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 クロコダイルレザーとは?
2025/08/07
たまたま外部の人と話していたら
「革について基本的な説明があれば
このブログを
もっとおもしろく読めます。」
というリクエストをいただきました。
そこで本日は、
クロコダイルレザーの丸ごと1枚の
お写真をお見せし、
簡単なご説明をします。
*超貴重なエルメスポロサスの
クラストレザーから作った、藍染め
クロコダイルには種類があって、
当店で使っているのは
ポロサスとナイルという2種類。
斑柄の小さいクロコダイルです。
*今回は
大きい斑柄のクロコダイルは
割愛します。
クロコダイルの一番の特徴は
まず、うつくしいこと。
そして、丈夫なこと。
もちろん経年変化する革もあります。
ヴィンテージクロコダイルで
きれいなバッグもあるくらいです。
*ヴィンテージとは、
製作から50年以上経った製品のこと。
*丸ごと1枚のナイルレザー
ダークパープルカラー。
上のお写真が
ナイルクロコダイルレザーの
丸ごと1枚です。
黄色のテープはカットする時の目印。
中央線がお腹の真ん中にあたり、
外に向かって脇腹になっていきます。
脇腹で開いている、という意味です。
上下4か所のぴらぴらは足の付け根で
お写真向かって左側が顎、
右側の細い部分がしっぽです。
ご自分の顎を上に向けて、手を当て
お腹を通って足に向かっていく
革の感じを想像してみてください。
先に書いたクロコダイルの種類で
ポロサスというのは、
流通量が少なく整った斑柄のために、
エルメス社が最高級と広めた
クロコダイルの種類です。
一方ナイルは、一般的には
大きめの斑柄に分類され、斑柄も
ポロサスと違うとは言われますが、
個体の大きさが小さければ
斑柄も小さくなりますから、
ポロサスとの違いを
ひと目でわかる人はそうそういません。
流通量が多いために
ポロサスほど稀少価値がない、
くらいに思ってください。
どちらも、随時選ぶことで
斑柄のきれいさが際立つ革を
入手することができます。
*シンメトリーパーツ裁断後の革。
お写真は、お腹の一番良い革の部分で
パーツを取った後の革です。
斑柄がもっともうつくしいのは、
中央線を真ん中にして取った
シンメトリーのパーツを使った製品。
当店ウェブショップ製品は、極力
どの小物をとっても
うつくしい斑柄の並びにしています。
当店ウェブショップの製品と
比べて見るとおもしろいので、
ぜひ他社製品もご覧ください。
量産品がどのように斑柄を取るのか、
わかると思います。
さてここで革の製作方法に入ります。
クロコダイルの革にも
タンニン鞣しとクロム鞣しとが
あります。
鞣す方法は牛革と変わりません。
また染色方法も牛革と同じで、
水染めと塗装とがあります。
ポロサスは高価な革なので、
日本では黒ならたいていありますが、
他の色はなかなか見つけられません。
染やさんがあまり冒険しないですね。
ですから、先日ご紹介した藍染めは
とても珍しい一例です。
それがナイルレザーになりますと、
物量が違いますから
さまざまな色で染めた革が出てきます。
*カラフルなナイルレザー
色の染め方は革によってさまざま。
色で探したい場合にはたいてい
ナイルレザーになると思ってください。
当店では
デザイナーが選んできますから
その時ある中で一番きれいな革を
ご提供しています。
ザクっとお話しますと、
こんなところでしょうか。
ご興味ありましたら、
製品をご覧ください。
夏季休暇に入りますので、
当初よりお買い得価格にしました。
フルオーダーメイドのご注文より
リーズナブルな価格でありながら、
うつくしい製品をご覧いただけます。
 ラウンドファスナー長財布、9年目のファスナー取り換え 50705
2025/08/06
たくさんのご注文をくださり、
必要な小物をすべて揃えてから
久しくお目にかかっていなかった
クライアントがご来店しました。
「毎日使っているお財布が、
さすがにそろそろ修理しないと
いけなくなりました。
ファスナーがね、閉めても
ここから開いちゃうの。」
ということです。
お調べしましたら、お作りしてから
8年半ほど経っています。
*修理前の状態
この方はひとつ目の財布のために
特注したズボンを作って、
前ポケットに入れてお持ちです。
カードがたくさん入って
出し入れの多い方ですから、
ハードユースにファスナーが
よく耐えてくれました。
当時、予備としてお作りした
こちらのお財布ですが、
こちらが気に入ったようです。
「でもねえ、作ってもらった時は
ほんとにびっくりしたんだ。
だってね、
この財布、気に入らないところが
どこもないんだから。
そういうオーダー品を一発で
作ってくれたってことは、すごいよ!
同じものを作ったんだけど、
結局こちらばかり持ってた。」
ご要望の厳密なこの方から
こんな賛辞をいただけるなんて
嬉しいです、ありがとうございます。
*修理前の状態
この方には何点もお作りしています。
他のお品は文房具などで、
普通にはない発想のお品ばかり。
使い勝手や見え方への
こだわりが強く、
どこかの寸法を1ミリ変えて、
というような修正でふたつ目を
作ることがありました。
「オーダーってね、僕は
家具やら服やら、とにかく何でも
気に入るものを持ちたいから
オーダーしてるけど、
一発で自分の思ったものができること
なんて、まずないよ。
だからひとつ目は試作と思ってる。
でもふたつ目で済むどころか、
なかなかうまくいかなくて
苦労する場合もたくさんあるから、
予備の品に何の変更もしないで
作ってもらいたくなるなんて、
ほんとにこのお店はスゴイ。
できるだけ長く続けてね。」
オーダーを日常的に
よく使っている方だからこその
オーダーに対するお考えです。
オーダーとは本来、
この方の意識こそ正しいの
かもしれません。
どんなにうまくできていても、
どこにもないものですから、
自分の使い勝手に合わないところや
見た目が少し気になる、ということが
ない方が不思議かもしれません。
*ファスナー取り換え後
この方は柔らかい革がお好きで、
でも硬くパッチリした形状を
求められるので、なかなか
悩ましいご注文が多かったです。
「ところでこの財布は、
ファスナー取り換えるのと
作り直すのとどっちがいい?」
内側は何ともありませんから、
今回はファスナーの取り換えを
お奨めしました。
革がとてもよく馴染んで
うつくしく育っています。
大切に扱ってくださったようです。
*ファスナー布の角が切れている
修理前の状態
子細にお調べしましたら、もう
角のファスナー布は切れています。
それでもファスナーは閉まり、
なんとか使えていたご様子。
元々のファスナーの金属色は黒
でしたが、あっという間に色が取れ、
1年もたたないうちに地色が
出てきました。
ですから
この時初めて使った
この手のメッキのファスナーは、
それ以降、当店では使用禁止です。
こんな新しいリアルな情報を得られ、
それにすぐ対応できることが、
当店製品に対する
信頼性を高めてくれます。
新しい「何か」を
お試しくださる方には、
感謝感謝です。
*もちろん使用後がどうなるか
わからないことをお伝えします。
*新しいファスナーに取り換えた
ですから
お直ししたファスナーの金属は
メッキのないシルバー色。
すべてのお品をオリジナルレザーの
ブラックxシルバー金具で
揃えてくださっていますから、
今回の修理で完璧になりました。
*修理後の全体像
お受け取りの時にも
ひとつ目が完璧であったことに触れ
頑張ってね、と
言ってくださったことは
とても嬉しいことです。
*修理後の全体像
作り手もやはり人間、
命かけて作っていますから、
正しく誉めていただけば嬉しいです。
さまざまなやり取りの後、
お届けのお客様で、良かったのか
気に入らないところはあったのか、
お受け取り後
何も言ってくださらない方も
いらっしゃいますが、
モノのやり取りをするだけの売買が
オーダーメイドではありません。
みなさまからのご感想こそが、
オーダーメイドを一段と
進化させていくのです。
またそんなことが、
クライアントのみなさま全員を
繋げています。
 ガーデニングバッグタイプのトートバッグ 50608
2025/08/04
目的のお品をオーダーした後
ぐるっと店内をご覧になって、
「こんなバッグも作れるの?」と
お尋ねくださったクライアント。
その方がお持ちになっていたのは、
ガーデニングバッグと呼ばれる
ポケットたくさんのトートバッグ。
ご注文者の要望から、
スモーキーブルーxブラックの革に
明るいレッドの糸を合わせました。
これがとてもカッコ良いのです!
クライアントがお帰りになってから、
「裏地の色を、
糸の赤と同じにしましょう!」
デザイナーは用途から
撥水&防水加工の布を取り寄せ、
実際の色を確認してから
メールで裏地の色をお勧めしました。
おいでいただいたその場では、急遽
隣のアトリエで作業をすることに。
「これがすごく使いやすくってね、
革でできないかな。」
大丈夫ですよ、とお返事して、
その日はお時間のない方でしたから
すぐに採寸に入りました。
変えたいところはない
とおっしゃったので、
15分ほどお待たせして
アトリエで採寸しました。
ご相談者のご希望に、柔軟に
すぐにご対応できるのは、つねに
熟練の技術者たちが複数人数
アトリエで作業しているからです。
これが
フルオーダーメイド店の空間。
布製のお品ですから、素材の違う
革で作るには技術を必要とされる
作り方ですし、
正面と裏面で違う外ポケットの配置で
凝った仕様になっています。
採寸も、新品で
形がきっちりしたものであれば
さほど難しくありませんが、
使ったものですとなかなかの作業。
ハードにお使いなので形も変わり、
布も柔らかくなってやわやわです。
でも熟練技術者にかかれば
間違いのない数字を出せます。
このバッグ、小さめですが
たくさんの容量を持っています。
本体の大きさもさることながら、
外ポケットがいくつもありますから
うまく使うと
大きいバッグくらいの容量。
手で持つことを考えますと、
全部荷物を入れたら重くなりますから
男性の方に向いていると思いますが、
車で移動なさる方でしたら
この形でこの大きさと仕様は
女性にとっても、すごく便利です。
キーをお付けになるとのことで、
取り外し可能なキーリングを作って
バッグの内側にお付けしています。
出来上がりをご報告しましたら
すぐに取りに来てくださいました。
そしてさらなる次のご注文も。
この方からは
お店の認知度を上げるための
いろいろなアドバイスを頂戴し、
とても感謝しています。
そのアドバイスは、できることから
行っているところで、
これからが楽しみです。
ご注文だけでなく、温かいご支援も
ありがとうございます。
 スクエアバックのシステム手帳ナローサイズ 505N
2025/08/02
すでにいくつものシステム手帳を
ご注文くださっている方からの
ご依頼品をご紹介します。
プレゼントとして、
またご自分でお使いになるものとして
複数個をお作りしましたので、
この方のお好みがわかりました。
スクエアバック
(背面が平らでかっちりしている)が
お好きで、
できる限りコンパクトサイズの
仕上がりをご希望なさいます。
このたびのシステム手帳は
バイブルサイズ、用紙はナロー用で
ご注文いただきました。
手帳を閉じると上のお写真のような
かっちりした印象になり、
お持ちになる方のイメージを
彷彿とさせます。
表紙の質感にも
きっちり硬いものをご希望ですから、
いつもとは違う芯材を使っています。
また、このオーダー品には
留めベルトをお付けしていません。
もちろんご注文者のご希望だからです。
ひと口に「システム手帳」と
言いましても、
当店でのご注文品には
さまざまなご希望内容があります。
今回のオーダー品とは正反対の
柔らかい表紙をお好きな方もいれば、
留めベルトをご希望されて、
その留め方が変わっていたり…
と、内装だけでなく、
「質感」という、普通では
なかなかイメージを理解しがたい
ご要望もあります。
そのイメージはデザイナーが、
対面でのご相談者の表情や
メールでお書きいただいた
ちょっとしたニュアンスから
読み取ります。
これまでこのご依頼者にお作りした
システム手帳は
特別な革製が多かったのですが、
今回は当店オリジナルレザーでの
ご注文です。
革についてはご感想を頂戴しました。
************
ご感想をありがとうございます。
革を気に入ってくださり嬉しいです。
当店自慢のオリジナルレザーは、
手でなでていただくだけで
すばらしい輝きが出ますし、
付いたキズも直って、そこが
貫禄ある経年変化のある革だと
ひと目見るだけで
一般の革とは違う、とわかります。
どうぞ長くお使いいただき、
経年変化をお楽しみください。
 ノーブルなオペラグラスケース 50606
2025/07/31
「年齢が年齢なので、そろそろ
息子に渡すものについて考えてます。
こちらで作ったケースや書類入れは
生活の中で手放せなくなりましたが
まだまだ保ちますから、
私がいなくなったら
息子にあげようと思って。
その他、何かない?と考えたら
このオペラグラスのケースを
作ってもらいたい、と思いました。」
文芸評論家で舞台をご覧になる機会も
多いクライアントは、
そろそろばらばらになってきつつある
オペラグラスのケースが気になって、
今回のご注文となりました。
「これと同じケースで良いですよ。
使いやすかったし、
大きさもこれで良かったから。
息子もそれでいいんじゃないかって。
貰うのが楽しみだなんて言うんですよ、
それっていったいどういう意味?
ってやり取りをしたんです。」
ご子息様との楽しい日常会話が
想像できるお話です。
オペラグラスを使うご子息様ですから
おふたり共通の話題も多いでしょう。
「今まで作っていただいたもので
メガネケースは毎日使っていますが、
これがもう手放せなくて…
あ、もう7年にもなるんですか。
書類入れもとても気に入ってまして、
こんなものは売ってないですよね。」
と、今までお作りしたものについて
ご感想を述べてくださり、
お目にかかれて嬉しい時間でした。
オペラグラスを入れたところの
お写真をいただきたかったのですが、
「ちょうどこれからコレを使うので
今日はすぐに帰らなければ。
ほんとに今日受け取れてよかった。」
とのこと。
「こんなに小さなケースだから
誰もこんな値段だと思わないよね!」
と、にこにこしたお顔で
あっという間に持ち去りました。
すばらしい笑顔の持ち主です。
「小さいから大変なんだけどなあ…
って、今度お会いした時
お話ししましょう!」
見送ったデザイナーも笑っています。

























 


