

かなり近いものをお作りします。

 

私たちはまた、現品+より良いものにする

ことを目標としておりますから、

使った製品の崩れ方を拝見して

最良の解決法を見出します。

 

今回は外側の革を厚めにし

裏地を通常よりもしっかり目にする

ご提案をしました。

 

使い慣れるまで

少しお時間かかると思いますが、

長保ちすることと思います。

 

びっしょりと濡らすことをしなければ、

今回のオーダー品は20年ほど保つと

思います。長いご愛用を願っております。

この度はありがとうございました。

 

 

 

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