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クロコダイルのオールインワンコンパクト財布 50605
クロコダイルレザーのご説明の中で
先日ご紹介したダークパープルの革。
あのシンメトリーのパーツが
どのような形になったか、
ご報告しましょう。
このオーダー品は、
カード10枚とお札少しを入れ、
小銭入れのあるコンパクト財布で
お持ち込みくださった見本品は
1枚革で作られていて、どこにも
縫いがない「一筆書き」のような
小銭入れでした。
まったく縫った箇所がなく、
マチ部分を小カシメで止めただけで
作られていますから、
「型紙づくりが命」という
最近の主流を行く製品です。
型紙さえできれば、これなら
1.クリッカーでパーツを抜く
2.カシメでマチを止める
3.フタのホックを付ける
だけで完成しますから、
革製品を作ったことがない人でも
容易に作ることができます。
とても柔らかい革を使うことで、
成形する手間さえいりません。
よく考えられています。
この製品は、
先のロエベ展で考察したような、
作る人に技術を期待しない方法で
作られています。
アイデアを出すことや
型紙を作る人だけが必要で、
作る人を選ばないこうした製品は、
10年ほど前から増えています。
技術ある人を探すことや、
技術ある人を育てることが
どれだけ大変か、
わかるような時代になりました。
作り手が手を動かしさえすれば
完成する量産品というのは、
方法こそ違えど、いまや
どのメーカーも考えていることです。
この市販品の型紙は、
入れるものを想定し、
きっと何度か試したことでしょう。
小銭と三つ折りの札が少し入り、
カードも数枚、何とか入ります。
でもそれ以上入れるとなると
当然ですが、小さいのです。
想定以上の使い方をする時には
それなりのサイズアップ変更を
しなくてはなりません。
それが今回のお題でした。
見本品はお預かりできたのですが、
それでもこの一筆書き小銭入れは
型紙づくりが大変でした。
フルオーダーメイドでは
オーダー品ご使用者の生活に合わせて
サイズを決めていきますが、
当店では、ある程度
ここまで入れる、MAXの中身を
お尋ねします。
ただそのMAXの考え方が案外
そのままMAXと言えないこともあり
ここは、詳しい聞き取りと
より良い判断が
重要視されるところです。
今回のご依頼者は
入れる量がはっきりしていますから
とにかくそれが入るように
型紙を変更していきました。
使い方から考えますと、
無駄に大きく作りたくはありません。
ギリギリの線を狙ったところ、
このオーダー品の型紙は、
ベースも含めて
3回作りなおすことになりました。
1枚の革パーツを立体にする場合、
容量を見極めることは
余計に難しいのです。
*丸ごと1枚のクロコダイル
お渡しした時
「この大きさだったら
ちょうどいいです。」
とおっしゃっていただけたので
ホッとしました。
所定のものを入れて
ちょうどいい塩梅の入れ具合です。
「とても良いです!
この余った革のところで
何か他のものを作りたいですねえ。」
*今回のオーダー品のパーツは2枚。
きれいなシンメトリーです。
きっとまた
近々お目にかかれることでしょう。
この度はありがとうございました。
色の組み合わせが素敵な、
きれいなお品を作れて楽しかったです。